表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/116

木本君の部屋

真っ直ぐ続く階段を登って、私は木本君の部屋のドアをノックした。重い重い、鉄のようにも思えるドアが少し空いた。


「え?山下さん?」

「あの……少し話いいかな?」

やっぱり木本君は辺りを気にして、私を中に入れた。忍者は家でも用心するものなの?


木本君の部屋はモノトーンのシンプルな部屋だった。何だか部屋も忍者みたいな色~!軍ヲタの隆兄の部屋とも、アニメのポスターとフィギュアのひしめく祐兄と雅兄の部屋とは違うなぁ……隠してるのかな?

「あの、あんまり見ないでもらっていいかな?」

私が木本君の部屋を眺めていると、木本君が言った。


「あ!ごめん。いや、ごめんなさい!!謝りに来たのに、なんかお茶いただいて和んじゃって……ごめんね。昨日…………言い過ぎたよね。せっかくお土産に買ったメンチカツサンドもらったのに……あんな事…………」

「…………わざと。忍法とか言ってバカにしてるから……わざと嫌われようと思って……」

「バカになんてしてないよ!そう思わせたなら…………謝るよ。ごめんなさい。」


私は頭を下げながら、ゆたか君の言葉を思い出した。

『そうやって……またバカにするんだろ?』

バカになんかしてない!してないよ…………!!そんなつもりじゃない!!私は、泣きそうで息が詰まりそうだった。


「…………そこまでして、人と関わりたくないんだ。じゃあ……木本君の思い通りに、嫌いになるね。そうすればいいんだよね?」

自分で言ってて…………悲しかった。胸が苦しかった。こんな風に……友達を失うなんて……辛すぎる。


「お邪魔しました。」

私は木本君の部屋を出て下に降りようとした。

「山下さん、待って!」

後ろから、突然腕を捕まれて、驚いた拍子に、階段を踏み外した。


「うわぁ!!」

私と木本君は芋づる式に階段から落ちた。ドタドタと音を立てて階段から落ちた。


痛…………くない?気がつくと……私は木本君の上に乗っていた。

「痛っ……。」

木本君……頭打った!?


「木本君!大丈夫!?わかる?私の事わかる?」

「どうしたの?」

木本君のお姉さんと隆兄が階段に駆けつけて来てくれた。


「忘れた……。」

え?忘れたって…………まさか!お約束の記憶喪失!?木本君は体を起こして腰をさすりながら言った。

「もう…………人と関わりたく無いって気持ち…………忘れたから。」

それって…………

「じゃあ……私、嫌いにならなくてもいい?」

「…………うん。」

じゃあ…………友達、なってもいいのかな?


「じゃあ…………師匠って呼んで……」

「それはダメ。」

ダメなんか~い!


「…………サトル。ミア、サトルって呼んでよ。」

私は木本君に抱きついた。

「聡~!ありがとう!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ