お茶会
「え…………?」
「え?あ、すみません!彼氏の嫌な事思い出しちゃって。」
「彼氏と上手くいってないの?それ、聡に相談して付き合おうとしてる?」
えーと、何故、木本君と付き合うとかそうゆう発想になるんでしょうか?
「相談すると付き合う事になるんですか?じゃあ、話すのは親友だけにしときます。」
「え……逆に気になるんだけど。お姉さんに話してごらん。」
何故か木本君のお姉さんに事情を話した。
「うわ~!それは無いわ~!それはすぐに別れるべきだね。」
「でも、でも、初めてできた彼氏なんです!初めて告白されて、好きって…………言われてない!」
そうだ…………!!私、ゆたか君に好きとは言われてない!逆に私からも言った事ない!
そこへ木本君と妹と……もう1人……
「あ、紹介するね~私は長女の美波。そっちの暗いのが妹の菜々美。弟の聡は知ってるよね。一番下の帆那美。」
うちと同じ四人兄弟……!!しかも、うちと男女比率が逆!!
「山下の妹ねぇ……山下隆也は相変わらずなの?」
え?隆兄の事知ってる?
「同じ剣道部だったから、顔見知りって程度に知り合いなの。」
「相変わらずって?」
「ちょー堅物で、冗談が通じないって有名だったよ~!」
隆兄……学校でも変わらないんだ。
「菜々美も山下雅也と同じ学年だったんだよね?」
「…………あの山下の…………」
「あの……雅兄の代わりに謝ります。雅兄が好きな人バラしてごめんなさい!!」
2番目のお姉さんは木本君の後ろで震えていた。
「山下の~!」
「ナミさん落ち着いて!」
雅兄への恨みが根深そうだなぁ……。
「ナミちゃん、その恨みに妹は関係なくない?ミナちゃん私にもお茶ちょ~だ~い。」
「ホナ、テーブルのいただいたお菓子開けて~お茶にしよ~!」
木本君の妹がテーブルのお菓子を開けて、お皿に出していた。
もしかして、これって噂のアフタヌーンティー?姉妹でお茶なんて羨ましい!!我が家にはゆっくりお茶という文化はない。お茶は食後に飲む飲み物という扱いだ。女子ならではなのかな~?
「ほら、ほら、お茶運んで。」
「あ、私やります~!」
「お客さんは座ってて~ナミも座って!この子の話聞こうよ!恋バナ!リアル女子高生の恋バナ!」
え?それって私の話?
「何?何?恋バナ?」
木本君の後ろにいたお姉さんも出て来て話をし初めた。
何故か木本家で、私の恋愛相談でお茶会になった。
「あはははは!八方美人作戦って何なの?」
「ミアちゃんってアホなの?」
「3のつく日と3の倍数の日は特にアホになります。」
「それ、ワールドな鍋のやつじゃん。懐かし~!」
あれ…………?私、何しに来たんだっけ?楽しいから……ま、いっか。
しばらく話に盛り上がっていると、お家のインターホンが鳴った。一番上のお姉さんが時計を見て玄関の方へ行った。すると…………
「山下と申します。こちらに妹がお邪魔しているようで……」
「隆兄!?」
玄関を覗くと、珍しく隆兄が迎えに来ていた。
「こんな時間までご迷惑おかけしました。ミア、帰るぞ。」
「迷惑だなんて!うちらも楽しかったし。ミアちゃん、何なら泊まってく?」
「え!いいんですか?」
私、本当にまだいていいのかな?迷惑じゃないかな?
「いえ、連れて帰ります。」
「何なら山下君も泊まってく?」
「その冗談は勘違いされる。止めた方がいいぞ。」
うわぁ……隆兄冗談通じねぇ~!このまま隆兄と帰るのかぁ……。
そもそも、私、ここに何しに来たんだったけ?あ!私、まだ木本君に謝ってない!
「隆兄、私、木本君にまだ謝ってないの。もうちょっと、もうちょっとだけ待ってて欲しいの。あれ?木本君は?」
気配を消しているのかと思ったら、いつの間にかリビングには木本君の姿がなかった。
「2階の自分の部屋じゃない?行ってみれば?山下君はこっちで待ってなよ。」
私は隆兄を待たせて、2階の木本君の部屋に向かった。




