両足揃えて
大安吉日、隆兄とアケミさんの結婚式が行われた。アケミさんのドレス姿の綺麗な事と言ったら……やっぱり女子は結婚に憧れる。お姫様に憧れる。
「ミア!」
「聡!?どうしてここに?」
「隆さんとアケミさんに一言挨拶してきた。」
本当にお兄さんとして、想ってくれてるんだ……。それは嬉しい。
「祐さんと雅さんは?」
「二次会に行ったよ~!私は未成年だから帰された~!」
「じゃ、送ってく。一緒に帰ろ。姫、お手を。」
私が高いヒールに歩きづらそうにしていたら、手を貸してくれた。こうゆう所はやっぱり王子様だ。
私達はまだ子供で、王子様、お姫様ごっこだ。王子様はしっかり仕事をしながら、時に妻をいたわる、良夫。お姫様は王子様を支え、仕事や出産に立ち向かう、良妻。二人の国を築くには、私達はまだ子供すぎる。
ふと、教会の階段を見て言った。
「聡、グリコやろうか?」
「グリコ?」
「階段で遊ぼう!じゃんけん、ぽん!」
私が勝った。
「ち、よ、こ、れ、い、と!」
「じゃんけん、ぽん!」
また私が勝つ。
「ぱ、い、な、つ、ぷ、る。」
聡と同じ段には……なかなかならない。それどころか、聡とどんどん離れた。
「じゃんけん、ぽん!」
今度は聡が勝った。
「ぐ、り、こ、の、お、ま、け、の、お、ま、け。の、おまけ。」
聡はどんどん階段を登り、私の隣まで来た。
「それズル~い!」
「ミアの側に行くためなら、いくらでもズルもするよ。」
呆れた。
私は手を差し出して言った。
「しょうがないな。これじゃ、ゲームにならないよ。」
「じゃ一緒に上まで行こうよ。」
聡は私の手を取って、二人で足並みを揃えて、階段の上まで登った。
「片足……」
私は自分の爪先を見てポツリと言った。
「片足?」
不完全な私達は、まるで片足みたい。
「右が聡で、左が私かな?」
「僕、右?」
「時に離れて、時に一緒になって。ずっと両足でいたら、時が止まる。」
聡と一緒だと、時間が止まるみたい。
「じゃあ、先に進む為なら、少しくらい離れてもすれ違ってもいいのかな?それに、同じ速さじゃなかったら待ってる、待ってるから…………こうやって、たまに両足揃えて、スタートしようよ。だからミア、僕とまた、一緒にスタートしてくれない?」
その問いにはすぐには答えられなかった。
「私、やっぱり聡のお姉さんをお姉さんに欲しいな。」
「僕も。ミアのお兄さんに欲しいよ。」
今度は、お互いに『付き合おう。』とは言わなかった。
だって、今度こそ…………今度こそちゃんと言いたい。
「じゃあ…………聡、あの…………その…………す……す……す……」
今度こそ言わなきゃ……。
「スープレックス?」
「そうゆう所あるよね?」
「え?何?好き?僕もだよ!」
やっぱり…………ズルい!
「好きだよ!ミア!」
いとも簡単に……。悔しい!!私だって!!
「私も!私も好きだよ!!」
そう言うと、聡は私にキスをした。
それは…………反則だよ。
「この段差…………石段じゃなかったら原爆固めやってたな。」
「それ死ぬよ!」
そんな事を言っておきながら、聡は突然、優しく私を抱き締めた。
「聡…………?」
「今度からは、やられる前に技かけるから。これ、ベアハッグ。」
「あはははは!これじゃ絶対ギブしないよね?」
こんなに優しかったら、誰もギブなんて言わないよ?あ、むしろそれが狙いか?
一番上に着くと、私達はお互いの背中を支え合って、並んで立った。
空が私達を、綺麗な茜色に染めていた。
スタートの前には必ず両足で立つ。
姿勢を正して、両足揃えて。
二人でまた、ここからスタート。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。可愛いお話を目標としていたのですが……結局こんな感じに……。そして、次の構想が浮かぶと、今書いているものがおろそかになるという悪い癖もなんとか抑えて……抑えられてないか……。何はともあれ、最後まで計画通りに書けたので自己満足です!!とにかく、ありがとうございました!




