矛盾
普通じゃなきゃ嫌?嫌ではないけど…………どうしたんだろう?
「どうしたの?何だかいつもと違う……。」
聡は珍しく不安そうな顔をしていた。
「いつもと違う?それは……いつもより、余裕がない……かな?」
余裕がない?
「全然…………全然余裕なんかあるわけない。ミアの心が離れて行こうとしてるのに、余裕なんかあると思う?」
「聡は…………王子様なのに?」
「ミアの前では、王子様じゃいられないよ。」
そう言っても聡は王子様をやめなかった。
「王子様でいてよ……。」
私は……いつも、8割で王子様を望む。
「ねぇ、ミア、自分で言ってて気づいてる?ミアは王子様は求めてない。それでも僕を王子様でいさせようとする。それって矛盾してるよね?別れようって言ったのに、全然僕の事忘れてない。それも…………矛盾してる。」
わかってるよ…………。だから忘れる努力したのに……。後の2割の本心を隠す為に。
「ミア、僕を見て。僕はこっちだよ。」
それでも聡の方を見ないでいたら、腕を捕まれてベッドに押し倒された。
嘘…………全然抵抗できない!やっぱり……聡は男だって思い知らされる。圧倒的な力の差に、不意打ち以外の技なんて無意味だ。
『技、かけていいよ。』そう言われなければ、抵抗すらできないんだ…………ムカつく……。
じゃあいい。聡が男を使って仕掛けて来るなら、私は女を使って逃げてやる。
「聡…………これ以上は止めて。初めてがこんな気持ちじゃ嫌だよ。私は王子様がいい。こんなのは…………王子じゃない。」
聡の力が緩むのを感じた。
「ズルいよ。こんな時だけ王子様なんて。王子様って何?王子様の烙印を押されると、女の理想を押し付けられて当然なの?」
「聡だって矛盾してる。愛されたくて王子様になって、私が求めてもない王子様をやめなかった。それは、聡自身が王子様の烙印に縛られてるからだよ。それが嫌なら、王子様じゃなくて男として勝負して!!」
私はベッドから起き上がった。
「男と男の勝負だ!!」
「ミア、ミアは男じゃないじゃん……」
「あ…………。」
そんな事はこの際どうでもいい!とにかくまずはここの危機を突破しよう!
「体育祭、負けた方が勝った方の言う事を聞く事!それでどう?」
「…………いいの?それって何でもいいの?例えば、ミアの全部とか……ミアと結婚とか……ミアとの子供とか……」
「貪欲過ぎて末恐ろしいわ!不可能な事は無しね!」
そう言って、その日は何事もなく無事部屋から帰れた。
わかってるよ…………私達は矛盾だらけだ。そうありたいと望む自分と、望まれる自分は違って……それでも愛されたいと望んでる。




