青春は甘くない
後藤先生にお願いして、応援団の練習を見てもらう事になった。
私が最初にお願いした時は、まるで、内臓丸出しで歩いているゾンビを見るような目で見られていたけど、雅兄の妹だと言うと、態度が一変した。そう態度変えられると少しガッカリすると言うか…………そして、私の話ではなく、雅兄の話をする。
そして…………
「もっと声出せー!!」
応援団の練習になると、人格変わる?
「後藤、あいつガチでやりすぎじゃね?」
と、小声でお喋りしようもんなら…………
「うるせぇ!やる気の無いやつは帰れ!!」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
私は後藤先生をなだめようと必死だった。
「先生、みんなも頑張ってるんで、ね?」
「中途半端な頑張りほど無駄な物はない!無駄な事をやるなら時間などない!!」
そりゃそうだけど…………このスパルタ練習はちょっと……
「いつまでも無駄口を叩く奴は殴る!」
さすがにそれは……みんなは口々に言い始めた。
「おいおい!お前教師だろ!?」
「そうですよ!先生、暴力は良くないですよ!」
「お前ら、一ついい事教えてやる。こうゆうのは、バレなきゃいいんだよ。」
出た~!悪い大人出た~!!
「いいか?俺の仕事は教師だ。仕事はいかに最小限の労力に最大限の成果を出すかだ。俺はあらゆる手を使って無駄なく効率良く事を進める。そのために必要なら暴力も使う。言ってわからん奴は殴ってわからせる!動物と同じだ!!」
生徒を動物扱い……。と、とんでもねぇ先生だな!?
後藤先生、あんた絶対教師向いてないよ。私…………ついこの前まで、後藤先生の事落とすとか言ってたよね?良かった…………血迷わなくて良かった……。
「山下!何、ボケッとしてんだ!!女だからって容赦しねーぞ!?」
「先生~!山下、先生の事好きなんだってよ~!」
バカ!田中!!バカか!!
「バカ!田中!変な事言わないで!」
今このタイミングで、じゃ、付き合うか!とかになるワケが無いだろ!?そうか、それは困ったな…………とか言って、困ってくれたら嬉しいけど…………
後藤先生の方を見ると、先生は真顔でこう言った。
「すまん山下、お前の兄は好きだが、俺は女は好きじゃない。悪いな。」
「あはははは!山下フラれたな~!」
みんな笑っていたけど…………私はショックで声が出ない。
好きになる前にフラれた……。しかも…………ねぇ、みんな、ちゃんと話聞いてた?
後藤先生、雅兄が好きだって言ったんだよ?女は好きじゃないって言ったんだよ?それって…………
少しくらい…………甘い気持ちをくれよ!!ドキドキさせてくれよ!!何でこうなる!?
私、愛理に後藤先生と付き合うって宣言したのに…………落とすって言ったのに!!いや、話としては、確かに落ちてはいるけど!!
やっぱり思い知らされる。青春は…………全然甘くない。




