久しぶり
田中~!あんの野郎~!絶対あいつのせい!!
「ミア……後藤先生が好きって本当なの?」
「ミアちゃん、マジなの!?」
「山下さん本気!?」
は~い、私、山下心愛、高校2年生、只今3人に追い詰められていま~す!もう、脳内テンションおかしくなってま~す!完全キャラ崩壊~!
何気に3人に壁ドンされてま~す!右を向けばハルちゃんの手。左を向けば吉岡さんの手。上を向けば聡の手。お前ら3人で…………千手観音か!?仏星人か!?丸腰じゃ戦えんわ!!
これは、おそらく田中のせい。私が朝、後藤先生を探していると…………
「何?山下、後藤が好きなの?」
「え…………?」
クラスの男子にそう言われた。
「まぁ、教育実習に来る前から動画持ってたしな~!」
そうって言っといた方が協力してもらえたりするかな~?
「あー…………うん。まぁ。あの、この事はここだけの…………あれ?田中は!?」
ついさっきまでいた田中がいない……。
「さっきまでここに……あれ?」
田中がいない!?嫌な予感がする…………!!
そして、昼休みの現在に至る。早いよ!!あまりに早すぎるでしょ!?嫌な予感すぐ当たりすぎ!!
「田中~!お前のせいだ!!こいつら何とかしろ!!」
「え?何で俺?」
「お前がこいつらにチクったんだろ~が!」
しらじらしいわ!
「だって、黙ってろって言われてねーもん!」
「私が言う前に、ソッコーチクりに行ったんだろ!?え?わかってんだからな!」
「え~!どうすっかな~?応援団の俺のパート代わるなら助けてやってもいいけど?」
え?それ、私にガチで応援団やれって言ってる?
「わかった!わかったから!」
どうせここで断っても、他の手使って私にやらせるつもりなんだろ?
田中は私のその言葉を聞くと、3人に言った。
「悪い!俺の聞き違いだった。」
「はぁ!?」
3人の声がハモって3人は同時に田中の方を向いた。
今だ!!逃げよう!!そう思ったら、聡に捕まって、そのまま抱きしめられた。
「聡、お前こんな所で何やってんだよ!」
「木本君、やめなよ!みんな見てる!」
ハルちゃんの言葉にも、吉岡さんの言葉にも、聡は全く聞く耳を持たなかった。二人を無視して、ずっと私を抱きしめていた。
ああ…………聡の感触だ。
「ミアに触るの…………久しぶり。」
聡の匂い…………ドキドキする。
「ミアの匂い…………久しぶり。」
「ちょ、ちょっと待って!?何……考えてんの?こんな…………廊下のド真ん中で…………」
嬉しいのか悲しいのか良くわからない感情に襲われて…………思わず涙が出た。
「聡…………苦しいよ……。」
胸が苦しかった。聡が近いと……こんなにも胸が苦しい。やめてよ…………これじゃ全然諦められない。
「あぁっ!ごめんね!プニプニしてて気持ちいいなぁって思ったらつい…………」
そう言って聡は私を離した。
「ずるいぞ聡!僕だってプニプニしたいのに!」
それ、完全にビーズクッション扱いやん!
「ミア……泣いてるの?」
私は慌てて涙を拭いて笑って見せた。
「プニプニって女子に言うなー!」
すると聡は、笑顔で両手を広げて言った。
「技、かける?」
それ…………もはや要求ではないでしょうか?
「もう……散れ!!自分のクラスへ帰れ!!」
そう言うと、しぶしぶハルちゃんと聡は自分の教室へ帰って行った。
その後私が、壁に頭をつけて泣いていたら、吉岡さんが背中をさすってくれた。
「…………ありがとう。」
「こうやって弱ってる時に側にいられるのは、女子の特権ね。」
そう言ってずっと隣にいてくれた。
「何も言わなくても気持ちがわかるのは……女子の弱点ね。」
「…………ごめんね。」
吉岡さん、ごめんね…………ありがとう。




