落とす
久しぶり、愛理とゆっくり話ができた。私達は放課後、中庭のベンチで缶ジュースで乾杯した。
「お疲れ~!」
「こうしてゆっくりするの久しぶりだね~!」
外はもう、すっかり春の陽気だった。体育祭の準備が始まってからは、お互い忙しくて、なかなか会えなかった。
「愛理最近忙しそうだね!A組は応援、チアやるんだって?」
「そ~!ほぼ毎日チアの練習あるんだよね~。ミアも応援団で忙しそうだね~!まぁ、忙しくしてれば木本の事も忘れられるか!」
「うん……。」
正直…………全然忘れてない。
「そういえば、憧れの応援団長が、教育実習に来たんだよ~!」
「応援団長?」
「雅兄の同級生で、雅兄達の学年の応援団長やった人だよ~!後藤先生ちょ~カッコいいの!」
久しぶりミーハー心に火がついた。
「うわ~珍しい。ミアがカッコいいって男ってどんなの?写真は?」
私は動画を愛理に見せた。
「ね?カッコいいでしょ?」
「……うん。これ、応援団がカッコいいだけで、後藤先生自体はカッコいいの?」
「いや、好みは人それぞれだよね?」
それ……雅兄にも同じ事言われたんだけど!?
「どうせ後藤先生の事は影からキャアキャア言って楽しむ感じじゃない……?」
「え……それじゃダメなの?」
「断言する。ミアは後藤先生とは付き合えない。」
は?何で?何でそうなる?
「そんな事ないよ!私、後藤先生と付き合う!」
愛理は呆れてため息をついた。そして、携帯の写真を見せてきた。
「どうせまだ木本の事忘れられないくせに。ほら、これ。」
「何?」
そこには、あの時の妖精が写っていた。
「これ、聡の元カノ?」
「木本に聞いたら違うって。」
「そうなんだ……。元カノってどんな人なんだろう……。」
メンヘラさんの妹だから、きっとそこそこ可愛いんだろうけど……。
「でも、確実にこの女、木本を狙ってるよ?2日に一度はうちのクラスに来るもん。」
「へぇ……。」
妖精が聡を…………いっそのこと聡と付き合えばいいのに!ムカつく!
「あ、今ちょっとムカついた?」
「別に!?私は後藤先生と話して来る!いい。この妖精が聡を落とすより先に、後藤先生を落とす!」
そうだよ……。聡は他の誰かと付き合って、私も他の誰かと付き合えばいい。
そうすれば…………忘れられる!!




