表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/116

新年度

春休みはあっという間に終わり……新学期が始まった。


私は玄関のクラス分けの掲示板を見ていた。


聡と愛理とは別のクラスになってしまった。田中と吉岡さんとはまた同じクラスだった。田中に声をかけられた。

「山下~!今年はリング作ろうな~!」

「作ってどーすんだよ!」

いつの間にか吉岡さんもいた。

「リングあったら…………技、かけ放題だね。」

吉岡さん、かけ放題って!携帯プランじゃないんだから!!


そこに愛理も来た。

「ミア~!私あんまり知り合いいないクラスだよ~!あ、木本がいるか!あれ?木本は?」

「愛理~!聡は新歓の手伝い。」

いつも聡が手伝っている運動部の、新入生の勧誘を手伝うみたい。この季節はどこも部員確保に大変そうだ。

「じゃ頑張って友達作らなきゃね!私も、頑張って彼氏作る!」

「デジャブ…………?去年の今頃もそう言ってたよね?」


そういえば…………去年の今頃は、片方の靴下を見つけるみたいな、幸せな恋がしたいと思っていた。それなのに………


「じゃあ、新学年、新学期って事で、みんなでミアのおまじないやっとく?」

「え?何それ?」

「田中覚えてないの?遠足の時の!」

まぁ、田中が覚えてないのも無理はないか。私も忘れてた。


「あー!あれか!」

「あれって?」

私は吉岡さんに説明した。

「私の小さい頃からのおまじないなの。スタートの時は姿勢を正して両足を揃えると、上手くいくってやつ。」

「じゃあ、みんな1列に並ぶ?1列はスペース的に無理か。」


みんなでそこへ聡が小走りでやってきた。

「みんな!僕抜きでやろうとするなんて酷いよ!」

「あ、聡…………!ごめん忘れてた。」

「酷いよ~!」

ホナちゃんとハルちゃんも一緒だった。

「ミア~!会いたかった~!」

あぁっ!天使!!


私にハルちゃんが抱きつこうとすると、私の目の前に吉岡さんが大の字になって立ち塞がった。

「くそっ!ガードされたか……。」

「ミアちゃ~ん!ハルと同じクラスだった~!最悪~!」

ホナちゃんそんなにテンション下がる?気持ちわかるけど!


「じゃ、やろっか。姿勢を正して、両足揃えて。」

みんなが姿勢を正して両足を揃えて立つ。

「今年も学校生活が上手く行きますように。」

「よし、スタート!」


こうして、新年度が始まった。


今年は…………そう思って聡の方を見た自分がいた。


愛理に諦められるのか訊かれて、あれから少し考えたけど……ダメだった。全然わからない。全然考えがまとまらない。今でも聡が近くにいるのが当たり前で…………


だったら離れよう。今年はクラスも別々で関わる事もない。自然に消滅して行こう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ