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 -7 『可愛さは正義です』

 着替え終わったエイミと共に客間へと戻った。


 そこではふかふかの皮椅子にすっかり尻を沈めて落ち着いたリリオたちが待っていた。


「あ、お嬢様~。素敵なお召し物でございますです~」


 リリオの表情と共に、心なしか口調も蕩けている。すっかり椅子に骨抜きにされているようだ。


 ミレーナもその小さな背丈のほとんどを埋め、背もたれの中に隠れきってしまっている。パーシェルはというと、だらしなく足を広げたまま鼻提灯を膨らませて眠りこくっていた。天使の清楚さなど微塵もない残念さである。


「ずいぶんとだらけてしまってるわね」

「ずっと歩き旅だったし、宿屋もベッドは固いとこが多かったしね」


 久しぶりに安らげるのだ。包まれるような柔らかさに、ついつい気持ちも砕けてしまうのはわからなくはない。


 そんな彼女たちに、ふさふさな毛並みの大型犬が擦り寄る。エルという名前の犬らしい。その愛くるしさに、リリオたちはすっかり骨抜きにされてしまっているようだった。


「なんだか面白くないわね」


 パチン、とエイミが指を鳴らす。


 すると扉が開き、給仕服を着た女性が数人ほど、音も立てずに入ってきた。そして椅子に座るリリオたち三人を抱え上げ、瞬く間に部屋の外へと連れ去ってしまう。


 ボクは戸惑うばかりで、その光景を眺めることしか出来なかった。


 やがて再び扉が開き、使用人の女性たちが戻ってくる。彼女たちに運ばれてきたのは、先ほどとは衣装の違うリリオたちだった。


 もともと安っぽい給仕服を着ていたリリオは、まるでお姫様のような煌びやかなドレスに。その代わりのように給仕服はミレーナが着ている。しかも子供用のサイズに調整され、丈も膝上と中々に短い。


 しかしそれ以上に目を引いたのがパーシェルだ。彼女はどんな衣装かというと、何故かほとんど肌を露出させた、ビキニタイプの水着姿だった。豊満な胸元を薄い白布だけで覆った姿が室内にはひどく不似合いだ。しかも布地は少なく、大きな二つの玉が今にも弾け出しそうである。


「なんで私だけこんな格好なんですかー!」


 パーシェルが紅潮して恥じらいながらそう喚く。


「私だけ着替えるのは面白くないから、どうせならみんなもって思ったのだけど。獣人用の服はともかく、天使族のために翼を通せるような服なんてなかったのよ」

「だからってあんまりですぅ!」


 過度に露出された白い肌はボクの目にはあまりに毒過ぎて、意識しないように目を逸らした。


 比較的まともな衣装ではあるリリオやミレーナも、各々着慣れない格好に恥ずかしそうである。

 どこか田舎娘的なところがあるリリオは、随分と身の丈にあわない豪奢なドレスに戸惑っているようだ。しかし馬子にも衣装と言うには失礼だが、実際よく似合っているとは思う。


 ミレーナはと言うと、


「まあ、わらわは可愛いのじゃ。だからなんでも似合うのじゃ」と胸を張って豪語していた。しかし丈が短すぎて、少し屈もうものならスカートの中が見えそうになり、それを必死に押さえているようだ。


 そんな彼女たちの様子を、エイミは「うん、いいわね」とご満悦な表情で眺めていた。


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