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 -3 『変な人はいい人でした』

「アタシは国家騎士団の団長、ガイセリスよぉ」


 エイミとリリオが水浴びから戻ってきて、改めてボクたちは甲冑姿の彼らと相対した。


 ガイセリスと名乗った女性口調の男性は、やっとボクが体調不良などではなかったと理解してくれたようだ。礼儀正しく背筋を伸ばして「勘違いしてごめんなさい」と素直に謝っていた。


 やはり良い人のようだ。

 何故女性口調なのかはやっぱりわからないけど。


 エイミとリリオは彼を見て最初こそ不審がっていたが、彼の差し出した勲章を見て納得していた。


 王国の騎士団、それを取り仕切る団長の地位を示す、華をあしらえた十字の勲章。それから察するに、彼の身分は間違いないのだろうとわかる。


「天下の国家騎士様がどうしてこのようなところに?」


 ボクと手をつないだエイミがそう尋ねると、ひょうきんな顔をしていたガイセリスの顔がふと真剣なものに変わる。


 彼の視線はじっとエイミに向けられていた。

 まるで何かを値踏みするかのように、執拗に。


 やがて何かに納得したのか、やっと視線を解き、口を開いた。


「実はねぇ、近頃、この近辺で行方不明事件が相次いでいるのよぉ」

「行方不明なのです?」


 リリオがきょとんと首をかしげる。


「ええ、そうよぉ。なんでも、道往く商人や冒険者達がこのあたりで消息を絶っているのぉ。最初は野獣か野盗にでも襲われたのかと思ったけれど、それにしては数が多くてぇ。あたしたち騎士団が調査に来てるのよぉ」


「それは問題ね」

「そんなことがあったんだ」


 エイミもボクも初耳だ。


 誘拐か、はたまた魔獣のような怪物が行き交う人を襲っているのだろうか。


 国家騎士団は国に大きな影響を与えかねない案件を対処する、国家のエリートである。そんな彼らが出向くほどに一大事だと捉えられているということだろう。


 それだけ多くの人が失踪しているというわけだ。


「だから、こんな道から外れたところで独りで座ってる可愛い子を見かけたら、つい声をかけずにはいられなくてねぇ」


 うふん、とウインクされ、ボクは妙な寒気を覚えた。


 やはり良い人だが、少し気持ち悪い。

 いや、ボクが過敏すぎるだけかもしれないけれど。


「カイックの町では近隣に住む森の魔王が町に魔獣をけしかけて、森の外に進出することを企ててる、なんていう噂まで流れてる始末だしぃ。ちょっと治安が乱れてきているのよぉ」

「そ、そうなんですか」


 まさかそんな風な噂が広がっているだなんて。


「とにかく気をつけてちょうだいねぇ」


 そう言って、ガイセリスは華やかに手を振り、後続の騎士隊の人たちを連れてまた街道の方へと戻っていった。


「ず、随分と物騒なのですね」


 話を聞いて怖気づいたのか、リリオが声を震わせる。


 だがエイミは平然とした顔で鼻で笑っていた。


「わたしたちには関係のない話よ」


 そう言ってボクの方を見てくる。


 まあ確かに、どんな野盗や魔獣に襲われても返り討ちに出来る自信はある。


 用心棒的に頼りにされていると思うと悪い気はしなかった。

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