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しっぽの勇者  作者: 羽西ミル
【第2章】アルフヴェール学園編
9/10

【第8話】入学の手引き

ハーレムにするべきか迷います。うーん。


※2018/4/14 学園長の見た目を書き忘れていたので追加しました。


初めての魔物との遭遇の後、ジノは家に帰り、帰ってきたノクトとシャルに魔核石を見せていた。


「ジノ?!一体これはどこで見つけた?!」


ノクトが詰め寄る。


「え、えーと、いつも行ってる草原に魔物が居て・・・。」


パパンの珍しい剣幕に動揺してしまう。


「そんな!・・倒したのか?!」


ノクトは驚いているようだ。

いつも見回りをして魔物が居ないか確認している身からすると仕方の無い事だろうが。


「う、うん。」


「どうやって?!どんな魔物だった?!」


「そ、その、石に魔力を込めて飛ばしたら倒せたんだ。角がぐるぐるのウサギだったよ。」


「・・スプリングラビットだ。あの草原に居たのであれば、はぐれた個体だろう。弱い魔物で良かった。それにしても、石で・・。ジノには驚かされてばかりだな。」


ノクトはホッとしつつもまだ驚きが残っている様子だ。


「すごいわ!ジノ!もう魔力操作をそこまで使えるようになるなんて!!」


ママンは嬉々として息子の成長を喜んでいる。


「シャル、僕もジノが魔力操作を使える事は知っていたけど、スプリングラビットの毛皮は硬い。魔力を込めた石なら効くだろうけど、仕留め切れるとは思えないよ。ジノの魔力操作はどれくらいの物なんだ?」


「だから、言ってるじゃない!ジノの魔法使いの才能は50年に一度の天才だって!」


あ、ママンそれ本気だったんだ。


「な・・・本気だったんだ。」


ノクトとジノの意見が一致した。


「それが本当なら・・・。ジノ、一度同じ事を庭でやってくれるかい?」


「うん。」


庭に出て手頃な石を拾う。


「そこの大岩に思いっきりぶつけてみるんだ。」


家の庭にある3メートル程の岩に向かう。

魔力を操作し、石に込める。先程はMP50程だったが、動けなくなっても問題無いので100くらい込めてみた。


(思いっきりの回転と、威力を!!!)


「ちょっ、ジノ」


シャルが異変を感じ、止めようとするがもう遅い。


そして、投げる。


石が目で追えない程のスピードで大岩に向かって飛んでいく。


ボガァアアアアアアアン!!!!!!!!


落雷の様な凄まじい音と共に、大岩の中心は大きくえぐれ、石は貫通していった。

背後にあった木に石の半分程が突き刺さっている。凄まじい威力だ。


「こんな、感じ?」


両親を見ると、両名共に目を丸くし呆然としていた。


「これは・・・。」


「近所迷惑ね・・・。」


「いや、そうじゃなくて。ジノの魔力操作の腕は既にシャルを超えているよ。」


「そうね、驚いたわ!石にすごい魔力が込められていくから止めそうになったくらい!」


「先祖返りのおかげ?」


やりすぎたか。とジノは内心冷や汗をかく。


「うーん。どうなんだろう。」


ノクトは口の前に手をやり、考えている。癖みたいだ。


「魔力操作の素質は遺伝しないハズなのよ・・。」


シャルも同様だ。両親って似るっていうしな。


「前例が無いから何とも言えないな。全く。雷属性の適正然り、魔力操作の腕然り、ジノには驚かされてばかりだね。シャル、どう思う?」


「私達の息子は100年に一度の天才ね!!」


「いや、そうじゃなくて・・・。ここまでの実力があるんだ。学園に早期入学させる事を考えても良いんじゃないかな?」


ママンのハッピーな脳内状況に呆れつつ、パパンは提案した。


「学園?」


「あぁ。ジノはまだ見た事無いと思うけど、島の最北端にはアルフヴェール学園と言う場所があるんだ。」


へぇ。小学校みたいな所か?


「そこで何するの?」


「アルフヴェール学園は、羽が生えてくる4歳頃の龍人達が集まって、剣か魔法の技術を習得する為の唯一の場所だよ。」


養成学校みたいな物か。少ない人数でよくやるな。


「へぇー。どれくらい行くの?」


「人によりけりだよ。お金もかからないからね。早ければ数ヶ月で卒業する人も入れば、10年以上いる人もいる。あそこ程魔法の研究をするのにもってこいの場所は無いからね。ママはそれで教師になったのさ。」


「そうよ!ママは魔法が大好きなの!!ジノと一緒に学園に行ける日を楽しみにしてたわ!!」


「でも4歳からじゃないの?」


「そうだよ。そこで早期入学だ。特例だけど、余りある実力を持つ子供には早期入学が認められていてね。でも、ジノは辛い思いをするかもしれない。見た目の特異さは勿論、周りは年上ばかりだ。入ってきた幼い子供が教師以上の魔法の使い手だったら、いじめられるかもしれない。」


確かに、面倒臭いイベントに巻き込まれそうな臭いがプンプンするけど・・・。


「でも、ジノの将来の為には、早めに学園の生活をした方が良いと思うんだ。」


この島では唯一の学校イベントだ。やっておいて損は無いだろう。


「ぼく、行くよ。色々知りたい。」


「そうか、流石僕の息子だよ。シャル、申請はお願いするよ。」


「そうね!わかったわ!あとは学園長ね!明日、ジノを連れて行くわ!」


「どんな人?」


「私たちが生まれる前から学園長なのよ!族長より長生きしてるらしいわ!」


すごいな。本当に龍人族か?


「あぁ、忘れてた。学園長か。大丈夫かな。」


「ジノなら大丈夫よ!」


「彼女は変わってるんだ。どう変わってるかは、見た方が早いね。」


「う、うん・・?」


どう変わってるんだ!!


ママンの太鼓判に不安を覚えながらも、アルフェーヴル学園に向かう事が決定した。


その日の夜、予定通り変質でMPを0にしておいた。

朝起きた時には全回復しており、MPは288になっていた。順調な伸び幅だろう。


朝から早速学園に向かう。送り迎いはママンの背中に乗って飛んで行って貰う事になった。


何度か乗せてもらった事はあったが、いつ見ても真っ赤で綺麗な羽だ。至近距離で見ると、中々の迫力がある。


空から見る島の様子はいつも見てる景色とはやはり違った。長閑な村、山、湖などを見ていると心が和む。


そんな事を考えていると、急に速度が上がった。


「うわぁ!!ママン、速いよ!」


「いけない!忘れてたわ!今日ママ早く着いてなきゃいけなかったの!しっかり掴まってて!」


ママンのおっちょこちょいは健在だ。


あまりの速さに最早目も開けられず、無我夢中にしがみつく。しばらくして、ズサーっと派手に着地した。


着いたようだ。煙たい。


「ジノ!あとはそこら辺の人に聞きなさい!じゃあね!」


「えっ・・!」


ママは飛んで行ってしまった。本当に嵐みたいな人だ。


「ど、どうしよう。」


困った。周りの人に聞こうにも怪しまれないだろうか心配だ。

周りを見渡してみる。ここは学園の門の手前のようだ。周りを見渡すと、人間の見た目の龍人が多い。なぜだろう。


とりあえず、変体(ヴァリアント)を使って羽、ツノ、尻尾、眼鱗をしまった。体の見た目はほぼ人間になった。これで浮く事は無いだろう。


改めて学園を見てみる。

面積は広そうだ。日本だと普通の大学くらいはあるだろうか。


真っ白で大きな建物が円を描く様に3つ連なっている。屋根は灰色と青の間みたいな色で綺麗だ。


それぞれの屋根の上に大きな球体が浮かんでいて、球体には、左が剣。右が杖、そして中央に龍がそれぞれに刻まれていた。


ファンタジー物体だ。どうやって浮いているんだろう。


全体が塀に囲まれ、中央に大きい門がある。

空を飛べる龍人にとって、門は意味あるのか?


門にはまばらに歩いている龍人が入って行くが、空から直接飛んで行く龍人の方が多い。

うーん。塀の意味は無さそうな気がする。


この学園の生徒は何人くらい居るんだろうか。学園長はどんな人物なんだろうか。

そんな事を考えながら、どの人に声を掛けようか迷っていると。


「あ、あの・・・。」


背後からか細い声が聞こえた。


「うん?」


背後を振り向く。そこには、純白に輝く赤い瞳の美しい少女が居た。


「・・・・・・・・・アハド?」


思わず声に出してしまった。そう。つい一年前、創救の始祖龍アハドの顕現体だった、あの娘だ。


「ちがうっ・・・・・・!」


彼女はその名前を聞くと目を見開き、怒りの表情で睨まれた。


(マズイ。失言だったかな。)


「あ、あぁ!そうだよね!ちがうよね!しろくて綺麗で勘違いしちゃったんだ!ごめんなさい!」


取り繕うように演技をした。


「・・・・・・勘違いなら、いい。」


彼女はぷいとそっぽを向いてしまった。


ふう、焦った。


それにしてもアハドが顕現していた時とはかなり違うようだ。

それもそうか。本人は俺の中だしな。

身体も成長し、幼いながらも眩い美貌を隠しきれない程だ。



折角勇気を出して声を掛けてくれたんだ。話を聞こう。


「ところで、どうかしたの?」


彼女はゆっくり此方を向くと、ぽそり、ぽそりと話し始めた。


「・・・・・・入学の、試験に、きた。」


「それは奇遇だ!ぼくもなんだ。」


試験?試験があるのか?


「・・・・・・場所、分かる?」



「・・ううん、ぼくも今探してるところなんだ。一緒にさがす?」


「・・・・・・・うん。いいよ。」


なんだか、幼稚園児とおままごとをしている気分だ。


「あ、自己紹介がまだだった!僕はジノ・フロット。君は?」


「・・・・アルル・ドラクロン。」


やはり神官の家名だ。ドラクロンってカッコいいな。ジノ・ドラクロン。悪くない。


「アルル、か。良い名前だね!ぼくの事はジノで良いよ!よろしくね!」


手を差し出す。


彼女はビクッとして、手を見る。


「ジ、ジノ・・・・。アルルも、アルルで・・いい。・・これ・・・なに?」


手を指差し、戸惑っている。

そういえば、握手の文化は無いのかもしれない。

まぁ、問題無いだろう。


「握手って言って、手を握り合うんだ。親しい仲での挨拶みたいなものだよ。」


「あくしゅ・・・親しい・・・仲・・・。」


「ぼくたち、もう友達だろう?」


「友達・・・ジノと、アルルは、友達?」


「握手をすれば、友達さ!」


そんなルールは無いんだけどね。


「・・・うん。握手、する。ジノ、よろしく。」


彼女は恐る恐る手を差し出し、握り合った。


「うん。よろしく!アルル!」


ニカッと笑ってみせる。生前はこの笑顔で良い意味でも悪い意味でも大体誤魔化してきた。


「初めて・・友達・・・できた・・。」


「ぼくも初めての友達だよ!」


「ジ、ジノも、初めて・・嬉しい。」


彼女の表情が初めて和らいだ。スゴく可愛い。


(・・・ハッ!!見惚れていた!!俺にその気はないぞ!!!無いったら無いぞ!!!!!)


ロリコンの気持ちが少しわかってしまったジノだった。


「こほん!!ところで、どうしようか。門に入って行く人に聞いてみる?」


「・・・アルルには、無理・・。ジノに声をかけるので、精一杯。」


物凄い人見知りみたいだ。仕方ない。俺も人見知りじゃない訳じゃ無いんだけど、女の子の手前弱い所は見せられない。


とりあえず、あそこの体格の良いオッサン龍人に聞いてみよう。


「あ、あの!!!」


「んん?どうした、坊主。」


肌の色は浅黒く、スキンヘッドのイカツイオッサンだ。変体で角を出したらどうなってるんだろう。気になる。


「ぼく達、今日入学しに来たんです。どこに行けば良いですか?」


「ハッハッハ!!冗談はいけねぇなぁ坊主。こんなちっこいのが入れる訳ねぇだろう。」


「じょっ冗談じゃありません!申請はしてあります!」


「・・・あぁ?もしかして、シャルの息子とドラクロン家の巫女か?」


巫女?アルルは巫女なのか?


「巫女じゃ・・・ない。」


アルルは少し不機嫌になったみたいだ。


「まぁその辺の話は聞いただけだ。気に障ったなら許せ。しかし、坊主がシャルの息子か。噂だと、雷属性の適正者らしいじゃねぇか。最近学会は坊主の話題で持ちきりだぜ。」


やたら詳しいオッサンだ。


「あの・・あなたは学生の方ですか?」


「ハッハッハッハ!!!そう見えるか?若く見られたモンだ。っと悪い。俺はモットー・ウルベント。剣術の教師だ。」


「先生だったんですね!良かった・・。」


「そういやぁシャルはどうした?アイツにドラクロンの子の引率を頼んだんだが。」


「え?母は飛び去って行って、さっきそこでアルルと出会ったばかりですけど・・?」


すると、遠くから声が聞こえてきた。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあああい!!!!!!」


ママンが叫びながら空から落ちてきた。


「ま、ママン・・・。」


ズサーッと砂埃を撒き散らしながら着地した。煙たい。


「モットー!あぁ!良かった!ジノとアルルちゃん、一緒だったのね!」


ママンは息を切らしている。余程焦っていたのだろうか。


「シャル!!お前・・ガキを連れて来る事も満足にできねぇのか?!」


「ごめんなさいモットー!忘れてたの!次は気をつけるわ!」


「忘れてただぁー??!ったく!!お前は魔法以外はてんでダメだな!よく出来た息子で良かったよ!!」


「そうね!ジノは天才よ!!」


今のは皮肉で言ったんだと思うけど・・。


「ハァ。もういい。話すだけ無駄だ。お前はいつも通り魔法学の授業に出てくれ。」


ウルベント先生、苦労してんな。


「わかったわ!ジノ、アルルちゃんの事、頼んだわ!じゃあね!!」


また嵐の様に去っていった。


「母は、家でも嵐の様な人です。ごめんなさい。」


「気にすんな、昔からだ。お前はまともで良かったよ。あんなのが増えたら胃が蜂の巣みてえに穴だらけになっちまう。」


「あの人・・・ジノのお母さん?・・すごいひと。」


「あはは・・。」


苦笑するしかない。


「おっと、悪い。話が逸れたが入学だったな。こっちに来てくれ。」


門から入って、中央の一番大きい建物に入った。

中はシンプルな構造で、部屋ごとに文字が書いてある。

この世界の文字にも言語理解(ワールドワーヅ)が適用されていて、意味がわかる。


「図書館」と「保健室」と「職員室」が見えた。中央の建物には人があまりいない。


中央には大きな螺旋階段があり、そこの一番下の段に乗ると、自動的に螺旋階段が回り、登って行く。


すげえ。


「今からお前らには学園長に会ってもらう。彼女は学園の全権を持っているからな。会う上で注意しとくべき事を教えておくぞ。」


ウルベント先生は見た目に寄らず気が利いている。ママン、こういう事息子にくらい教えとこうぜ。


「まず、学園長室に入ったらこう言え。フィルトフェレストメレス学園長、お初にお目にかかります。でそれぞれ名前を言って、早期入学をお許し下さい。これで良い。」


フィルトフェ・・・なんだって?


「フィス・・フィルフェレ・・・」


アルルがぶつぶつ呟いている。かなり緊張しているようだ。


「そんなに長いお名前なのですね。」


「あぁ、俺はこの間名前を噛んだら魔法で2キロくらい飛ばされたよ。気をつけろ。フィルトフェレストメレス、な。」


物騒な学園長だな!!!


「あ、あとは何かありますか?」


「いや、無い。 彼女のお眼鏡に叶うかどうかは運次第だ。名前さえ間違えなきゃ死ぬ事は無いさ。おっと、着いたな。武運を祈るぜ。あ、ノックは5回な。」


一際大きな扉の前で自動螺旋階段は止まった。


ウルベント先生は歩いて螺旋階段を下っていった。帰りは歩きなのか。変な所が不便だな。


大きな扉にも他の部屋同様に「学園長室」と書いてある。


「アルル。ぼくが挨拶をするから名前を言ったら続けて名前を言うだけで大丈夫だよ。準備は良い?」


「・・・・うん。ありがとう。」


意を決して扉を5回ノックする。

すると、自動的に両の扉が開いた。


「ようこそ。我がアルフヴェール学園へ。私は学園長フィルトフェレストメレスです。」


そこには、学園長フィルトフェレストメレス、その人が居た。

シルバーの長い髪を後ろに纏めたお団子ヘアー、と言うのだろうか。そして美しい翡翠の瞳。

長い年月を生き続けてきたとは思えない美貌を兼ね備えていた。


「フィルトフェレストメレス学園長、お初にお目にかかります。ジノ・フロットと申します。「アルル・ドラクロンと申します。」早期入学をお許しください。」






「嫌です。」







「「ーーーーーーーーーえ?」」


不自然な点、誤字脱字等御座いましたらご指摘よろしくお願いいたします。


コメントお待ちしてます。

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