【第1話】殻の中から
うんうん悩みながら、小説を書くのは思ったより楽しいものですね。拙いと思いますが、宜しくお願いします。
不自然な点、誤字脱字等御座いましたらご指摘のほどを宜しくお願いします。
深い深い眠りから覚め、意識が浮上する。
(ふぁぁ・・・よく寝た・・・。えーっと、ここは?)
目を開けてみると、そこはやや黄色がかった半透明の液体の中のようだ。
周りを見回そうとするも、うまく体を動かす事ができない。
どうやらまだ体も出来上がっていない状態のようだ。
(うぉお、転生とは聞いてたけど胎児スタートかよ。羊水の中って事か?不思議な感覚だな。。)
「■■■■■■■、■■■■■■■■。」
なにやら声?のような物が聞こえる。耳はある程度発達しているようだ。
理解はできないが、落ち着いた女性の声だ。不思議と心が和らぐ。
(新しいお母さん、なのかね。)
少し、複雑な心境だ。楠川アキトだった頃の親とはもう会うことはできない。
元々それ程思い入れがあるわけでは無かったが、二度と会えないという現実を目の当たりにすると、
親孝行しとけば良かった、なんて自分らしく無い考えも出てくるものだ。
(はは。異世界転生で舞い上がってたけど、少し寂しいもんだな。)
なんとも言えない感情に浸っていると、ふと視界の隅になにやら表示されている事に気づく。
(ん・・?あ〜なんだっけ。V世界?必須スキルとか。数値化っていってたっけな。)
視界の右上側に、3本の棒のような横長の枠が表示されている。赤い棒と青い棒と透明な棒だ。
それぞれの棒の下には白文字の数値でこう表示されていた。
《 HP:5/5 MP:5/5 EXP:0.00% 》
(ステータスバー、かな?ゲームみたいだな。弱いけどまぁ胎児だし仕方ないよね。
にしてもV世界ってのは何なんだろう。地球の考え方だとアルファベットだから、
え~26?の世界があるって事か?まぁ考えたって仕方ないな。
え〜〜と、他には何があるかな?)
視界の最上部に、タブの様な物が存在する事に気づく。
(え〜〜っと見れるのは自己詳細ステータス、スキル欄、記録表示か。
ここまでくると本当にゲームだな。セーブ機能無いのかね・・・。うん。無いね。
まず、自己詳細ステータスを見て見よう。ん~どうやって開くんだ?)
タブを開こうと思考した瞬間に視界の中央右側に縦に長い長方形のウィンドウが開く。
(うおぉっ。慣れないとビックリするな。)
そこにはステータスバー同様に白文字でこう表示されていた。
種族:龍人族:幼生体(転生体)
種族固有スキル:飛行、変体、龍人魔法、龍人格闘
スキル取得条件:孵化、先天的性質、一定レベル達成、一定ステータス達成
レベル:1
装備:なし
HP:5/5
MP:5/5
(?! 龍人族?!お、おおお!!!
テンションブチ上がったぜ!!まさか龍人に転生するとは。
龍ってだけで最強の予感がするのに龍人って!
こりゃ人生イージーモード確定だな!げへへ。
この種族固有スキルってのは龍人族限定スキルって事だな。
龍人魔法はブレスとか吐くのかな。ク~~ッ気になるぜ!一刻も早く使えるようになりたい。
変体ってなんだ?龍人だしドラゴン形態になれるとか?オラワクワクすっぞ!
ん、取得条件があるって事はまだ取得してないんだな。先天的性質ってどうしようもねぇじゃねぇか。。翼とか生えてないと飛行できないとか?
まぁその内わかるか。新パパンママンの遺伝子に期待!んっとスキル欄は・・と)
[取得済みスキル]
《祝福》
『鑑定lv.1・・・あらゆる物の名称が分かる。』
『超回復・・・HP、MPが低い状態から回復した際、上限値が微増する。』
『記録表示・・・自身に対するあらゆる状況の情報が表示される。』
《固有スキル》
『変質lv.1・・・体の一部分の性質を変える事ができる。』
(祝福スキルって事はナナシさんに貰ったスキルだな。鑑定、記録表示、超回復か。
鑑定はまぁあるあるスキルだよなぁ。祝福って程の物か?
記録表示はよりゲームっぽくする為のスキルって感じがするな。タブにあるしね。
超回復、コイツはかなり重要だろう。
今までやってきたゲームでも上限値上昇系スキルってのは必須スキルになる事が多かったからな。
ん、レベルが付いてるスキルがあるな。熟練度とかで上がるのかな?
あとは固有スキルの変質。体の一部分の性質の変化・・。うーん。なんとも使ってみない事には分かり辛いな。
これが世界で俺だけが持ってるスキルか。
裏を返せば祝福スキルは持ってるやつも居るって事かな。
別枠になってるけどナナシさんがつけてくれたのかな?
考えても仕方がない。スキルを使ってみよう。んお、不思議だ。使い方がなんとなく分かる。)
表示されていたウィンドウを閉じようとした瞬間に消えた。
(うぉおう。こりゃ慣れるまで時間かかるな。)
早速、自分が浸かっている液体を鑑定してみよう。
液体を注視し、頭の中で唱える。
(『鑑定』。)
すると、視界の端にウィンドウが表示される。
『卵白』
(ええ?!卵白!?卵白・・・って事は卵なのか。まぁ、そうか。龍って爬虫類っぽいもんな。)
予想外の結果に度肝を抜かれたが、気を取り直し変質を使ってみる事にした。
(俺のユニークスキルだ。さぞチートなんだろう。体は見れないから意識を頭に向けてみよう。)
(『変質』)
(・・・・?何も変わらない気がするけど・・・。)
よく見ると、元々5しかないMPが0になったいた。
(おぐうっ・・。MP切れか・・・?)
MP切れと同時にひどく気分が悪くなり、意識が朦朧としてくる。意識は深い闇の中へ沈んで行った。
「■■。■■■。」
心地良い声に体が反応し、意識が戻る。
(ん・・・ニューママンの声かな。あれ。MP切れの不快感は無くなってるな・・。ん?なんか、視界が広いような。。お、おお。視界が動かせる。)
ふと、以前より体が自在に操れるようになっている事に気づき、下を見る。
人間でいう所の5ヶ月程の大きさだろうか。胎児としての体がある。
(わお。これが新しい俺の体か。手とかはまだできてないし、そこまで自由は効かないな。)
どれくらい意識を失っていたのだろうか。
記録表示を見てみよう。視界上部のタブかr(ウィンドウが表示される。
(うぉおう。)
ーーーー
《記録表示》
ー3日前 変質使用時、MPが0になりました。
ー魔力切れによりHPに1のダメージを受けました。
(!?魔力切れでHP減るのか。あぶねぇ。それにしても3日も気を失っていたのか。まぁ胎児だし時間の感覚は曖昧なのかもな。)
ー 超回復の効果によりHP,MPの上限値が増加しました。現在HP最大値:5 MP最大値:7。
(MPは自然回復するのか。良かった。超回復さんまじパネェっす。ん?HP変わってねぇ。減った量に応じて効果が増減するのかな?生まれるまでにMPは充分に上げられそうだ。HPは減る量が少ないからあまり期待しないでおこう。)
ー孵化まで残り176日14時間。
(お、孵化のタイミングまで分かるのか。便利だな。ってまだ半年近くもあるのか。暇すぎる。)
記録表示はここで終わっていた。
(うーん。やる事もないし変質でMP使って増やしとくか。手に集中してみよう。『変質』。)
すると、手の甲に違和感を感じる。だが、直ぐ様MPが0になり、また気を失ってしまった。
それを続ける事約1ヶ月半。
記録表示に異変が起こった。
ー超回復による使用回数が現在レベルの上限に達しました。
ー現在最大HP:7 最大MP:202
(レベルで使用回数付きかよ。まぁそりゃそうだよな。チートすぎるもんな。
まぁMPは初期値5に対して200オーバーなんだ。充分だろう。・・・いや、まてよ。
HPももう伸ばせないのか!むむむ。そう甘くないな。更にレベルで使用回数の制限があるって事は、
よくあるアニメ展開みたいな超強い敵を倒して超レベルアップすると丸損するって事か。
意外と使いづらいスキルだ。HPは一度に減る量がMP切れによる1ダメージだけのせいでまだ7。仕方ないか。慎重に調整しないとせっかく貰った恩恵の意味が無い。)
この頃になると、変質を使ってもすぐにMPが無くなる事は無くなっていた。
また、MP切れの不快感も徐々に慣れ、数分は気を保っていられるようになった。
変質は発動消費MPが5。そこから使用中MPが継続的に消費されていくといった物のようだ。
(未だにこの変質の効果が分かりにくいんだよな。ま、胎児の内に色々できるってだけでかなりフライング気味なんだろうけど。今日は少し変質の使い方を色々変えてよう。『変質』)
手の甲に集中し、ダイヤのように硬くなるように念じてみる。
すると、視界から見える手の甲の皮膚が、ピキピキと音を発しながら角ばった透明の皮膚に変質していく。
(おぉ!こう使うんだな。)
MPが0になる。
(なっ!?まだ5秒程しか経ってないぞ。うっ気持ち悪・・。変質する物によって、消費MPも増えるのか・・?)
《スキル変質のレベルが2に上がりました。》
(お、レベルが上がった!スキルの詳細は変わってないな。そうだ。このMP切れの状態で変質を使ってHPだけ減らせないかな。よっ『変質』・・・ダメだな。何の反応も無し。うーん、これからどうするか。超回復できないんじゃなぁ。う・・気が遠くなって来た。おやすみ・・・。)
それから俺は孵化まで約4ヶ月半を、自信の固有スキル変質の使い方を体に慣らしていく事に費やした。
変質のレベルアップで得たのは変質範囲の拡大と継続消費MPの消耗効率上昇だった。超回復は打ち止めだったので、数値は変わらなかったが、変質のレベルはもう1つ上がった。今では片腕をまるまるダイヤモンドに変質させる事ができる。もちろん消費MPはその分増えて2秒ともたないが。
体の変化もあった。孵化まで1日を切った俺の体は、人間でいうと1歳児程の大きさになり、髪や歯も生え揃っていた。自らの体を観察して人間と違う所がいくつかあった。
まずは歯だ。犬歯が通常よりも長い。少し口からはみ出ているのを感じる。
次に鱗と角。これは感動した。目尻の部分にわずかながら鱗らしき物がある事が分かる。
かなり硬く、鋭い。触る方向を間違えると怪我しそうだ。なぜこんな場所に・・?
また、こめかみ付近から耳の上方向に向かって2センチ程の小さい角が生えている。先端は丸く、何の為にあるのかわからない。これも質感は違うが、かなり硬い。歯の質感に似ている気がする。
そして最大の違いが尻尾だ。これはかなり後半に体が自在に動かせるようになってから気がついた。
最後の2ヶ月に程で急激に伸び、今では体の半分程の大きさまで長くなっていた。
見た目はまんまアニメで見るドラゴンの尻尾だ。真っ直ぐに伸びていて先に棘とかは付いてない。
尻尾の上半分には黒色の鱗がびっしりとならび、下半分は分厚い皮膚だ。イメージとしてはかかとの部分の2倍くらいの厚さだろうか。
尾てい骨のあたりに感触があり、動かすには結構コツが必要だった。
人間でいえば尾てい骨にいきなり足が生えたような感覚だ。
ただ尻尾にはかなり筋肉が集中しているようで、慣れると自由自在に操る事ができた。
鱗も生えているし攻撃にも防御にも使えるだろう。
言語は全く分からない。どうにかならんだろうか。
さて、明日は大事な俺の誕生日だ。どんな世界なんだろうか。楽しみだ。
コメント、スゲーお待ちしております。