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punimon - 育成チートで異世界最強ハーレムを!  作者: 如何屋サイと
第四章 決戦! カントウハイブ
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第一章33★ハイブ初勝利は夢への第一歩! 感謝のお祭りデート

 ピカリュウが「はっ、はっ」と呼吸を乱しながらサタケに振り向く。

 目が合った途端、彼女の双眸がキラリと潤んだ。

 隠しきれない笑顔を引っさげて、ピカリュウは胸元に飛び込んでくる。



「ピッカァ!」



 ピカリュウは顔を胸に埋めて、背中に手を回して力強く抱きしめる。

 痛いくらいが現実味があってちょうどいい。

 俺は彼女を優しく抱きしめた。



「ピカリュウ。ほんと……、ありがとう……」



 キミが生まれてきた日のこと、今でも覚えている。

 俺……、本当に嬉しかったんだ。


 知らない世界に生まれ直して、昔いた世界と同じ轍を踏まないよう生きてきた。

 最悪な人生じゃない。ただ、それだけ。

 の人生を本当の意味で変えてくれたのはキミなんだぜ、ピカリュウ。


 ピカリュウはいつものように頭をコシコシしている。

 頭を撫でてやった。気持ちよさそうに声を漏らすのでもっと撫でてやる。

 たくさん砂が付いていた。バトルステージが砂地だったから仕方ない。


 サタケの腰に下げたホルダーからタネネが自主的に出てくる。

 ソルベルに肩を支えられながらサタケに寄り添った。

 バトルに出ていなかったソルベルも自分のことのように喜んでいる。



「みんなのおかげだぜ。ありがとう」



 今回の勝利はみんなの強みを繋いできたからだ。

 ソルベルはハードロックを応用して、タネネに弾丸型あてっこを伝授した。

 タネネは弾丸型あてっこで、ピカリュウにドリルダイブ対策を会得させた。


 パイルドライブを覚えたきっかけはスミクマとのバトルだ。

 石につまづいてスミクマを抱きしめたまま地面に引きずった時にひらめいた。

 ドリルを受け止めればいいのだ、と。


 ちなみに相手の懐へ飛び込むのはサタケ相手に何度も経験済み。

 ヨミヤ原生林での特訓でなんとか身につけた。


 成功するか不明だったけど、負けないように戦うより勝つために戦いたかった。

 みんなの想いを勝利に届ける。それがトレーナーであるサタケの役割だ。


 アルケミコをディスクに戻したマツシがサタケたちに近づく。

 ピカリュウがソルベルの方へ寄る。



「おめでとう。ハナガサタウンのサタケ! 勝利した君にこれを授ける!」



 彼の差し出したそれを見て、サタケは嬉しさで息を呑む。

 手のひらを広げて待った。

 マツシは「うむ」と神妙そうに頷き、ゆっくりとその上に置く。


 銀の感触が冷たい。

 よく磨かれた黄土色の宝珠が付いている。

 宝珠の中に、ぷにもんディスクを模したリーグ公認の紋章が浮かぶ。


 それをぎゅっと握りしめ、拳を胸に当てる。

 指で摘んで空高く腕を突き出す。


 サタケは【カントウリング】を手に入れた!



 大歓声。

 人々の盛り上がりは最高潮に達する。


 マツシが髭を撫で付けながら問う。



「君はぷにもんとどうありたい?」



 考えてみたけれど、うまく言葉が浮かばない。


 ピカリュウがサタケの腕にしがみつく。

 彼女の熱が伝わってきて、いつもと同じように金の髪をくしゃっと撫でた。



「って、そうじゃなくて、どうありたいか……」


「ふぉっ、ふぉっ。いや、それでいい」



 慌てて答えを考え始めたサタケにマツシは笑いだした。



「これもあげよう」



 サタケは【ドリルダイブの極意】をもらった。



「【ドリルダイブの極意】があれば、例えば大きな岩が邪魔で通れない道がある時、一時的じゃがドリルダイブをぷにもんに使わせて、岩を壊すことができるのじゃ」



 続けて、極意はぷにもんバトルでは使えないことを教えてくれた。

 どうやらこれからの冒険に役立つ道具らしい。

 ぜひ活用させてもらおう。



「さあ、今宵は祭。サタケ、君も祭を楽しんだらどうじゃ?」



 隣にはピカリュウ、ソルベル、タネネがいる。



「はい、そうします」



 マツシは集まった人々に祭の続行を宣言する。

 民衆がマツシに注目したおかげで、サタケが土俵から外に出られる隙間ができる。


 サタケはタネネをディスクに戻してマレビトのみさきをあとにした。



 カントウシティのぷにもんセンターへ行き、彼女たちの体力を回復させる。

 センター内にあるぷにもんショップの店員の女性が話しかけてきた。

 ゆるく束ねたひとつ結びの髪型で、水色のエプロンをしている。



「ハイブ勝利おめでとうございます! 冒険に役立つ道具を取り揃えています!」


「そうですね……。俺、次のハイブを目指しているんです」


「でしたらタンザクシティはどうですか? 【ククリビナタウン】を越えた先です」



 ショップ店員がマップを開く。

 タンザクシティは月のどうくつが通行止めのせいで行けなかった街だ。



挿絵(By みてみん)



「途中の【カントウの森】は毒ぷにもんがたくさんいます。そこでコチラの商品!」



 カントウシティの真上にあるダンジョンを指し、喜々として道具を取り出す。

 サタケは何も言い返せない。

 ショップ店員がニコニコしながら無言の圧力をかけてくる。



「……」



 サタケは【げどく薬】を買った。



「まいどありがとうございます! またのお越しをお待ちしております!」



 店員が去る。

 他の客に「いつもニコニコ、ぷにもんショップです!」と話しかけていた。


 過去の自分を思い出して心を無にしていると、ピカリュウたちが戻ってきた。



「ピッカァ!」



 ピカリュウがすりすりと頭をこすりつける。

 サタケのぷにもんからの好かれようは周囲を見れば一目瞭然だ。

 誰一人としてぷにもん3体から同時に好意を寄せられているトレーナーはいない。


 なんだかちょっと恥ずかしく思えてきて、ピカリュウをやんわり離す。



「ピィ?」


「あー……、えっと、そうだな……。あっ、お祭りを見に行かないか?」


「ピ」


「ソルル」


「ネェネ♪」


「よし。そうと決まればさっそく!」



 サタケはピカリュウたちに【ヨミヤ浴衣】を着せた。

 【きせかえセット】のおかげで一瞬だ。


 タネネは浴衣姿を初披露した。

 パーティの中でいちばん幼い外見だが、おかっぱ頭だからか浴衣がよく似合う。

 結い上げた髪からチラリと見えるうなじが艶めかしい。


 そうしてサタケと3匹はカントウシティのお祭りを楽しんだ!

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