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punimon - 育成チートで異世界最強ハーレムを!  作者: 如何屋サイと
第一章 サタケとピカリュウ
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第一章02 美少女にモテる能力!? 弱虫・勇気・恩返し その1

「う〜ん。これは見たことのないぷにもんじゃぞ!」



 コキド博士の研究所にやってきたサタケは博士にぷにもんを見せていた。

 壮年の博士は白衣をはためかせ、瓶底びんぞこメガネで金髪の女の子を穿うがつように見る。

 横顔から垣間かいま見える瞳は少年のようにキラキラしていた。



「ピィピ……」



 キラキラした視線を嫌そうに遠ざけて、女の子はサタケの背中に隠れた。



「すまんすまん、怖がらせてしまったかな?」



 ボサボサの髪を掻いて、申し訳なさそうに博士が謝る。

 博士はサタケに向かって、



「それにしても新ぷにもんの孵化うかとは恐れ入った! さすがサタケじゃな」


「ギリギリになったけど、生まれてきてくれて良かったです!」


「シグレと同い年じゃろ? 孫がぷにたまを孵して一年、心配しとったんじゃ」



 ……まあ、中身は30歳越えてますけど。



「あはは。あ、そうだ、コキド博士。こいつの名前は何ていうんですか?」


「新しく見つけたぷにもんは見つけた人が付けるんじゃ!」


「そうなんだ……! ねぇキミ、なんて呼んで欲しい?」



 サタケは振り返って生まれたばかりの少女に目線を合わせる。

 少女は後ろで手を組み、サタケの熱い眼差しから恥ずかしそうに目をそらした。



「……ピカリュウ」


「そうか、キミの名前は【ピカリュウ】って言うんだな!」


「ピィカリュ?」


「ピ・カ・リュ・ウ! よろしくな、ピカリュウ!」


「ピッカァ!」



 サタケが両手を広げると、ピカリュウは嬉しそうにサタケに飛び込んだ。

 その時、電撃がサタケの身体に走り、地面を伝ってコキド博士も感電する。



「「あばばばばばばばば!!」」


「はぁ……。何してるの二人とも!」



 ガチャン! とお盆を机に乗せる音を立てて、シグレが呆れた顔をしていた。

 お盆の上のお皿には、高菜でくるんだおにぎりが乗せられている。

 どうやらコキド博士の朝食らしい。



「おお、誰かと思えばシグレじゃな。今日はどうしたんじゃ?」


「忘れちゃったのじーちゃん!? 今日は私のマリンコを見てくれるんでしょ!」


「おお、おお、そうじゃった。きちんと育てたのに進化しないんじゃったか?」


「そうよ! 私、じーちゃんの孫でしょ? 間違った育て方してないもん」


「……ん? どうしたんじゃサタケ。進化とは何かじゃと?」


「なぁに、サタケ。進化も知らないの? まさかぷにもんも知らなかったり?」



 シグレが話に割り込み、返事を待たずにサタケを椅子に座らせた。

 そうして踵を返し、研究所の扉を開ける。奥から女の子たちが出てきた。

 どの子も色とりどりの髪や瞳で、年齢は5歳〜18歳くらいだ。



「【ぷにもん】って知ってる? この子たちのこと!」



 ぷにもんと呼ばれた少女たちがサタケを見つけるとワラワラと集まってくる。


 頭に猫のような耳のある小さな子。

 紫の大きな瞳を持った同い年くらいの子。

 腰に黒い尻尾が生えた年上の子。


 この子たちはすべて【ぷにもん】という人間とは異なる生き物だ。


 座っていたら寄ってきた。

 鼻を近付けて匂いをかいだりペロっと舐めたりする。



「うぁ! 知ってる知ってる! って、また俺に頭を擦りつけくるよ!」


「それは大好きって意味よ。……うう。私のところには一匹も来ないのに」


「サタケはぷにもんに好かれる才能があるんじゃな」



 ……ぷにもんにモテモテ。それが俺ことサタケに与えられた天賦の才らしい。



「好かれるのは嬉しいけど、俺にはピカリュウっていう相棒ができたんだ」



 サタケは膝の上でうたたねをする猫耳を生やした女の子の髪をそっと撫でる。

 好かれるのはイヤじゃないけど。

 いささか好かれすぎるのは『普通の異世界生活』に支障が出てしまいそうだ。



 ふと気がつく。

 そういえばピカリュウがいない。



「ピカリュウ? どこいったんだ?」



 サタケはぷにもんたちを努めて優しくどかしてから立ち上がった。


 すぐに見つかった。


 ピカリュウは研究室の端で小さく丸くなって怯えている。



「どうした、ピカリュウ!」



 駆け寄ってピカリュウの背中を撫でる。

 頭に生えた羽が震えていたのが少しずつ止まってきた。


 博士がピカリュウの様子を見て、ふぅむ、とため息をもらす。



「きっと怯えてしまったんじゃろうな」


「怯えて……? そっか、俺が近くにいながら、ごめんな……」



 生まれてまだ1日も経っていない。

 ぷにもんはいきなり小学生くらいの外見で生まれてくる。

 だけど、心はまだ幼いままなのだ。



「サタケが付いておれば大丈夫じゃろう。そうだ、そのぷにもんのことじゃが」


「サタケ! じーちゃんにそこまで認められたんだったら、勝負しなさい!」


 またもシグレが割り込んでくる。

 今度は手にディスクを持って、サタケに見えるようにかざしていた。



「ぷにもんバトルよ!」


「……ぷにもんバトル?」


「そうよ。ぷにもんはバトルして鍛えるの! 鍛えれば強くなるのよ」


「鍛えれば強くなるって、ピカリュウは怯えて……」


「弱いから怯えるの。私が教えてあげるわ。表に出なさい!」



 そう言い残してシグレは研究所を出る。バタンと扉が閉まる音がした。

 研究所のぷにもんたちがザワザワし始める。


 ピカリュウの羽は震えが完全に止まっているようだった。



「なあ、ピカリュウ? 俺と一緒に戦ってくれるか?」


「ピィカ?」



 ピカリュウはキョトンとした顔でサタケの顔を覗く。

 こがねに輝く瞳には怯えた様子は微塵みじんも感じられなかった。

 サタケは小さく頷いて、ピカリュウの頭をグシグシと強く撫でる。



「ようし、ピカリュウ! 一緒にバトルしようぜ!」


「ピカピ!」



 コキド博士が飛び出さんとするサタケに声を掛ける。



「まだバトルは早い! それにシグレは一年も前から修行しとるんじゃぞ!」


「関係ないですよ! 俺は今日からぷにもんトレーナーなんだから!」



 サタケはピカリュウの肩甲骨の辺りに手を当てる。



「弱いなんて言われて、黙っていられないもんな?」


「ピ?」



 彼女の背を押しながら、サタケは研究所の外に出た。

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