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punimon - 育成チートで異世界最強ハーレムを!  作者: 如何屋サイと
第三章 カントウシティとヨミヤ原生林
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第一章18 はぐれ者の戦い! ジョーカー団と色違いぷにもん

 赤いタネネの態度からサタケに催眠術をかけたのは彼女に間違いない。

 ソルベルが赤いタネネに警戒態勢を取った。

 サタケはソルベルを止める。



 悪さをしようとしていたのなら、あれほど優しくしてくれただろうか?

 きっと何か理由があってそうしているんじゃないかと思った。



 赤いタネネは茂みの向こうを眺める。

 サタケもその先を覗き込んだ。

 タネネたちが切り株の周りを歌いながら踊っていた。


 無論、あれは幻惑で見えているタネネではない。

 サタケは赤タネネの寂しそうな横顔を見つめて合点がいく。



「タネネ。仲間がほしいのか?」


「……タネ」



 恥ずかしそうに頷いた。


 サタケはまるで自分のことのようにうんうんと相槌を打つ。



「分かる……。輪の外にいるってのはつらいよな」


「タネ!」



 タネネは胸のペンダントを力強く握りしめる。

 怪しい光が灯った。



「タネネ。今の俺も、シグレって幼馴染はいるけど、仲間ってのはいなかった」


「タネ?」


「催眠術で仲間にしても本当の仲間にはなれないぜ」


「……タネ」


「ピカリュウやソルベルは本気でぶつかったから、今こうして仲間なんだと思う」


「ピカ!」


「ソル!」


「タネネ、怖がらないでぶつかってみろよ」


「タネ……。タネ!」



 タネネはペンダントから手を離し、サタケに向かって意志を示して見せた。


 踊っていたタネネたちが動きを止める。

 なぜならちょうどそのタイミングでジョーカー団の下っ端がやってきたからだ。

 原生林に入る前に絡んできた青年である。



「赤くないぷにもんもハッケーン!」



 手をメガネのようにして緑のタネネたちを驚かす。

 いきなりのことでびっくりして動けなくなっていた。


 どうしたものかとサタケが思っていると、



「タァネネ!」



 赤いタネネが下っ端の前に飛び出していった。

 緑のタネネたちを守ろうとしているのだ。



「赤いぷにもんハッケーン! 俺より下っ端もハッケーン!」



 赤タネネが出ていったせいでサタケは見つかってしまった。

 茂みから身を乗り出し、少し拓けたところに出る。



「よォー! 俺より下っ端デュースカード団員! 赤いぷにもんを捕まえろ!」



 サタケは青年に顎で指示される。



「こいつはこれから仲間を作ろうとしてるんだ。それを捕まえられない」


「だったら仲良くぜーんぶ捕まえろ!」



 サタケは途方に暮れて赤いタネネを見た。

 先程まで友好的だったのに、赤いタネネはサタケにも敵意を向ける。

 彼女の意志は固いようだ。



「ピカリュウ、俺に協力してくれるか?」


「ピ!」



 ピカリュウはサタケの隣に立つ。

 サタケはジョーカー団の下っ端の方を向いた。



「ありがとう。俺は赤いタネネを守ることに決めた!」


「なっ!? オマエ、俺の部下! 俺の言うことは絶対! なら分からせてやる」



 ジョーカー団の下っ端は胸元に「J」を作る。

 「J」を作った手の肘のところに、もう片方の手でぷにもんディスクを掲げる。

 そのまま両手をクロスして、バックハンドでディスクを投げた。



「大人社会の怖さを教えてやれ、【ハミデムシ】!」



 ジョーカー団が繰り出したのは鬱々とした表情の女の子だ。

 年頃は5歳ほどとかなり幼いが、猫背で瞳に精気がない。

 地面に届きそうな紫色の髪の頂点には2本の触覚がピクピクと動いている。



「頼む、ピカリュウ!」



 ピカリュウがサタケの前に出る。

 赤いタネネもピカリュウの横に並んだ。



 まず攻撃を仕掛けたのは赤タネネだ。

 ペンダントを握り、怪しげな光玉をもう片方の手から撃ち出す。

 勢い良く飛んだもののハミデムシには効果がないようだ。



 サタケは図鑑を取り出し、ハミデムシをスキャンする。

 図鑑の画面には水と悪タイプの複合であることが書かれていた。

 悪タイプに効かないということは、タネネの技は超タイプの技だったらしい。


 タネネがどんな技を覚えているかはゲットしたぷにもんじゃないので不明だ。

 それでもサタケはミユのタネネを知っている。



「俺の指示を聞いてくれ、タネネ! ハミデムシに【あてっこ】!」


「タ……、タネ!」



 指示を受けて戦うというのは初めてなのだろう。

 少し動揺しながらもタネネは回転する球体を作り出した。

 あれこそミユ戦で苦労して攻略した中距離攻撃だ。



「タネ!」



 タネネが球体を投げつける。

 ミユのタネネと違って球速が早いため、地面で跳ねずに茂みへ入り込んだ。



「次はピカリュウ! ハミデムシが逃げた方向へ【びりびりぎゅー】!」


「ピッカ!」



 ピカリュウは元気よく返事をして、ハミデムシに向かって走り出す。

 ハミデムシは避けるので精一杯でピカリュウを意識できていない。

 ピカリュウは小さな身体を突き飛ばすように抱きしめる。



 水タイプに雷タイプの技は威力2倍だ!



 バリバリと電撃が走り、ハミデムシが断末魔の叫びを上げる。

 ピカリュウの一撃でジョーカー団の手持ちは沈んだ。



「クソ! 下っ端のくせに!」



 ジョーカー団の下っ端は倒れたハミデムシをディスクに戻すと逃げ去った。


 取り残されたサタケはピカリュウをたくさん褒めてやる。

 サタケは自身がタイプ相性を考えてバトルを組み立てられるようになった。

 自身の成長を噛み締めながら喜んだ。



 赤いタネネがサタケに一声かける。



「タネ」


「どうした? まだ仲間になれるか心配なのか?」


「……タァネ」


「よく見ろよ。緑のタネネたちはキミを歓迎しているぞ」


「タネ?」



 赤いタネネの後ろに控える緑のタネネたちに指をさす。

 彼女たちは赤いタネネの活躍に目をキラキラさせていた。


 振り向いた赤いタネネがどんな顔をしているかはよく見えない。

 喜びで笑顔かもしれないし、嬉しさで泣いているかもしれなかった。

 どちらでもサタケにとっては幸せなことである。


 タネネは背中を見せたまま言葉を連ねた。



「タネ、タネネ。タネェネ、タネ」



 なんて言っているのかは分からない。

 それでも言葉は感謝の意味を含んでいるのだとは感じ取れた。


 だからサタケは「うん」と頷いて、彼女が輪に入るのを見送ったのだ。

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