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punimon - 育成チートで異世界最強ハーレムを!  作者: 如何屋サイと
第三章 カントウシティとヨミヤ原生林
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第一章13 彼女が水着に着替えたら

 ぷにもんセンターで休んだサタケはコキド博士に連絡を取った。

 連絡はセンターにあるモニターを使って行うビデオ通話だ。

 ぷにもんの力で通信できているらしく、文明レベルで日本とは違う。


 しかし、現代日本と同様に高度に発達した文明だ。

 手段が異なっていても道具を使うのが人間である限り、似たものが生まれる。

 ぷにもん専用の道具はなく、人間がぷにもんに使う道具しか見たことがない。



 長い呼び出し音の後、



「おおサタケ! 久しぶじゃなあ! どうじゃ? ぷにもんの仲間は増えたか?」


「おはようございます、コキド博士。ぷにもんの仲間は増えました!」


「ソル!」


「おお! ソルベルか。実に珍しいぷにもんを仲間にしたんじゃの!」



 コキド博士が映る画面を横に狭めるように、画面が割り込んでくる。



「ふーん、レアハンターでも目指すつもり?」


「シグレ!」



 サタケより数時間ほど前にハナガサタウンを出発した幼馴染のシグレだ。

 つっけんどんな態度を取っているが、久しぶりに話せて嬉しそうにしている。



「おおー、孫娘よ! どうしているんじゃ?」


「今はカントウシティにいるわ。ゲットしたぷにもんは30匹よ」


「さすがワシの孫娘じゃ!」


「手元に残したのは本当に強いぷにもんだけに絞っているけどね」



 シグレは目標を決めたらストイックにこなす人間だ。

 まだ10歳だが、リーグのチャンピオンを目指そうという強い意志がある。



「これからカントウハイブに挑戦するところ」


「シグレはもうそこまで行ったのか……」


「なに? サタケは私に張り合おうっていうの? 10年早いわね」



 10年くらいなら余裕だ。前世から言えば20歳くらい歳が離れてるし。


 ふん! と鼻で笑って胸を張る。

 どうやらサタケをライバルだと認めていないらしい。



「俺はシグレに追いついてやる。待ってろよ!」



 サタケは笠をかぶって、さっさとモニター前から去った。

 後ろをピカリュウとソルベルがついてくる。

 2匹ともディスクに入って休むという選択肢はないらしかった。


 ピカリュウは一緒に旅をしようという約束のために歩いている。

 ソルベルはその様子からサタケたちを守るために歩きを選択したようだ。

 サタケは頼もしい2匹を連れて歩けることに嬉しくて笑みが湧いてしまう。



 ぷにもんセンターを出て、コンペキ山のふもとから山道への道へ行く。

 嬉しい気持ちのおかげか足取りは軽い。

 コンペキ山道をぐんぐん歩く。ざざぁ、ざざぁ、と海の音が近づいてくる。



 山道を抜けると真っ白な砂の広がる浜に出た。

 どこまでも広がる青い空と碧い海、夏の透き通るような爽やかさを感じ取れる。

 海水浴を楽しむ客やぷにもんがいて、色鮮やかなパラソルが立ち並ぶ。


 サタケは後ろを歩くソルベルに振り返った。



「海で遊んだことはある?」



 ソルベルは瞳をキラキラさせて、輝く海を見つめていた。

 質問の返事はなかったが、それだけで彼女が海を見たのが初めてだと分かる。



「うん。それじゃあ、海に行ってみようか」



 サタケが笑いかけると、ソルベルは一瞬だけ満開の花のような顔をした。

 すぐさま表情をいつもの凛々しいものに戻したが、頬は少しゆるんでいる。


 2匹を連れて防波堤を下ると、熱々の砂浜にたどり着いた。



「ピリュッ、ピリュッ」



 足を交互に上下させて、熱そうにぴょんぴょんしている。



「熱いなら日陰を歩くといいぞ。まあ、日陰なんてないけど」



 太陽を遮るものは誰かのパラソルくらい。

 けっこう離れているが、向こうに海の家があった。



「なら、海の家まで走るぞ!」



 サタケは2匹よりも先に砂浜を駆け出す。

 やわらかい地面に足を取られつつ、転ばないように走った。

 最初に追いついたのはピカリュウだ。むしろ追い抜いていく。


 ピカリュウが先に海の家に到着し、ふふーんと胸を張っている。

 サタケが到着し、ほんのわずかな差を付けてソルベルがゴールした。

 ソルベルは息を切らしながら、汗で頬に張り付く髪の毛を耳の後ろにやる。


 その姿を見たサタケは胸に手を当てて深呼吸をした。

 ピカリュウが息を吐いているサタケの肩を叩く。

 アイスを食べたいらしい。


 海の家の脇にあるパラソル下にいた老婆からアイスを買う。

 黄色と赤の2色で花の形に成形してくれた。

 ピカリュウはいつもの食事をする時よりも嬉しそうに食べた。



 無邪気なピカリュウの姿を眺めていると、また肩を叩かれる。

 今度はソルベルもアイスを食べたいのだろうか、と振り返った。


 そこにいたのは中年で小太りのおじさんだ。

 しかしその姿は異様である。

 虹色サングラスをかけ、ギラギラゴールドなネックレスをしている。



「もし。アナタ、このぷにもんのトレーナー?」



 おじさんは手のひらを上に向けて、ソルベルの方をさす。



「……はい、そうですけど?」


「ワタシ、しんびがんおじさん。この子、最高だネ!」


「……はぁ」


「いい素材を持ってるネ〜! これ、あげるヨ!」



 サタケは【ハナガサみずぎ】をもらった。

 実際の水着ではない。洋服のデザイン画のようだ。

 黄色の生地に赤い花が描かれたエレガントな水着が描かれている。



「アレ? もしかして【フィルム】の使い方、知らない?」


「フィルム?」


「だったらこれ、あげるヨ!」



 サタケは【きせかえセット】をもらった。

 どう見ても古い一眼レフカメラだ。軽いのでおもちゃっぽい。

 セット内容のうちもう1つはフィルムをしまうケースだ。



「操作はカンタン! フィルムをカメラに入れて、着せ替えたい子を撮る!」



 サタケは言われたとおりにフィルムをカメラにセットする。

 たしかフィルムというのは撮った写真を保存する道具ではなかったか?

 しっくり来ない顔をしながら、サタケは指示通りソルベルをカメラで撮影した。


 パシャッ、と大きなシャッター音がする。

 ファインダー越しに見るソルベルの姿が先程とは異なっていた。

 思わずカメラから目を外し、そのままのソルベルを確かめる。



「か、かわいい……!」



 ソルベルは一瞬のうちに水着姿になっていた。


 ビキニタイプの水着はソルベルの健康的な肌を露出している。

 腰のパレオには花があしらわれ、彼女の強烈な上半身との塩梅を取っていた。

 そう、たわわに実った2つのそれが半ば暴力的に存在を主張しているのだ。



「ソッ……」



 ソルベルは爆発するように顔を真っ赤にさせて背中を見せた。

 その背中も夏の海にふさわしい輝きを放つ白さで美しい。



「し、しんびがんおじさん……。これすごいっすね……」


「でショ! うーん、ビューティフォー!」



 しんびがんおじさんがグッとサムズアップする。


 まさか服を着せ替えられる道具だとは思わなかった。

 ソルベルには悪いことをしたとサタケはうつむく。


 申し訳なさそうにするしているところを振り向いたソルベルに見られる。



「ソルベル。ごめんな、急に格好が変わってびっくりしただろ?」


「ソル……」


「ご、ごめん。元に戻すから」


「戻す時はフィルムを抜いて撮ればいいヨ」



 サタケはフィルムを抜き、カメラをソルベルに構える。



「ソルル」



 ソルベルがカメラを退ける。



「ソ……。ソルル、ルル」



 自分の格好を指してサタケを見て、頬染めて恥じらっている

 もしかして「かわいい」って言ったのが嬉しかったのだろうか?



「うん、かわいいと思うぜ」


「ソッ!?」



 ボン! と耳まで真っ赤になる。


 でも、なんだか嬉しそうだ。

 あんなに凛々しかったソルベルが、今では純情そうな乙女になっていた。



 サタケの背中を誰かが押す。

 よろめいたサタケはソルベルに優しく受け止められた。


 間近で見ると本当に大きい……、じゃなくて、えーと、きめ細かな肌だ。



「ピーピカ!」



 ピカリュウがサタケたちを呼ぶ。

 しんびがんおじさんが「むむむ」とグラスを光らせた。



「これ、あげるヨ」



 サタケは【スクールみずぎ】をもらった。

 しんびがんおじさん、完全に分かっている人だ。

 ピカリュウはあっという間にスク水姿に早変わりした。



「ピ?」


「おお、ピカリュウはやっぱりかわいい」


「ピ……、ピィピカ!」



 サタケの言葉に照れたのだろうか、くるりと海の方を向く。

 少し赤くなった顔で振り向き、海を指さした。



「行こう、ソルベルも」



 サタケはソルベルの手を引いて、ピカリュウと一緒に駆け出した。

 ピカリュウがはじめに海へ飛び込む。波と楽しそうに戯れる。

 一方、ソルベルは歩みを止めた。表情が硬い。



「怖いか?」



 無言で頷く。

 山で育ってきたから、海に慣れていないのだ。



「じゃあ手を握ってるよ。立ってるだけでいい」



 サタケはソルベルの手を引いて、湿った砂の上に立つ。

 ソルベルはおそるおそる立っていた。


 小さな波が打ち寄せる。



 握った手からピクッと驚きが伝わってきた。

 膝の下くらいまで水に浸かる。その後、波が引いていく。


 かかとの部分の砂がなくなっていく感覚があった。

 ソルベルが尻もちをつく。

 手を繋いでいたのでサタケも一緒に尻もちをついた。


 目を白黒させるソルベルがおかしくて、サタケは大声で笑う。

 ソルベルがむっと睨む。

 鋭い目つきだが今はぜんぜん怖く見えなかった。


 次の波がやってきてサタケは顔に思い切り波を食らう。

 ピカリュウが波に乗ってやってきて、頭からビショビショのサタケを笑う。

 サタケは水着を着ていないので、服が濡れてぐっしょりだ。


 ソルベルもピカリュウにつられて微笑む。

 サタケたちは笑いあい、夏の海を満喫した。

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