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punimon - 育成チートで異世界最強ハーレムを!  作者: 如何屋サイと
第二章 コンペキ山のジョーカー団
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夜会話02 ピカリュウとソルベル

 コンペキ山のふもとに戻ってきたサタケたちはセンターで休むことにした。

 サタケは多くのトレーナーに興味を持たれ、その対応で手一杯だ。

 旅の話を聞かせてくれ、というのがほとんどだった。


 そこでサタケは旅の1日めから順番に話す。

 そして、誰も彼もがトレーナー歴3日ということを信じてくれなかった。


 ゲストハウスの部屋に戻ったサタケはベッドにうつ伏せに倒れ込む。



「つ、疲れた……」



 ぼそっとつぶやいた言葉を聞いていたのか、ピカリュウが隣に腰掛ける。

 目の前にピカリュウの健康的な太ももがあった。


 一昨日はミユもいたけれど、今日はピカリュウと二人で眠ることになる。



 ……。


 サタケは顔をマットレスに顔を埋めたまま頭から湯気を出した。



 ……………………。

 …………。

 ……。



 小さな段差を踏み外したかと思って身体がビクッとなる。

 どうやら夢を見ていたらしい。


 サタケは床に膝をついて、上半身だけベッドに付けているのが見える。

 目の前にあるのはサタケ……、つまり俺の背中だ。

 なんと、俺は景色を俯瞰していた。



 夢……。というよりは幽体離脱みたいな感じだ。

 正直びっくりはしていない。なぜなら俺、一回は死んでます。

 それになんとなく覚えがある。目と耳をもらったあの夜と近い感覚だ。


 またぷにもんの声を聞けるということなのだろうか。



 ピカリュウはサタケの肉体の横でスヤスヤと寝息を立てている。

 ああ、もったいない。……今はサタケの身体にこの精神がないから言えるけど。

 言葉は通じないけど金髪ロリと寝食をともにしてるんだぜ?


 楽園だ。



 いや、ピカリュウに手を出すなんてことは絶対にしない。

 彼女が望むのなら俺は構わないが、そうでないならノータッチを貫こう。


 それにぷにもんにそういうことをする人を、この世界で見たことがない。

 現地の人にはモンスターとして認識されている。


 ピカリュウが寝返りをうつと、タオルケットがめくれて丸いお腹が見える。

 ももの付け根の部分を鼠径部というのだが、それがうっすらだが確認できた。

 どうしても目が離せないと悩んでいたら、ピカリュウが呻きながら目を覚ます。


 まずい! どこかに隠れなきゃ……。


 ピカリュウは寝ぼけ眼をこすりながら、サタケの身体をゆすった。

 サタケは死んだように眠っている。


 そうだった、ここにいる俺はバレないんだった。


 魂未実装のサタケは一向に起きる気配はなく、ピカリュウは頬を膨らませた。

 彼女はベッドの上でジャンプして、その反動で床まで跳躍する。

 ピカリュウの反動で俺の肉体は床に投げ出された。


 ガン! という重たい音を立てて、サタケは額を床に打ち付けている。


 ピカリュウはアワアワして、サタケの背中をそっと揺すった。

 サタケは乱れのない呼吸を繰り返している。

 ピカリュウはほっと胸をなでおろし、今度は抜き足差し足忍び足で出口へ行く。


 ドアノブを両手でそーっと下ろしてゆっくりと開いた。

 俺は自分の肉体が気になったが、ピカリュウに付いていく。


 ピカリュウがビクッと背筋を凍らせて、



「ピッ!」



 短い悲鳴を上げた。



 どうしたピカリュウ!



 叫んでも声は届かない。

 肉体の方は今なお床に突っ伏して眠っている。

 興味本位で幽体を楽しむべきじゃなかったと後悔したが、それもつかの間。



「すっ、すまない!」



 ぼんやりと月明かりで浮かび上がったのはソルベルだ。



「驚かせてしま、あ、うう……」



 ピカリュウがソルベルからじりじりと後ずさる。

 ソルベルは残念そうに身を引いた。


 彼女が悲しそうに目を伏せるのをピカリュウは見逃さなかった。



「ソルベル?」


「あの……、私はその、怖いのだろうか……?」


「こ、こわくないよ!?」


「ならばなにゆえ後ずさりするのだ!?」



 ピカリュウは怖くないよと言いながら半歩ほど飛び退いていた。

 ソルベルが目をカッと見開いて聞き返す。



「やはり怖がっているではないか!」


「こわくないよ! ただ、目つきが少し……」



 ソルベルの目元にはうっすら涙が浮かんでいる。


 言葉が分かるとぷにもんは人間の女の子と変わりないように見えた。

 例えば、ソルベルだったら男顔負けの凛々しい女子剣道部主将って感じだ。


 ふとソルベルは何かを思い付いたように口をポカンと開ける。

 次に、自分のスカートの裾を破って、ハチマキのような帯を作った。

 帯の真ん中を眉間に当てて頭の後ろで結ぶ。目隠しの完成だ。



「フフ。これならどうだ?」



 自慢げに廊下の方を向いて言った。

 ピカリュウはソルベルの後ろにいる。完全に見えていないらしい。



 ピカリュウは小首をかしげて考えて、



「あと、爪も少し……」



 ソルベルの尖った爪を指さした。



「ならば少し手伝ってくれぬか?」



 ソルベルは先程と同じようにスカートの裾をビリッと破る。

 この時点でソルベルの服はかなり丈が短くなっていた。

 それでも構わず出来上がった帯をピカリュウに取るよう促す。



「その帯で私の両手を縛ってくれ!」



 ソルベルがピカリュウにお願いする。

 ピカリュウは指示された通りにソルベルの手を取った。

 帯をソルベルの両手首に巻きつけてきつく縛る。



「ふむ。これなら完璧だな!」


「うん。怖くないよ!」


「フフフ!」



 ソルベルは目隠しされ、両手を縛られながら笑顔だった。



「ところで何してたの?」


「主の安眠を護るのが騎士の務めなのでな」


「みはり?」


「うむ」



 そういえばリンネスの眠りを守っていたのがソルベルだった。



「そうなんだ。じゃあピカリュウお水飲みに行くね」


「うむ、気をつけるのだぞ」



 ピカリュウは喉が渇いたから夜中に起きたようだ。

 ソルベルを残してトテテとゲストハウスのキッチンへ向かった。



 ……。

 …………。

 ……………………。



 翌朝、サタケは額をさすりながら目覚めた。



「寝落ちしたっぽいな……」


「ピカァ?」


「おはよう、ピカリュウ」


「ピッカァ!」



 ピカリュウがサタケに飛び込んでくる。

 寝起きの彼女のいつもより温かい身体を感じながら、サタケはぼんやりした。



「なんかピカリュウが喋ってる夢を見たような気がするんだけど……」


「……ピカ?」


「え、なにその何もしてないです、みたいな顔」


「ピィピカ!」



 ピカリュウが抗議する。



「ごめんごめん。さあ、顔を洗いに行くぞ」


「ピカ」



 サタケは廊下に繋がるドアを開ける。



「うわ! ……って、ソルベルか」


「ソルル!? ソッ、ルルッ、ソルゥ……」


「え? なんで縛られてるの?」



 ソルベルが必死に弁明をしている。

 その様子からひどい目に遭ったわけではなさそうなのが伝わってきた。

 目隠し状態でアピールするものだから、大きな胸がサタケの顔面に当たる。



「もごっ!?」


「ルソッ!?」



 ソルベルはあわてて飛び退く。


 サタケは深呼吸してから、ソルベルの目隠し布を解いてやった。


 普段は目つきがキツいと思っていた彼女だが、今ばかりはそうではない。

 涙で潤んだ瞳を震わせてサタケのことをチラチラと見ていた。

 恥ずかしかったのだろう、耳まで真っ赤にしてうつむく。



「……俺の理性、どこまで保つかなぁ……」



 サタケは困った風につぶやいて、頬をかいた。

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