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punimon - 育成チートで異世界最強ハーレムを!  作者: 如何屋サイと
第二章 コンペキ山のジョーカー団
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第一章11 騎士少女《ナイトガール》はかわいいものがお好き?

 目覚めたサタケに気づいたのだろう、ソルベルがやってくる。

 薄暗いドームの中でソルベルが手にしたものはキラリと光を反射した。


 ピカリュウがサタケに身を寄せる。

 すぐそばにソルベルがやってきたからだ。

 ソルベルは手にしたそれを差し出す。



「え? これ、くれるのか?」


「ソル」



 鋭い目つきをしたまま小さく頷く。



「ありがたくもらっておくよ」



 サタケは【あやしい鏡】を受け取った。

 鏡を自分の顔に向けてみたが、そこには何も映し出されていなかった。

 映っているのはみすぼらしい祠だけだ。



 みすぼらしい祠なんて、リンネスが耳にしたら怒るだろう。

 今、彼女はきっと夢を見ていない。

 なぜならサタケがぷにもんの言葉を分からないからだ。


 ぷにもんが口が利けなくても意思疎通はできる。

 技の指示は伝わっているのだ。だから言葉を分かっているはずである。

 また、ぷにもんは言葉の代わりに感情が表に出やすいところがある。


 例えばピカリュウはソルベルのことが怖い。

 サタケにべったりくっついて離れようとしないのだ。



 ピカリュウの様子を察して、ソルベルはドームの端へひとっ飛びした。


 目つきは悪いが、そんなに怖がることのないぷにもんなのかもしれない。



 上着から図鑑を取り出し、ソルベルに向ける。

 ピコンと音が鳴ってデータが出てきた。


 そこにはぷにもん世界の言語で説明が記されている。



「解錠ぷにもん。悪タイプなのか。あ、しかもけっこうレアぷにもんなんだね」



 一緒に記載されている分布図だと、コンペキ山でしか発見例がないらしい。

 ソルベルをじっくりと観察する。

 ゲットしたい。


 ……今まで見たぷにもんでいちばん大きなおっぱいだから、とか思ってないよ。



 逆にピカリュウはぺったんこだ。凹凸がほぼないと言っていい。

 ……生後3日めだけど。



「ピカ?」



 生まれたばかりだと思えば、余計に愛らしさが増す。

 ピカリュウは知ってか知らずかサタケに頬ずりをした。


 かわいくて好きな子にそんなことされたらサタケも頬が緩む。


 離れた場所で佇むソルベルは二人の様子をガン見していた。

 どうやらピカリュウのことが気になるようだ。

 ピカリュウを撫でてやったら、気持ちよかったのか、小さくあくびをした。


 同時にソルベルの頬が赤く染まったように見える。

 ……ふむ。


 まさか撫でてほしいとか……?



 サタケはソルベルに対して手招きした。

 ソルベルが素早く跳んでくる。



「ソ?」


「ピィカァ……」



 ピカリュウがソルベルの視線に怯え出す。



「ソ……」



 申し訳なさそう。

 どうしたらいいの分からない様子だ。

 彼女もまた、洞窟内のぷにもん同様に人との接触が少ないのかもしれない。



 サタケは頷きながら、ソルベルを近くに寄るように招く。

 ソルベルがサタケの前で片膝立ちをした。



「……ソ? ソルルっ?」



 すかさずサタケはソルベルの頭を撫でてやった。

 白と黒のツートーンカラーな髪は綺麗に色分けされている。

 撫でるとツヤのある髪がきらめいた。しかもなんだか良い香りがする。


 ソルベルは凛々しい表情を崩して、まぶたを重たそうにまどろみ始めた。

 よほど撫でられたのが気持ちよかったのだろう。



「ソ……、ソル!」



 ソルベルは急に我に返って、サタケから飛び退いた。

 サタケが手を伸ばすと、ソルベルはツンとしてまた後ろに下がる。

 さっきまであんなに気持ちよさそうにしていたくせに。


 サタケは思わずフッと笑う。

 ぷにもんのそういうコロコロ変わる表情も好きなのだ。



 ソルベルの鍵の飾りが揺れ、彼女はすっくと立ち上がった。

 鋭い目つきを洞窟の方へ向ける。



「バンカー様! ここです、強いエネルギー反応があります!」



 男の声が反響する。

 洞窟から出てきたのはジョーカー団の団員と幹部のバンカーだ。

 5人の中でメガホンを持っていた団員のようだ。



 サタケはピカリュウが怯えないように手を握ったまま立ち上がる。



「昨日の少年か。なぜここにいる?」


「それはこっちのセリフだ。ここは神聖な場所だぞ」



 思わず素で言い返してしまった。

 いけないいけない。あくまでサタケは10歳の少年、初心者トレーナーなのだ。



「ほう。ここがどんな場所であるか分かっているというのか」



 バンカーが向けてきたのは値踏みするような目だ。

 サタケが生唾を飲むと、興味をなくしたように視線を外した。



「あの祠があやしいな。さっそく調べろ」


「了解しました!」



 団員が祠へ向かうと、ソルベルが団員の前に立ちはだかった。



「ななっ! ジョーカー団に歯向かうか、このぷにもん!」


「下がれ。お前は祠を調べろ。このぷにもんの相手は私が引き受ける」


「バンカー様……!」


「なに。強さを秘めた者を手中に収めるのもまた強さの証明だ」



 どうやらバンカーはソルベルをゲットしようという魂胆のようだ。

 バンカーはぷにもんディスクを掲げ、エンデッドを繰り出した。



「エンデッド。捕獲だ。……協力してくれるな?」


「……エ〜」


「分かった。ならば容赦なくやるが良い」


「エンデッ」



 少しでもぷにもんが拒否したら、強制しないのがバンカーの流儀らしい。

 エンデッドは暗黒微笑を放ち、ソルベルと対峙した。



 一方、団員はバシャバシャと湖に足を踏み入れ、サタケのいる孤島へ向かう。

 おかげでピカリュウがサタケの後ろに隠れてしまった。


 サタケの手に持ったあやしい鏡に大人の男の顔が浮かび上がっている。



「おいおい、逃げろよサタケ。お前が戦う理由がどこにあるんだ?」



 鏡の中の男が言う。

 まさか。


 まぶたをこすって見たが、まだ映っている。

 人生に希望を見いだせないまま、電車で漏らしたクソ野郎の姿だ。

 クソ野郎は笑う。



「戦えば、普通の少年時代を送れなくなる。いいのか、それで?」



 ……。


 正直、良くない。

 ろくな人生を送ってこなかった。

 生まれた時からすでに人は不平等だが、死は平等だと信じていたのに。


 クソまみれで死んだ。


 最後までクソたっぷりの人生にサヨナラして、普通の少年時代を送ってきた。

 せめて普通になりたかった。


 それを手放すのか?



 キィンッ、という甲高い音が聴こえた。

 洞窟の出入口に視線を向けると、ソルベルがエンデッドと戦っている。


 ソルベルは守ろうとしているのだ。

 リンネスの眠る祠を。ぷにもんの違いを越えて、必死に戦っているのだ!



 サタケは……、いや、俺は両手で頬を勢い良く叩いた。

 団員は驚いて、理解不能という目を向けてくる。

 ピカリュウもびっくりしている。



「ソルベルが守ろうとしているんだ。俺も一緒に守らなきゃ……!」

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