結構チートだからなぁ
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これから結構話が進んで行きます
士官学校でのカリキュラムは訓練と座学の割合がだいたい7:3ほどの比率で行われる。実践訓練に重きを置いていることがよくわかるが、これはもちろん本番を見越しての訓練だ。そしてここヴィランドルフ士官学校の訓練は特に厳しいことでも有名である。
今回の訓練は仮想敵を想定しての攻防術式の展開だ。
要は模擬戦で、仮想敵はイワレコフ教官が魔法で生成してくれる。ブルグンド戦線での戦闘に備え、死喰族を模した奴らを創るそうだ。
「模擬戦とは言え、イワレコフ教官の創る死喰族だ。緊張するね…。」
アドルフが誰にともなく呟く。
「まぁそう固くなるなよ。いざとなれば僕が全部蹴散らす。」
「ほう、言うじゃないか。多少は腕に覚えがあるようだな?」
アリサが入ってきた。なんかこいつは俺と張り合おうとする節があるんだよなぁ。
「まぁ多少はね。ドキドキってよりワクワクの方が大きいかもな。」
「ふ。口だけで無いことを確かめさせてもらうぞ。」
そう言ってアリサは立ち去ってしまった。
僕が言ったことは嘘じゃない。腕に多少覚えもある。多少どころかめちゃくちゃある。覚えまくっている。
術式展開について事前にピピンからみっちり講義を受けているし、僕には異世界召喚された際に与えられた特殊能力もある。
ピピンの講義だけでも相当なアドバンテージがある。さすがに妖精だけあって魔法についての知識は相当なものだ。
それプラスさらに特殊能力もある。結構付与されてるらしく、
ピピン曰く「それだけ期待されてるってこった。気張って働け。」とのことだ。
具体的には
①術式7重並行展開
②龍族並の魔力保有量
③魔力の可視化
④空間転移
⑤物理攻撃無効
などなどだ。
恐らくかなりチートだと思う。
まず①だが、人間が1度に展開出来る術式は、身体構造上3つまでらしい。しかも誰でも3つ展開出来るわけじゃなく、そこにはかなりの割合で才能が必要になってくる。だから多くの人は2つまでしか術式を作れないんだが…。
7個って…。
正直②だけでも充分だと思う。人間は魔力の量が他種族と比べ少なかった為に魔術の研鑽を積んできた歴史がある。その洗練された魔術に世界トップクラスの龍族の魔力が合わさるとなると…。これまたなかなかチートだ。
③魔力の可視化。これがあることで僕には魔法を使った不意打ちは一切効かなくなった。
④空間転移。自分だけでなく人や物も転移させられる。神霊族、精霊族、魔神族なんかの魔力が多くて魔法が得意な種族なんかは割と使えたりするらしい。あとは死喰族のヴァンパイア系の奴らも得意としている。
⑤物理攻撃無効。これは完全に無効ってわけじゃなく、魔力量と術式7重展開の副産物みたいなものだ。7個も術式を展開出来るので、常に防護魔法を掛けておくことにした。魔法にも耐えられる防殼を作ると常時展開にはさすがに魔力を喰いすぎるので、物理攻撃だけに対応したものにした。
さて、数々のチートを携えている俺からしたらむしろアリサの方がどこまで出来るんだ?って感じなんだがな…。
まぁ見せてもらおうか。
そう考えた矢先、イワレコフ教官が術式を展開し、とてつもない量の死喰族が生み出された。
訓練開始だ。