優等生たち
ブックマーク、評価お願いします
チュンチュンと小鳥が囀り、柔らかな陽が部屋を充たす穏やかな1日の始まり…の、2時間前。まだ日が登る気配すらない早朝に雄々しいモーニングコールが響く。
「さあ、起きたまえ巧!素晴らしい1日は最良の準備から始まる。今日の活動の準備をしようじゃないか!」
「…う、…今何時よ…?」
「朝の4時半だね!始業が8時半からだから、もうそろそろ起きなければいけないよ。」
寮は士官学校のすぐ近く、それこそ徒歩で数分のところに位置している。だから最悪始業の十分前に起きても間に合うのだが…。
「…通学に2時間かかるとしてもこんな時間に起きるやついねぇよ…」
「僕がいるじゃないか。そしてこれからは君もだ。」
「勘弁してくれ…」
結局付き合わされた…。
10キロのランニングに始まり筋トレ、ストレッチ、更には今日の講義の予習までやる羽目になった。なんせ時間はアホみたいにある。アホほど早い時間に起きたからだ。
たっぷり素晴らしい1日の準備とやらをした後にクラスに向かうこととなった。
現在時刻 7時半。
「絶対起きるの5時半でよかったじゃん…」
「いやいや、余裕を持って行動することが大事なんだよ。間に合えばいいなんて思っちゃ駄目さ。」
「どんだけ優等生だよ…」
そんな事を話しながらクラスに入るとなんと僕達以上の優等生がいた。それも2人。
「おはよう、ビクトリア嬢、アンティオキア嬢」それに気付いたアドルフが爽やかに挨拶をする。クラスメイトに「嬢」なんて付けて許されるのはこいつくらいなもんだろう。
「おはよう」と僕も普通に挨拶する。
クラスにいたのは控えめお下げのイリーナ=ビクトリアとクールビューティ、アリサ=アンティオキアだった。
「あ、おはようアドルフ君、雄鹿君」
「早いな、2人とも。」
あんたがそれ言うかよ。僕らより早かったじゃん。
「初日の講義だからね。少し気合を入れて早めに来たんだけど…。君達もそうかい?」
「いや、私はあんまり眠れなくて…。」
「そうだな、私も最初の授業ということで少し張り切っていたかもしれない。常に冷静に動くことを心がけているのだがな…。」
武士だ。武士がいる。凄い女子だな…。
しばらく喋っているとほかの生徒もちらほらと現れ始め、もうそろそろで授業が始まるという時間になった。
「じゃあそろそろ席につこうか。みんな、くれぐれも居眠りなんてしないようにね。」
「だ、大丈夫だよ。」
「愚問だな。」
「わかってるよ。」
アドルフが自分の席に着いたところでちょうどチャイムが鳴った。
さて、お勉強の始まりだ。