君を待っていた
士官学校といものはまぁ予想通り実践重視なところのようで、建物は中身があまり無く、せいぜいあると言ったら座学のための教室や食堂、あとは魔術実験室という興味深い部屋が2部屋あるくらいだった。
…くらいって言ったけどやはり魔術実験室のインパクトがでかいな…。
そう、魔術、魔法である。ウィンガーディアムレビ〇サーとか、アバタケ〇ブラとか、テクマクマヤコンとかのあれだ。
そもそも初めから疑問だった。
9種族、人族を除いて8種族だが、その全ての種族が到底人間が敵う相手とは思えなかった。龍族、獣人族、海洋族、精霊族、鬼族、死喰族、魔神族、そして神霊族。
もう名前的に勝てる気がしない。が、人類はお隣の獣人族の国とのイザコザから発展した戦争に、過去勝利しているのだと言う。これには僕も驚いたが、理由を聞いて納得。曰く、人類は魔法が使えるのだという。獣人の驚異的な聴覚を凌ぐ魔法による超広範囲索敵術式からの遠距離爆撃術式での掃討戦だったらしい。むごいな…。
なんでも人類の魔法適性は神霊族、精霊族に次ぐ世界第3位!近距離戦を主とするする獣人族では到底歯が立たなかった。
高い魔法適性と知能、そして団結力。各種族から見ればなかなか厄介な敵だったろう。そんな時考えることと言えば主に2つ。
講和で敵対しないようにする、か
武力でだまらせる、かだ。
それで各国は後者を選んだ。
厄介な敵ではあるが落とせないわけではない。なら国力が低い今のうちに…って魂胆だ。人類の領地が鉱物の豊富な資源であることも武力行使の一端を担った。力でねじ伏せて資源をもらう絵に書いたような帝国主義によって戦争が始まった。
そのうち僕達もこの戦争に参加するのか…。全く嫌になるな。
て、今はそんなこと関係ないんだ。友達を作ろう友達を。
ふと我に返り友達になれそうな人を探すが…
おかしい。そもそも人がいない。
「はぐれた?!」
やってしまった。入学早々やらかした。
総帥に怒られる…
総帥からの叱責を想像しガクガクと震える僕の後ろから
「あの、もしかして君もはぐれちゃった?」
と声がした。
涙目で振り返るとその男は微笑を浮かべ
「僕はアドルフ。一緒にみんなを探そうか。」と優しく提案した。
もう感動と安心とで頭が回らない。
「君みたいのが欲しかったの!!!」
と意味不明な言葉を発し、一先ずその場は収束した。