いきなりそんなこと言われても
ふむ。これはどういう事だろうか。
今僕が立っているのは小高い丘の上だ。
眼下にはかなりの人で溢れる街が賑わいを見せている。それはいい。それは今問題ではない。
問題はここに至った経緯だ。僕は自室のベッドに寝転がってラノベを読んでいたはずだ。学校帰りで晩飯が出来るまでの余暇、猶予期間だった。
さてこの時間をどう使ってやろうかと考え、今日はアニメ化が決定したラノベの復習を兼ねてラノベを読むことにした。ベッドに横たわり、ページを繰る。2ページ、3ページと読み進め…。
急に体が光に包まれたかと思うと、次の瞬間にはここに立っていた。以上、終了。
まぁこれはあれだ、俗に言う異世界召喚てやつだ。それが遂に僕の身にも起きただけのことだ。で、この世界で僕はどんな生活を送るのだろう?見た感じ文明も栄えてるし案外楽しく過ごせそうだな。元の世界に未練もないし。
さて、楽しい異世界ライフを送るにはまずは情報収集だ。お金とか何もないけど何とかなるだろう。
そんな事を考えながら勇んで街に向かおうとすると
「お前、もうちょっと自分の置かれた状況考えろ」
背後からそんな声が飛んできた。
「は?」
いきなり何だと少し苛立ち後ろを振り向くとそこには
妖精がいた。
「は?」先程とは違う意味を持った同じ言葉が漏れる。
「妖精…?」
「おうよ。天下の妖精よ。ピピン様と呼びな。」
ピピンと名乗ったその妖精は「黙ってたら可愛い」の典型みたいなやつだ。そう、普通に可愛い。腰まで届く艶のある黒髪。切れ長の目とシャープな輪郭からは凛とした美しさ感じられる。そしてほっそりした足に出るとこが出た身体。クールビューティの体現といった印象だ。こんな口調じゃなければ。
「で、その天下の妖精が僕に何の用だ?」
「お前やっぱり自分の立場が分かってねぇな。」吐き捨てるように、ピピンが言う。
「お前はのほほんと暮らそうとしてたみたいだがな、残念ながらお前がこの世界で出来ることは『戦争』だけだ。」
「いや、いきなりそんなこと言われても…」
こうして僕は戦禍に身を投じることに…なるのかはまだわからない。
頑張って毎日更新します。