第三話『やはり、バカ天使はバカだった。』
ゴールデンウィークだー。ヒャッハー!
「えっと、もう一体ならさっき俺が倒しましたけど…」
俺は何とか答えることができた。というか、さっきのあの化け物を短時間で倒せるとかこの人何者?
「そう、じゃあ、貴方のレベルを見せて?」
「はい…はい?」
どういうことだってばよ、ネトゲプレイヤーにとってのレベルの見せ合いは禁止行為だ。あ、でもこの世界はネトゲじゃないんだったわ、多分、大丈夫なようにしているのだろう。
俺は仕方なく、自分のステータスを見て、自分のレベルを明かした。
「えっと、ミノタウロスを倒す前はレベル五で、倒してからはええっと…八?えっ、そんなにあがるのか…あいつ」
俺がレベルを明かしたときに女剣士は驚いた表情を見せた。
「嘘、レベル五の人間が、ミノタウロスを、倒せたの?」
「まあ、はい、そうっすね。」
俺は何とか返事をした。
女剣士は少し俺の方に歩み出て言った。
「ミノタウロスが経験値効率がいいのは、ダンジョンの開口から知られていること、だってあのモンスターは本来第一層にいるべきモンスターではないもの…それよりも…」
ん?本来第一層にいるべきではないモンスター?どういうことだ?
俺が理解不能に陥って、頭をぐるぐるさせている時に、女剣士は俺のステータスを覗き込んでいた。
「このステータスは、どうして?そんなのありえない。」
そこまで言ったときに俺は自分がステータスを見られていることに気づいた。
「うわっ、何勝手にみてんだよ。ステータスをのぞき見する奴ほどいい奴ではないということは知っているぞ。」
俺はこいつに二刀流の存在がばれてないことを祈り、ステータスを消した。
「それで?どういうことだか説明してもらうか、どうしてミノタウロスが第一層のモンスターではないということを知っているのか。そしてお前は誰なんだ。ミノタウロスを倒してくれたことには感謝はする、だが、俺がステータスを見せたんだからお前も見せろよ。」
俺は目の前の女剣士に向けて質問をした。
女剣士は少し躊躇いながらもステータスを出し、見せてくれた。
「私の名前はローレン=グレネビィア、ローレンで構わない。レベルは六十で攻撃力と俊敏力がすでにカンスト、今は運と、経験値上昇の特殊スキルの習得を目指している。そして、これが私の愛用の剣『ストラキャリアー』どう?これでいい?ハルト」
こいつ、俺の名前まで知っていやがるな、多分ステータスをのぞき見したときに一番目に入ったんだろう。っていうかカンストってどういうことだよ。めちゃくちゃだなこの人…
「おーけー、ローレンの自己紹介は終わり、俺の名前は勝手に知っているけど一応、俺の名前は長谷川大翔、ハルトでいいよ。レベルは八、攻撃力が大体ローレンの半分、俊敏も同じ、他に説明することないからこれで自己紹介は終わりな。それじゃ、質問に答えてもらおうか?」
ローレンは質問にきちんと答えてくれた。なるほど、この世界の住人はバカな奴ばっかりだと思っていたけれど意外とまともなやつもいるんだな。
「ミノタウロスは本来第二十層から出現するモンスターで戦うのに最低でもレベルは二十は必要なの。それなのにあなたはレベル五で倒してしまった。これがどういう事か分かる?」
俺は少し考えて答えを導き出した。
「なるほどな、つまりはレベル二十必要なのにレベル五の人間が倒してしまったということはミノタウロスに対するダンジョンのイレギュラーか、倒した俺の驚異的な技術、この二つのどちらかに当てはまるという事か…」
そこまで言ったところでローレンが俺に聞いた。
「そういえば、あなた住む所はあるの?見たところ駆け出しの冒険者って感じだけど…」
うっ、そこを言われるか…駆け出しの冒険者なのは事実だし、住む所もないのは事実だし…うーん、でもこの人の家に泊まるわけには行かないし。どうしたもんか…
「そこを言われると正直耳が痛てぇな。でも、大丈夫だよ。さっきの戦闘でたんまりと金は稼げたし、今日の宿くらいは多分払えるよ。」
俺はそう言った後に後悔した。
あれ?もしかしたら泊めてくれる的なシチュエーションだったのか?もしそうだったら俺はなんてミスを犯してしまったんだ。
俺がそんなことを思っているとはつゆ知らずにローレンはメッセージを飛ばした。
俺はそのメッセージを読み上げた。
「えっと、フレンド申請?」
「そう…これから、多分必要になってくる。だからフレンド申請した。」
ほう、ネトゲ界ではソロプレイを貫いてきた俺もとうとうフレンドというものに巡り合えたのか…流石、異世界、何が起こるか分かったもんじゃないな。
俺は震える指を制し、OKのボタンを押した。
「分かった、そういわれちゃうと断る理由がないな。よろしく、ローレン。」
俺はそう言い、ローレンに向けて手を出した。
ローレンは俺の手を握ると微笑み、言った。
「こちらこそよろしく、ハルト。」
俺はかつてネトゲの世界で学んだことがある。
それは、『レベリングというものがあるゲームほどクソゲーに近い。』ということだ。
ちなみにアリエルは以下略。
◆
「それで、結局俺に騙されたとは気づかないまま一日棒に振ったという事か?全く、使えねーな、天使というのも。」
俺はもう少し狩りを続けるといったローレンと別れ、ダンジョンから出てきたところにようやく気付いたのかアリエルが俺のところにやってきて話があるとか言って手をつかみ昼間入った喫茶店に入り、昼間と同じ注文をしてからアリエルは俺に質問をたたきつけた。
「だ、だって、ハルトが全世界共通通貨だって言ったから…」
「あー、いいことを教えてやろう『全世界共通通貨なんてものは存在しない。』その国には最優先度というものがあり、その国に入ったらまずその国の『銀行』というものに行き、お金を変えてもらう、そうすることでその国の最優先を走ることができる。というかお前、途中までそれに気づいていたんだろ?どうしてそれをしなかった?」
そう、アリエルが途中、『通貨交換所』と呼ばれる(多分、この世界の銀行という事だろう…)場所に入ったまでは正解だった。しかし、アリエルは肝心なことを忘れていた。
「だ、だって、ドルや円を変えてくれるところなんてなかったんだもん。」
世界そのものが違っていることに…
「当たり前だろ。そもそもの世界が違っているんだからこの世界では多分『ドル』も『ユーロ』も『円』もただの鉄と紙としか思われていないんだろうな。えっと、この世界の通貨は…これなんて読むんだ?」
俺は今日、ダンジョンで倒したモンスターに対する金銭をその銀行にて換金してもらい、ステータスに反映するように頼んでみた。結果は『おK』の一言。
「ええ、この世界の通貨は『ISKANDER』読みかたは『イスカンダル』それがこの世界の通貨です。」
おいおい、何だその某、宇宙戦艦が目指している星みたいな通貨は…まあ、この際だから何でもいいけど…
「なるほど、その『イスカンダル』がえっと、一万くらいは手に入ったから今日の寝床はこの金を使って見つけるぞ。」
俺がそう言い、席を立とうとしていた時に、アリエルが振り向き、笑顔で言った。
「ああ、今日の寝床…いえ、これから住む所ならもうすでに準備してありますわよ。」
おおう、バカ天使のくせにやるではないか。
俺が感心をしていると、アリエルがさらに付け加えて言った。
「そういえば、このイスカンダルなのですが…このまえ株価がぐんと上がり、一イスカンダルの物価が二十五パーセント引き上げになったんですよ。つまり、一イスカンダルは日本円で千円と同じくらいと思ってくれて構いません。」
は?それこそまじでどういうことだよ。物価の上昇はどんな世界でもお約束なの?
国民の迷惑行為に反しているんですけど…
「へ、へぇ…まあ、安く買えたという事ではいいのかもしれないな。」
俺とアリエルは喫茶店を後にし、アリエルが購入としたとされているマイハウスへと向かった。
後書きといっても何を書いていいのかさっぱり何ですけどね…とりあえず、ゴールデンウィークは見事なヒキニートっぷりを出している作者です。
物語の方は、簡単に言いますと「ローレンと出会い、ハルトは成長していく…」的な感じでしょうか?
感想や誤字報告などは常に受け付けておりますので気軽に書いていただければ幸いです。
では、次回の「俺が異世界転生したらケモ耳とモフモフとダンジョンの世界だった件』第四話でお会いしましょう。