フィリア VS キメラ
ーー王都、宿屋ーー
「ふぃー。とりあえずここで待ってなさい!」
「「「あ、ありがとうございます!」」」
勇者女子組を宿屋に届けたフィリアは、ネルスとダリアに彼女らを頼むと伝え、ダイダの支援に向かおうとした。
(え! こ、これって神力!?)
慌てたフィリアはそちらへ駆けていった。
ーー
フィリアがそこで出会ったのは、ダイダが倒したはずのキメラであった。
「な、なんで生きているの!?」
しかし、落ち着いたフィリアはすぐに魔法を放つ。
「『港の嘆き』」
するとキメラを囲う半径1kmのエリア全てが港町のようになった。
「水のフィールドは水属性の者にとっては天国よ!」
(本当の天国は地獄だけど)
などと、天界のことも思い出しつつ詠唱破棄で『水龍』を次々に放つ。
「……」
しかし、キメラは何事もなかったかのように白蛇の頭で吸収してしまう。
「やっかいですね! どうしましょー!」
するとフィリアは、翼を背中からはやし空を舞う。そして手を天高く掲げると呪文を唱えた。
「帝級魔法『破壊水球』」
現れたのは透明で中心部が輝いている巨大な水球だ。直径が10mにもなるだろう。
「全てを破壊し尽くす水球よ! キメラを粉々に!」
しかし、そこに現れたのはゾンビ化したワイバーンの群れだった。それらが『破壊水球』にぶつかり、相殺されてしまう。
「えー!! こ、こんなのありえません! 帝級魔法最大の魔法なのに!」
そこで、これはきついと考えたフィリアはダイダへと連絡をする。
『ダイダ様! 大変ですぅ!』
『んー? こっちは片付いたぞー』
『そっちがかたづいてもこっちが片付いてないのですよー!』
そんな呑気に答えられても困るのです!
『ダイダ様! キメラですよキメラ! 倒したって嘘だったんですかー!』
『……まじかよ。すまん、たぶんそいつスキルで復活しやがった』
どうやら、ダイダ様にとっても予想外だったようです。確かに、復活なんてずるいスキルです。
『フィリア、勝てそうか?』
『う~、ちょっときついかもしれません』
『いや、俺の時は圧勝で終わったぞ』
え? 帝級魔法ですら倒せないのに!? さすがダイダ様、規格外です!!
『す、すごいです! ダイダ様はさすがです。帝級魔法使ったのに倒せませんでした~』
するとダイダ様は少しの間、無言になりました。何か考え事しているのでしょう。
『……わかった。今すぐ向かう。ただし、天界級魔法は使うなよ』
『はい!』
ダイダ様が来てくれるなら安心ですが、それまでこいつを押さえなければなりません。
「『氷の監獄』」
まず、動きを阻害する魔法で止めます。そして、ここでキメラの武器である鎌を破壊します!
「『氷光線』!!」
すると、青色の光線が鎌に当たりました。鎌は粉々に砕け散りました。
勝利を確信しました。ダイダ様には悪いけどこれで終わりです。
「全てを凍り尽くせ! 『氷層世界』!」
集中です。先程唱えた『港の嘆き』により、湿度が上がっていました。一気に気温が下がれば……。
すると、奴の腕である三体の蛇が動かなくなりました。さらに集中です。今度は奴が吸い込んだであろう氷の結晶を意識します。そこから凍傷が内部で起こるように……。
しかし、私の集中もそこまででした。キメラが、予想外の行動に出たからです。ゾンビ化したワイバーンで逃走しようとしています。ゾンビ化した相手には気温の変化なんて関係ありません。このままでは逃げられてしまう……そう考えた私は、慌ててあとを追います。翼を羽ばたかせ、空中戦が始まり……と思ったときに視界が暗転しました。




