王都襲撃!
ーー宿屋ーー
「ダイダ様、遅いですね」
「まったくだ。我ともあろうものを待たせるとは……」
「女を待たせるなんて紳士のすることではないですね」
宿屋ではあまりにも帰りが遅いダイダ&フィリアコンビに愚痴を溢す二人がいた。ダリアとネルスである。
「……」
「……」
やがて、二人は無言になる。どちらも話すネタがなくなったようだ。そして、考えたのはどちらも同じことで……
「ダイダ様についてどう思いますか?」
「ダイダ様について御主はどう考える?」
かぶった。それが可笑しかった。互いにダイダのことを募っているのは知っている。それゆえに、ダイだの話題で盛り上がるのだった。
「天界って、仕事があったら幸せと感じるようになるらしいですよ」
「それは……なんというか……うむ」
「ワーカーホリックってダイダ様はいってました」
「うわぁ……」
「でも、いわゆる商会の会長であるダイダ様が逃亡するって、おもしろいですね」
「ふふっ、あやつは自由人だからなぁ」
こうして、親睦を深める二人であったが……それは長くは続かなかった。
ーードゴオオオオオオオンッ!!!
王都の壁が破壊される。そして、王都を一瞬で覆い尽くす障気のような、真っ黒なオーラ……ダリアは以前にダイだから話を聞いていたロルトルドが攻めてきたのかと考えた。しかし、ネルスは慌てずに魔力感知を行う。
そして、首をかしげる。
「う、う~む。これは生物なのか?」
ーー
同時刻、ダイダとフィリアは宿屋へ向かう途中であった。
そして、二人とも歯噛みする。
「ダイダ様……」
「ああ……」
「王都への訪問客には、ロルトルドの能力が付与されているな……」
ーー
同時刻、王城では……
「へ、陛下! 宮廷魔術師様が、王都への魔物の侵入を感知、ランクはSSを越えるかと!」
それにより、貴族が慌て始め、王城の場は収拾がつかない。
比較的冷静であった宰相が王に訪ねる。
「陛下……如何しましょうか」
「うむ……」
そして、王は決断した。
「勇者を向かわせよ」
ーー
ダイダは、フィリアに宿屋の様子の確認とダリア達を守るよう命令して、急いで向かった。
そして、現場に到着した。
(これは……)
悲惨だった。
衛兵のものであっただろう肉片が散らばり、臓器が落ちている。崩壊した壁の瓦礫、その隙間から手が出ている。衛兵のうち何人かが巻き込まれたのだろう。
そして……ダイダを前にしてゆっくりとダイダを睨む赤い目……そして、右腕はカマキリのような大鎌、左腕は蛇の顔になっている化け物がいた。サイズは3メートルといったところ。
「……解析」
名称:エンシェントキメラ
討伐推奨ランク:???
存在値:-12
種族:円環の守護者
説明:真魔王ロルトルドによって作られた、キメラの進化種。材料に円環の涙を使っているので、人の輪廻を擬似変化できる。しかし、それは神には及ぶものではない。
ーースキルーー
輪廻の管理
他生物の輪廻を変化させることができる。
恐怖の段階
真魔王ロルトルドによって譲渡されたスキル。内容は###……
……etc
主にこの二つのスキルが気になるな。それにしても輪廻を操るキメラか……。存在値はマイナス……こいつはいったい?
ーー刹那、大鎌が振るわれた。ダイダはこれをなんなく回避する。
「考え事してる場合じゃあねえな……」
そして、大きく行きを吸い込んで叫ぶ。
「越えてやるよ、ロルトルドぉ!」




