逃避行計画
「も、もう...だめだ...」
ガタッっと音をたてて机に倒れる男が居た。
水神となったダイダだ。転生してから半年ほどたった。
しかし、仕事が減らない。全く減らないのだ。やってもやっても片付かない。
「だ、大丈夫ですか!?」
そこへ綺麗な声が耳にはいる。
「ど、どうしましょ~」
オロオロしている彼女はフィリアという。
役職は最上位水属性天使である。そのため、ダイダの秘書をやっているのだが...
その絶世の美少女といっても過言ではない容姿を持ち、仕事もでき、ダイダへ尽くす姿勢は完璧乙女を彷彿させるのだが、残念なことに目の下にある隈はとれることがない。ダイダもこの秘書を見たときは驚いた。のだが仕事が忙しすぎてすぐに一緒に仕事場へ行った。泣きたい。
また、このフィリアという娘はダイダと同時期に属性神と同じように代替わりしており、そういった意味でも親近感が持てたりする。
「だ、だいじょーぶだいじょーぶおれはまだやれるまだやれるやれるやれるやれ...」
「お、落ち着いてください!ダイダ様!」
「ッハ!?あ、危うく死事の樹海にいくとこだった!?」
「なんですかそれ!?」
「いやー、仕事しすぎたものがいく意識の樹海かな?」
などと雑談しながらも、手は休めない。
そして書類を整理し、一つ一つ確認し、可、不可の判子を押していく。
そして、目にはいった一枚の書類を見て...
手が止まった。
「どうなされたのですか?」
フィリアが聞いてくるがじっくり読まずにはいられなかった。
第852428425725448825856387号書類
人間が擬人体技術を作り出すことに成功。しかしそれは神の領域へ抵触する行為であると断定します。
また、その技術は完璧ではなく、ゾンビのような状態となり、近隣の市町村を襲っているとのこと。数は50000体はいると思われます。至急詳細の確認と天罰の許可をください。
F:ホン・テステル地属性神
フィリアが書類を覗き込むと、
「ホン様からの書類ですね。あの方は仕事もミスなくこなしますし可を押しては?」
そしてダイダはこの書類を片付けたあと、10分休憩サボりにはいった。
そのあとも考え事をしている俺を見てフィリアは心配になった。
「あの、どこか具合が悪いのですか、それとも...」
「フィリア」
突然のダイダの呼び掛けに驚くと
「ちょっと付き合ってくれ、一緒に旅行へ行こう」
「ほ、ほへええええ!?」
彼女はたちまち顔を赤く染め、驚いたあと花のような笑顔を浮かべ
「嬉しいです!是非...」
そこまでいってフィリアは止まる。表情を暗くして
「...ごめんなさい。仕事量的にダイダ様も私も遊べません。そんな時間ありません」
「いや、時間を作る」
「ほへ??」
「ひとつ考えがあるんだ」
そうしてダイダはいった。
「擬人体技術を使い、俺を作る」
「...むりですよそんなの!」
「いやできる。もちろん人格は持たせない。もし俺だったらていう判断マシーンをつくるんだ!」
「作ったあとどこにいくんですか?いろんな神様や天使がいるなかで逃げれるんですか」
「簡単だよ」
そこでダイダは言い切った。
「人間界がある!!」
~1年後~
「俺はやりきったぞ!!」
「おめでとうございます!!」
目の前には俺がいた。ただし全て水と魔法回路でできている。人格こそないが判断と司会進行はできる。
あとは操作マニュアルを側においた。
「フィリア...やっとだな」
「はい...ダイダ様、私たちこれで...」
人間界への逃避行が、いま始まる。
「水神様も困るネー」
風属性神フーはこのとき気づいていた。
そして、
「ボルア、ホン、アイツらを絶対に人間界にいかしちゃだめよ!!」
火属性神ボルアと地属性神ホン、風属性神フーは人間界へのゲート前に佇んでいた。
配下天使&配下神「属性神どもめ! どこにいきやがったああああああああ! 仕事が回んないぞおおおおお!」




