回る歯車とイレギュラー
ーー魔道具街ーー
3人はあちこちの魔道具を見て回っていた。
「ダイダ様、これは何に使うんですか?」
「ん~、これはたぶん、自動模写だね。書類作りに……向いてそうだね……」
「あ、はい。結構です。書類作りなんて……もう……」
妙なところでトラウマがでた二人だった。
「ダイダ様、こちらは?」
ダリアは首をかしげながら聞いてきた。その仕草に『かわいいなぁ』と思いつつ見るとそれは……。
「ダリア、今すぐにそれを片付けなさい」
「え、え、な、なんでですか!?」
俺は迫力ある剣幕でダリアに言う。いやだってそれどうみても……大人のおもちゃなんですけど。
「で、でも何に使うかぐらい言ってもいいのでは?」
「い、いやでも……」
しかし、ここで俺の心の悪魔が囁く。『ダリアの初な反応見なくていいのか?』と。
結論から言うと……俺はその囁きに負けました。
「~ッ!? ダイダ様の変態! あ、ありえません!」
「い、いやダリアが教えてとせがんだんだろ?」
「そ、そうですけど!」
「……買ってあげようか? 一緒に使うことがあるかもしれない」
「……いや、いらないです!」
「いま迷ったでしょ」
「……もう、きょ、今日のダイダ様はほんとに意地悪ですっ」
ダリアは少し拗ねてしまった。しまったな、からかい過ぎた。
「ご、ごめんなダリア、ちょっとやり過ぎた」
「……ふんっ」
拗ねてるダリアも可愛い。じゃなくて、どうやって機嫌直そうか考えているとき……。
「あ、あれ、これなんですか!」
フィリア、お前もか。
しかし、それを見たダリアは好機と見たのか。そのままフィリアのもとへ向かう。完全に憂さ晴らしだ。それで機嫌なおるなら俺からはなんも言わないがな。
ーー
「……」
「……」
「……うぅ」
結局、3人であれな話題で騒いでいるのを店員さんに注意され、周りを見るとかなり注目を浴びていた。それに気づいた俺らは恥ずかしくなり、無言で歩いていた。
「……」
「……」
「……う、うぅぅ」
特に、最初に騒ぎだしたダリアはかなり恥ずかしかったようで顔が真っ赤なまま唸っている。
ーーそのときだった。この街では感じ得ないはずの、否、人間界で感じてはならないはずの力をフィリアと俺は感知してしまった。
「っ!?」
「こ、これは!!」
「……? どうしましたか」
ダリアだけはわかっていない様子であったが、すぐに言った。
「ダリア、宿に戻って部屋に待機していてくれ。絶対に出てはならないよ」
「え、え?」
「ダリアさんはわからなかったと思うけど、人間界ではあってはらならない力を感知したの……。だから戻ってて」
「!? そ、それって!」
俺は言った。
「ああ、この感じ……下位神級の神力だ……」
ーー魔道具街、裏通りーー
ーー???side
「ふははははは、やった、やったぞおおお」
俺は、成し遂げた! 遂にだ!
俺がやったのは単純なことだ、古の魔道具で発掘されたものの1つ、『神力の泉』を使い、禁忌の魔方陣へと注ぎ込んだだけだ。
禁忌の魔方陣とは、魔方陣の構成のなかで、いくつか禁止されているもののことである。そして、その魔方陣は起動させると必ず厄災が訪れると言われる。今回俺がやったのは、『真魔王ロルトルド』の復活である。堕天した神といわれるそいつを復活させるんだ!
……俺がそいつを復活させるのには理由がある。『魔道具の隠者』といわれるようになってから、はや20年。もうなにも面白いことがない。すると、全ていままでの積み重ねをぶっ壊して、リセットしたくなった。ワガママなやつと思われてもいい。とにかくそうしたかったのだ。
そして、そこには禍々しいオーラとともに、一人の……少年が現れた。
「し、真魔王さま……」
「貴様が……我を復活させたのか」
「は、はい……」
「よくやった……誉めて使わそう」
「あ、ありがたき幸せ……」
「だが、全盛期の力はでないな……悲しきことよ、これが時の流れか……。!……貴様、すぐに逃げよ」
「な、何故でしょうか?」
「神がこちらへ来る」
「へ?」
「これから始まるのは神々の戦いである。貴様は死にたいのか」
「い、いいえ、し、しかし!」
俺は破壊ばかりしてくれるものと思っていた。だが、その何者かの乱入により不可能となったようだ。
俺は逃げだしていた。そして、乱入者に対し、激しい憎悪の念を抱いた。
(絶対に許さない……! 計画が無駄に……くそっ!)
ーー魔道具街、裏通りーー
ーーダイダside
「……フィリア、お前も宿へもどれ」
「な、なぜです!? たかが下位神程度ですよ?」
「違う……こいつは、下位神程度じゃない……属性神級だ」
「な……」
俺も焦ってきた。なんてことだ。明らかにこの神力の溢れ具合……属性神でいうとフーと同レベル、いやそれ以上かもしれない。
「分かりました……ダイダ様、どうかご無事で」
「おう」
フィリアは駆け足でダリアのもとに向かった。
ーー
「来たか……」
「ああ」
裏通りでは両者が向き合っていた。
「貴様、名をなんと言う」
「……水神ダイダ。これでも今の天界の最高神だ」
「我の名はロルトルド……。真魔王と呼ばれる者だ。……ふ、それにしても『天界』……か」
「何がおかしい」
天界というワードを聞いた見た目少年のこいつは、皮肉げに笑った。
「貴様は……いや、いまの神々は全員勘違いしているのだろうな。我のことも忘れたか……操られているか……」
「なにいってるか全然わかんねーよ」
「ふっ、説明したところで貴様なんぞ……」
そこまで言ったところで言葉に詰まるロルトルド。そして
「な、これは……そうか、貴様も¨あの因子¨を持つものか」
「……? 因子?」
「いや、いまは気にするな。だが、戦う前にひとつ質問させてほしい。貴様の考えが聞きたい」
「……いいだろう」
そして、ロルトルドは思わぬことを聞いてきた。
「貴様は『存在値』をどう考える?」
今度は俺が言葉に詰まる番だった。『存在値』……それは、俺には違和感が多過ぎて何とも言えない概念だ。
「『存在値』は……各々の才能の度合いや強さの基準となる値……というのが優等生のだす答えだと思う」
「では、貴様は違うと?」
「……俺は、この概念は何かがおかしいと思う。ラザックというやつは存在値が100しかないのに、人類最強だ。何か、この概念は仕組まれている気がしてならない。……だが、圧倒的に情報が足りない。明確に判断がつかない」
「……」
俺の回答を聞いたロルトルドは、ニヤリと笑った。そして
「違和感を感じた時点で、貴様は……¨理¨に縛られることはないだろう。我の満足いく回答であった」
「……そーかい。で、そのお前が持っている情報は教えてもらえないのか」
「ああ。まだ時期が早い。だが、そのうち教える」
「ふ、俺が殺すから、今のうちに教えておいた方がいいぞ」
「かかってこい、相手になってやろう」
そして俺ら二人は異空間を作り出し、そのなかへと入っていった。
さて、ちょっと意味深な感じになってきました。
この物語……意外と真面目に考えてたりします。深い秘密がちょっとずつ、ダイダの手により解き明かされていきます。ドキドキしながら次話をお待ち下さいな。
(壮大なフラグ回収って難しいですよね。そういうのって最終回になるし)




