魔道具街の隠者
ーー魔術都市リルベン、正面通りーー
「わあ~、す、すごい!」
「確かにこれは感動しますね」
「こ、これは……」
そこは正面の門をくぐり抜けた広場にあった。ごうごうと音をたてて、下から大きな水柱を上げている。
「こ、これって魔道具ですよね!? 人間って本当になんでもできそう!」
「私は神殿にいるのが主だったから、こういう観光スポットはなかなか見れないのでこれてよかったです」
二人は大はしゃぎしている。これだけ楽しんでくれるのならつれてきてよかったと思える。
「にしても……あの頃じゃ考えられない光景だな」
そこにある水柱は、巨大な円を作っており、その円周は地球でいうナイアガラの滝の横幅と同じぐらいだろうか。それが高さ15メートルまで逆噴射されているのだ。
「……さて、ここでぼさっとしててもいいけれども、ここは魔術都市だ。まだまだおもしろいものがあるはずだ! もっとみてまわろう!」
「お~!」
「そうですね」
というわけで、早速行くのは観光スポットへ……
「その前にダイダ様、宿を取らねば行けませんよ? 夕方になると良いところの宿は全て埋まってしまいますので」
「あー、なるほど」
ダリアがいてよかった~。
ーー
「いらっしゃいませ!」
俺らがとった宿は『眠れる花』という中堅、もとい高級ともいえる宿だ。なんといっても宿の飯が美味しいらしい。
「部屋はどうされますか?」
大きい宿なので店員さんを雇っているみたいだ。料理人は経営元の夫婦がいるらしいが、その二人がしているそうだ。
「部屋はふた「ひとつで!」……フィリア、黙ってなさい」
「はい……」
「えっと、部屋はふた「ひとつがいいかと」……ダリア、それは天丼だ、静かにしていなさい」
「申し訳ありません……」
「えっと、大変そうですね」
店員さんに同情の目を向けられたぞ、しっかりしろ二人とも。
「はい……ぜんぜん相手にしてもらえないっていうか……」
「私も、尊敬はしているのですが、そこがちょっと……」
「ふふふ、応援してます」
あ、あれ。店員さんが同情の目を向けたのって俺じゃなくてこの二人であった。なんでや。
ーー
結局、宿は部屋二つで落ち着いた。良かった良かった。そんなこんなで、宿に荷物をおいて現在は魔道具街いくか、他の観光スポットへいくか話し合っている最中だ。
「わたしは魔道具街へいきたいなぁ~」
「そうですね、わたしもそれがいいかと」
「えぇ~、観光スポットとかどうなの?」
「わたしはいいですけど……でも、ダリアが……」
「フィリア様!? 私を利用してポイント稼ぎは駄目ですよ!?」
意外と腹黒いフィリアである。というかさっきまで魔道具街いきたいっていってたじゃん。なんだこの手のひら返しは。
「わかったわかった、二人とも魔道具街へ行きたいんだな。そっちを先に観光するか。ま、なんだかんだ楽しそうだしな」
「はい、そうしましょう!」
「フィリア様? いい加減にしないと怒りますよ?」
「はい、すみません」
というわけで、魔道具街へ繰り出すことが決まった。
ーー魔道具街、裏通りーー
ーー???side
(ふう、やっと全ての計画準備が終わった)
その男は一息つくと、魔方陣へと膨大な魔力を流した。
魔方陣は神々しく輝く。それを見たものは、誰一人として人間が流した魔力とは思わないだろう。しかし、フードをしているその者は確実に人間である。
「ふ、これで全てがうまくいく」
そして、男は猛々しくヒヤリと笑うと言った。
「全ては真魔王、……様のために!」
いま、魔道具街から1つの壊れた歯車が回り出す。
ーー魔道具街、入口ーー
「いやぁー、すごい人混みだなこりゃ」
そこには、溢れんばかりの人。
「ダイダ様! すごいです、あの道具とか。天界では見られなかったものばかりです!」
「人間である私が言うのもなんだけど、これは感動するわね。あんなすごい魔道具がたくさん飾ってあるなんて」
通りの両脇にある店の表には、たくさんの魔道具が飾ってある。これは、その店が魔道具の作りの良さを表の店や近隣のライバル店へ示しているのだそうだ。
「さて、いこうか」
「はい!」
「そうですね、いきましょう」
そうして3人は、動き出した歯車に気づかぬまま、入っていった。そこには何がいるかも知らないまま……。




