リルベンへの道
ーーリルベン行き、道中ーー
「も、もう無理ですよ……無理ですよぉ……」
「もう! ダリアさん情けないですよ!」
ギンギンと太陽が地表を焼くなか、水神率いる3人組はトボトボと歩いていた。しかし、神と天使の体力に付いていけず、ダリアがダウンしてしまったのだ。
「だいたぃ~、こんな長かったらぁ、馬車使うものじゃありませんでぇしょうかぁ!」
「ダリア……全く、いつものしっかりした姿はどうした?」
「むっ、無理なんですぅ」
「……はぁ~、しかたない、ほら」
そういってダリアの前でしゃがんでやる。
「んん? どういうことですかぁ?」
「おんぶってやるから、早くのれ」
「……え、え。ほ、ほんとですか!?」
「ああ」
「え、あ……お願いします!」
「うお!?」
ダリアは急に元気になり、俺の背中に突っ込むように乗ってきた。
そして、それを見ていたフィリアが唖然としたあとに急にうつ伏せに倒れた。まあ……大体予想はできるけど……。
「……フィリア、どうした」
「ダイダ様、緊急事態です。脱水症状で動けないです。もう死にそうです。お、お、お姫様だっこを希望します!」
「ちょっちょっと!? フィリア様!?」
フィリアの願いを聞いたダリアは急に焦り始めた。そうか、お姫様だっこの方がよかったか。失敗したな。
ただな、フィリア……お前、天然過ぎる。
「フィリア」
「は、はい!」
期待に満ちた目で俺を見てくる。う、これを裏切らねばと思うと辛いが……。
「俺たちが司る属性はなんだっけ?」
「あ……え……っと」
「そして、神力が全く減ってないけど? 神は神力が見えるの知ってるよね?」
「……はい」
「……嘘は、やめようね」
「……うぅ」
などと、くだらない会話をしているときに急に頭の後ろに巨大なマシュマロが押し付けられた。
「……スピィ……スピィ」
どうやらダリアはここ連日の歩き疲れが来てしまったようだ。寝てしまっている。
……しかし、このマシュマロはけしからんな。こう、心の奥にしまいこんでいる狼さんが出てきそうだ。
「……やっぱり私は要らない子なんですね」
そう言いながら虚ろな目で自分のモンゴル平野とダリアの富士山を比べるフィリア。
そして俺は思った。
(あれ、フィリアってこんな面倒くさい女の子だっけ)
ーー
道中に、とある魔物が現れた。
レッドベア 存在値:115 討伐推奨:Cランク小隊
そいつは赤い目をぎらつかせて俺を睨む。そこで俺は、最近時間があるときに行っている新魔法開発で、完成した魔法を使う。
「破裂せよ! 『内部破壊』」
すると、魔物は虚空を見上げたかと思うと、そのまま地面へと伏せ倒れた。
「だ、だ、ダイダ様!? いまの魔法は!?」
「い、い、いったいどうやって!?」
驚いているが、これは簡単なトリックだ。いくら魔物とは言えど生物にはかわりない。細胞が集まって構成している。なので、重要器官である心臓や、脳の神経細胞を浸透圧の変化を利用して細胞破裂を引き起こしただけだ。
しかし、それを二人に説明すると……
「さ、サイボウ?」
「し、シントウアツ? サイボウハレツ?」
分かってもらえなかった。
ーー
歩き旅を初めてから2週間、ついに魔術都市リルベンの壁が見えた。
俺らはまた事件に絡まれるのか、または自分から突っ込んでいくのか分からない。しかし、俺は天界では味わえない面白味を感じられると予感してならなかった。




