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再会と出発

 ーーグリエンタル神殿ーー


 ダリアに、『安らぎの鐘』騒動の終わり方を伝えた。ただ、ランとの一件についてはさすがに言えなかった。


「へ~、ダイダ様はさすがですね」

「まあな」

「ところで、悲しいことでもありましたか?」


 どきりっと心臓がなった。勘の鋭いことだな、全く。


「い、いやなにもないぞ」

「そうですか……」


 するとダリアはダイダの後ろに回り、背中から抱きついてきた。


「だ、ダリアさん?」

「……辛いことがあっても、私がいますから。ダイダ様だけで抱え込まないでください」

「……ありがとうな」

「……これくらい、いいですよ」


 そうして、しばらく二人で抱き合っていたときに事件は起きた。

 神殿の扉が、バンッ! と勢いよく開け放たれ、完璧美少女が入ってきた。


「ダイダ様! お怪我はありませんで……した……か……」

「おう!? フィ、フィリアか! どうし……た……」


 忘れてた。今の態勢はダリアと抱き合ってる状態だった。まずい。


「ダイダ様……その……おとなりにいらっしゃる方はどちら様ですか……?」

「ダリアだよ、水属性の神殿でシスターをやっている」

「は、初めまして、フィリア様。よろしくおねがいします」

「え、よろしくって……?」

「実は一緒に旅にいくことになってさ」


 そういった途端、フィリアの目から光彩が消えた。死んだ目で俺を見てくる。


「そうですか、その方と¨二人きりで¨旅に出るんですか、そうですか。そうですよね、どうせ私なんて要りませんよね。おっぱいもちっちゃいし。どうせダイダ様に見合う女じゃなかったんですよね。」

「お、落ち着けフィリア!」

「なにがですか!? こんなの落ち着いてられますか!?」

「違う、3人で旅に出るんだ!」

「え……3人?」


 お、フィリアの目にちょっとだけ光が戻ってきた。あともう一押しだ。


「3人の方が色々楽しいし、ダリアは現地人だから案内だって出来る。な、良いことづくめだろ?」

「……たしかにそうですね。ごめんなさい、先程ダイダ様のことなにも考えずに変なことをいってしまって……」

「いや、気にするな」


 なんとか仲直りできたな。それに、旅の準備はもうダリアと終わらせている。


「さて、挨拶回りをしたら出発するか」

「次はどこへいくのですか?」

「フィリア君、いい質問だ。次は「わ、私いい質問でしたか!?」……お、おう、フィリアはいい娘だぞ」


 フィリアがとても喜んでいる。どうしたんだ。


「一体どうした?」

「だって、ダイダ様久しぶりで……その、仕事とかしてたときはいつも誉めてくれて……それが支えになってたんです。だから誉められるのが久々で……感情が高まっちゃいました」


 ああ、そういえばフィリアとこうして話すのも久しぶりだしな。ここはちゃんと言ってあげるべきか。


「フィリア、わざわざ俺のところへもどってきてくれてありがとうな。これからも、よろしく」

「……あ、改まってみると、いがいと恥ずかしいですね」


 このムード、まさかフィリアは俺のことを……っ!?


「あ、あの……ダイダ様、結局行き先はどこでしょうか?」


 ダリアが軌道修正してきた。こういうしっかりとした一面を持つ彼女が旅に同行してくれるのはありがたい。


「次は……魔術都市リルベンだ!」

「ワー!」

「リルベンなら楽しめる場所たくさんありますよ」


 というわけで、リルベンへの出発が決定した。


 ーー


「ふふふ、このサムズ様が仲間なんだ。道中危険なんてないものだ!」

「はいはい、リーダーはすごいですねぇー」

「そうだろうそうだろう!」


 見送りには、『春の目覚め』の連中や宿屋の面々が来てくれた。


「ダロスさんのおかげでほんとに助かった」

「ええ、ありがとうございました~」


 夫妻はお礼の言葉で見送ってくる。そして……


「ダロス」

「ラン……」


 ランは俺の目を見てはっきりといった。


「私は待つわ、いつまでも」

「……ありがとな」


 やばい、泣きそうになってきた。この町での1ヶ月間を考えると、本当に濃い毎日だったからな。


「あ、ああ。ラン、元気でな」

「うん!」


 そして、俺は¨とある魔法¨をランに掛けた。それにはフィリア以外誰も気づかなかった。


 こうして、地方都市グリエンタルでの一月が終わった。長いようで、短かった。


 ーー


「へぇ~、ダイダ様にそんなことがあったんですね!」


 フィリアに宿屋の出来事を話した。楽しそうに聞いてくれた。ダリアも話を聞き終わると、お人好しですね、といってくれた。


「ところで、ダイダ様」

「ん?」


 フィリアは急に歩きながら名前を呼んできた。


「どうしたんだいったい?」

「あの、話聞いてて思ったんですけど」


 そして言った。


「グリエンタルの宿1つ助けるために、めっちゃ仕事してません? あの、この旅はワーカーホリックから逃げ出してきたんですよね?」













「あああああああ! そうだった! 俺めっちゃ仕事してるじゃん!」


 水神様の逃亡劇は、まだまだ続く。


1章終了です。次は閑話かそのまま2章になります。

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