天界は職場だ
2話目も連続投稿
「え?」
何だこれ、何なんだこれは……。天使って社畜みたいなやつのことを言うのか?だったら日本人リーマンなんて天使だらけだろ。というか俺は何をいっているんだ。
美形の顔を歪め、気迫迫る勢いで仲間に叫ぶ。
「グリエンタル地方で干ばつです!!」
「なんだって、くそ! 先代のやつめ、仕事ぐらい片付けてから還れ!!」
「マコッチェ村で祈りの儀式が!!」
「精霊の儀式がおこなわれて!!」
「くそったれ、ノルマ達成なんて不可能だ!重要な案件から片付けるぞ!」
「「「了解です!!!」」」
―――ああ、どうやら俺は夢を見ているみたいだ。
こんなワーカーホリックな奴等が蔓延る天国なんてあってたまるかっ。
俺は目をつぶってまた寝ようとした。早く目が覚めれば良いなあ……。
「ごめん、これは夢じゃないの。現実なの」
緑髪女の少女によって現実に引き戻される。
「いや、どう考えてもこれは夢でしょ?」
「想像してた天国と違う? でも残念、これが全てよ」
「あんまりだ!?」
こんな天国(仮)があってたまるか!
「というか……俺はなんでここに存在してるんだ? 死んだのか?」
「違うわ……いえ、生きてなかったと言うのは正しいけれどもあなたには、これからやってほしいことが山ほどあるのよ。これからは、私たちの同志でありそして、上司でもあるのだから。まずは、あなたの名前といまどういう状況か、説明するわね」
「?……ど、同志? 上司?」
俺は曖昧に返事をした。動揺が全く隠せていない。そんな様子の俺を気にもせず、少女は高々と宣告してきた。
「あなたはこれから、この天界のリーダー、水神ダイダをやってもらいます!!」
「……」
す、スイジン?
「絶句しちゃった?? でも大丈夫、嫌でもわかるように魔法を使いまーす」
魔法?何をいってるんだ?頭弱いのか?
「強制的にこの世界の知識と叡知を授けちゃうぞ! えいっ!」
て、青い光線が俺の頭に...
「……! グゥウガアアアアアァァアアアアッッッ!!!」
痛い、痛い、痛い!! 情報が一気に頭のなかに! し、死ぬ!
「ア、ア、アガアアアアァウアウアッ!」
獣みたいに叫んじゃってるよ俺……どうなって……。
どのぐらい時間がたっただろうか。いや、10分も経っていないか……?
その時、急に頭が凍えるくらいに覚めたのがわかった。痛みも消えた。そしてわかった。ここがなんなのか、世界とはどう運営されているかが。
――ここは天界という。
天界は神たちの世界であり、神秘であり、そして……
職場だ。見事なくらいの会社運営がなされている。
そして俺は、どうやら属性神……取締役だった。
属性は……―水―