反撃の客寄せ
ーー『安らぎの鐘』翌朝ーー
「さて、今日から客寄せやるか!」
「え、え~っと」
おや、何を悩んでるんだこの3人は。
「な、なあダロスさん」
「ん?」
「客寄せ今からしても絶対に間に合わねえよ、貯金が尽きちまう」
「ああ、そのことなんだがな」
こっからが再建計画の醍醐味よ。
「冒険者ギルドに依頼をだす」
「「「冒険者ギルド?」」」
「ああ、まずこの店の一番の顧客層になるのは?」
「そ、そりゃあ……」
「冒険者になるわねぇ……」
ふむ。夫妻は分かっていただけたか。
「で、でも冒険者ギルドに依頼なんてだしたら笑われちゃうし、褒賞金はどうするのよっ!」
「お、いいところ突くねランくん」
「褒賞金は金貨3枚、先着5名様までで依頼をだすよ」
「「「ふぁ!?」」」
ふ、これなら絶対に依頼受けるやついるもんね。
「さ、さすがにそれは……」
「ええ……」
「そんなお金ないわよ……」
「大丈夫、俺がだすから」
「「「え!?」」」
「そ、そんなのダロスに悪いわよ!」
「いいや、違う。素直に受け取ってくれ。理不尽に流されそうになった可愛い子を助けようとしたお人好しがいたってことで」
「な……な……かっかっ……かわっ!?」
え、困惑しすぎだよランちゃん。
~チリーン、チリーン
「あ、もう6時になるみたいだね。ちょっと用事あるから出掛けてくるよ」
「え、あ、はい。いってらしっゃいませ……」
サンさんは呆然とした感じで見送ってくれた。
ーーグリエンタル神殿ーー
「いったいなに考えてるんですか!?」
あ、あれダリア、なんで怒ってるの?
「ち、ちょっとまて。何故怒られなければならん!」
「金貨3枚って……分かってます!? この価値が!?」
あ……この世界の通過価値分からんから見かけた金貨をコピーして使ってたわ。
「知らない」
「知らないでそんなこといったのですか!?」
「教えてくれ」
「もっと慌ててください。これは説教ものですよ」
ダリアによると、通貨価値は
・1白金貨=100金貨=10000000(1000万)テル
・1金貨=100銀貨=100000(10万)テル
・1銀貨=1000銅貨=1000テル
・1銅貨=1テル
となっている。テルは通貨単位である。ちなみに、白金貨以外には価値が半分の『半硬貨』というのが存在する。
ちなみに、パン1つで10テルである。宿1泊が1000テルであるからさきほどダイダがいった金貨3枚というのは、高レベル冒険者の10ヶ月分の生活費と同等である。
「まったく、ダイダ様は警戒しなさすぎです。こんな金出したらトラブルに見回れますよ!」
「じゃ、しゃあどうすれば……」
「まず、金貨3枚を半金貨1枚にしてください」
「え、それじゃあ客が……」
「来ます。100%来ます」
「うん……」
「次に、指定ランクをCにしてください」
「ええ!? ど、どうしてだよ?」
「低ランク冒険者が血みどろの争いを繰り広げますよ」
「あ、確かに」
という訳で、ダリアから説教をされた。だが、やられっぱなしというのもつまらないので、反撃する。
「にしても、ダリアは可愛いなぁ。こんな素敵な女性なかなかいない。絶対にいいお嫁になるね」
「!?」
ふふふ、効果は抜群だ。
「~~~っ!!」
「あ、あれ? ダリア?」
「もう! ダイダ様のバカ!」
顔を真っ赤にしながら神殿の奥の部屋へ走っていった。やり過ぎちゃったかな。
さて、気を取り直して冒険者ギルドへいくか。
ーー冒険者ギルドーー
受付を見ると、ルシアが安定の行列を作り、ライサのところが空いている。迷わすライサのところへいった。
「ライサ、依頼を出したいのだが……」
「あ、はいはいダロス様で……あ……」
ん、どうかしたのだろうか。
「昨日は、本当に申し訳ありませんでした!!」
あー、なるほど。でもあれは俺が悪いから申し訳ない気持ちになるな。
「いや、いいよ。むしろあれは俺が悪いし」
「い、いえいえ! あのようなことがあっても落ち着いていられないとギルド嬢は務まりませんから!」
なんと健気な。気づけば頭を撫でていた。
「は、はわわわぁ~っ!」
気持ち良さそうに目を細め、頬が赤くなっている。
「おっとごめん。可愛いから撫でてしまった」
「……もう、ダロス様だけですからね。こんなこと……」
あ、やばい。雰囲気がやばい。話題を切り替えないと。
「そ、そうだ。今日は依頼をしにきたんだ」
「ダイダ様が依頼……ですか?」
「ああ」
そこでさきほどダリアと話した条件を伝えた。
「なるほど。分かりました。今日中に依頼を出しておきますね」
「ありがとう、ライサ」
こうして、客寄せの種をばらまいた。さて、どう実が実るのか、楽しみで仕方ない。




