看板娘
ーー安らぎの鐘ーー
「へぇ~」
ダイダは看板娘に連れられて中に入ると、その装飾や清潔感溢れるシックなデザインに感嘆の声を漏らした。
「あ……先程はお見苦しい姿を見せて申し訳ないわね。私はランっていうわ。よろしくね」
「ああ、俺はダイ……ダロスという。よろしく」
と、そのとき奥から
「ラン~、誰か来たの~?」
どうやらランの母親登場みたいだな。いやしかし誰か来たのって客しかいないんじゃないか。そういうのをいってしまうぐらい客が来ないのか……?
「あー、ママ! 客よ客! お客さんつれてきたの!」
そうして出てきたランの母親を見るとランに似たちょっとつり目の顔立ちだった。しかし、雰囲気はランのようにツンツンしておらず、おっとりママという感じを醸し出している。
「客~? くるわけないでしょぉー。なに寝ぼけちゃってるのー。いいから客寄せもほどほどにして、夕飯にしましょ」
いや、客いますけど。
「ママ! この人客なのよ! 私つれてきたの。事情も説明したわ。もてなしましょ!」
すると彼女の母はこちらをみて絶句した。
「……ぇ……ぇ」
いや、そこまでびっくりするの!?
ーー
「いやぁーごめんなさいね。まさか魔術師様がお泊まりに来てくるなんて、びっくりだわ!」
とりあえず、防音結界の話をしたら納得してもらえたので泊めてもらえることに。すると入り口横にある厨房から40代くらいのゴツいからだを持つ男が出てきた。
「あ、パパ! お客さんよ!」
「聞こえてるわ、どれ、料理担当の俺のスペシャル料理、堪能していってくれや!」
そのまま三人家族と俺で夕飯を囲むことになった。
ーー
「へぇー、ダロスって旅人なのね!」
すっかり打ち解けあったランと談笑する。ちなみに母はサンといい、父はロデルというらしい。
「自由っていいわね……私の未来は……暗いものばかり」
ここでガチトーンですか、ランさん。
「す、すまんなラン。俺が不甲斐ないばかりに!」
「ごめんなさい、ほんとにごめんなさい」
落ち込むラン、悲しむ父、泣く母。なにこれ、俺どうすれば。
「すいませんダロスさん、妻も娘もいつもは気丈なのですが、どうやら久々の客で気持ちが高まっちゃって」
なるほどなあ、ま、それも今日までにしとけ。
「悲しむことはない。俺はこの店をどうにかするために来た」
はっきりと宣言してやる。
「「「えっ!?」」」
3人とも驚く。
サンが恐る恐ると口を開く。
「あの……どうにかするとは?」
「噂で大体知っている。確か豚がランを狙っているのだろう?」
名前的に豚だよな。ぷぎーって。と考えてると、ランが俯いて言う。
「私があいつに嫁げばこの店が救われるのに、それをしなかったの。でも……、私……」
そこまで小声でいってから、ランは大声で言う。
「なんであんな50代のデブのオッサンと結婚しなきゃならないのよ!!!」
……いま、なんといった? 50代?
「ロリコンじゃねーか!!」
いや、まてまて。50代のオッサンが15歳の女の子に一目惚れって、いやいやいや。ダメでしょうに。
(もう怒った!)
そんなロリおじさんを認めるわけにはいかない。
「任せとけ、俺がどうにかしてやる」
そしていった。
「『安らぎの鐘』改造計画だ!」
ロリコンおじさんなんか成敗してくれる!




