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エー草原

 勇者一行は全滅した。

 相手は40レベル相当のモンスター、四腕熊である。

 幽霊甲冑戦の反省からか勇者が最初に死ぬことは激減したが、今回に限って言えば何故勇者が最後まで残ったのかと言うのが彼の疑問であった。

 何故最初に死んだのが僧侶だったのだろうかと言う話である。

 最悪の最悪、僧侶と一人が生き残れば死骸を回収して復活させる事も可能だったのだ。

 僧侶の参加によって仕事が楽になるのではないかと思っていた彼はただただ落胆した。

 僧侶の死骸は見るも無残である。

 頭部は四腕熊の腹に収められてしまった。

 見ていた限りでは噛まずにひとのみしていたので腹を捌けばまだいけるかと考えて、彼はその作業工程を思って浅く溜息を吐いた。

 戦士はその頭を砕かれていたが、幸いにも中身は流出していない。問題無い。

 魔法使いは臓物がはみ出ているが、欠損部位は無い。大丈夫だ。

 勇者は紙の様な厚みになって地面に張り付いていた。何にせよやるしかあるまい。

 彼は背負子から大筒を取り出すと草叢から立ち上がった。

 その瞬間、四腕熊が一足飛びにその間合いを詰めて来る。

 気付かれていたかと、彼は小指の甘皮程だけ感心して、四腕熊を殴り飛ばした。

 下から上へ、突き抜ける様な拳に撃たれた四腕熊は仰け反った姿勢で背中から大地へと落ちる。

 致命傷には成り得ない。彼は軽く殴っただけなのだから。

 四腕熊はがばっと起き上がると、再び彼の元へと飛び掛かる。

 大筒が至近距離で砲弾を吐き出した。

 四腕熊の頭が消し飛んだ。

 頭を失った巨体がどうと大地に倒れ伏す。

 彼の仕事はもう一息。

 背負子に大筒を仕舞うと、代わりに大剣を引っ張り出す。

 僧侶の頭を引きずり出さなければならない。

 あんまり消化されてなければいいなと、彼はそんな事を考えながら四腕熊の身体に大剣を突き立てた。


●四腕熊

 その名の通り四本の腕を持つ大熊。

 非常に凶暴で、しばしば辺境の集落が潰される。

 なまくらではその剛毛に刃が立たず、生半可な打撃では分厚い肉に阻まれて衝撃が通らず、多少の魔法ではその動きを止められない。高い危険度のモンスター。

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