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 兄に嘲笑されながらも、アイを抱えて自室に戻る。

 ほとんどそのためには使われていない勉強机にアイを座らせて、ジャージ姿に着替えると、

「アイ、かあ」

 彼の元恋人だったアイさんは、どんな人だったのだろうか。

 彼はこのアイに、どのような思いを込めて名前をつけたのだろうか。

 そういう思考は、しかし、私には余り向いていなかった。誰かの心中や、想いを機微に感じ取れるほど、私は敏感に過ごしては居ない。だから多分、正樹も離れて行ってしまった。

 悲しくなって、泣く。声も出さずに、小さく、小さく、涙を流した。

 ぎゅっと、アイを抱きしめる。

 そんなことをして眠ったからか、翌日の学校でも、どんなに周囲に馬鹿にされても、常にアイと行動をともにし、特に正樹とすれ違うときなどは、顔を埋めるようにしてやり過ごした。アイなら、そうすることがプラスにならなくても、恥ずかしくなんてなかった。

 私には今、アイが拠り所なのだと考えるほかなかった。

 しばらく私はそういう日々を繰り返した。

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