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 店内に入って僅か十分足らずだ。

 お互いの名前すら知らない。私が恋人に振られぬいぐるみを求めたことと、彼がぬいぐるみを作っている、という話しか、していない。

 それなのに、譲ってくれると言う。

「ごめんね、唐突だったよね。実は僕、この子たちを最後に、ぬいぐるみ作りはやめようと思っているんだ。そういう意味でも、特別なんだよ」

「やめてしまうんですか?」

「うん。作りたいと思えるものが作れた。満足してしまったんだ。ほかにもやりたいことがあるし、いい区切りだと思って。だから最後のこの六体は、それぞれこれと思える人たちにあげようと、多分、最初からそのつもりだったんだ」だから、と彼は続けた。「貰って欲しい。出来たら君に」

 優しい。と思った。

 同時に、優しさの押し付けだ、とも思った。

 でも私は、そういう押し付けがましい優しさに、飢えていたのかもしれない。

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