お母さんサギ
「はい、もしもし・・・」
「あぁ、ノブ君?」
「ん?お母さん?」
「ちょっと、声がおかしいかもしれないけど。」
「どうしたの急に。」
「あのね、お母さん、ガンなのよ。」
「ガン?」
「咽頭ガンなの。でね、声がおかしいでしょ。」
「大丈夫?」
「早期発見で、手術するんだけどね。」
「いつ?」
「明日なの。」
「なんで、急に。もっと、はやく電話して来ればいいじゃないか。」
「あんたに心配させたくないからよ。」
「手術費用とか、持ってるの?」
「あなた少し工面できる?」
「ああ、いくら必要なの?」
「100万ぐらいあればねえ、助かるんだけど。」
「じゃあ、振り込むから銀行は、どこ?」
「入院してるから、振込みじゃなくて、受け子が、受け取りにいくから、用意しておいてよ。」
「受け子?」
「あっつ、」
ガチャ・・・ツー、ツー、ツー
「だれなんだよ、この電話!」