表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ベースボール☆パンダ  作者: 鮫島あーろん
第一球「出会い」
6/30

出会い-5

「は…?」


上野氏の言葉に二人は呆気にとられる。


「野球やったこと無いって、今やってるじゃないですか」


「言葉が悪かったか。…あいつは『バッティング』という競技は達人だが、九人でやる『野球』という競技をやったことは、ただの一度もない」


上野氏は感慨深そうに語る。


「五歳の頃に初めてここに来てバットを握ってな。今でも忘れん。それから取り憑かれたように通い詰めてきて、小学校に上がる頃にはここで一番速かった130キロを前に弾き返すようになってた」


「130!?」


「毎日来るもんだから可愛がってたんだが、その段になると少し悔しくなってきてね。なんとか負かせてやろうと昔の職場の施設を借りてオリジナルのピッチングマシンを作るようになった。でもその日のうちにバカスカ打ちまくられてね」


上野氏の『パンダ』を見る目は息子への眼差しのようだった。


「もう連日リトルやら私立校やらの関係者がしつこく勧誘に来たんだが、野球には関心が無くてね。もったいない気もするが、全部追い返しちまった。それならせめてあいつには人間以上のボールを打たせてやろうと、あんな化物マシンになったんだ。ほら、見てみなさい」


二人は『パンダ』の打席を注視した。

通常よりかなり大きいマシンには防護用のネットが厳重に張られている。

放たれる球も通常と異なる。

まず何の前触れもない。突然マシンからボールが放たれる。一定のテンポでもなく、時に息もつかせぬほど、時に間を取って。マシンとは思えない伸びのある速球や、ブレーキの利いたカーブ。コースまでランダムだ。


しかしそれより異常で異様な存在がパンダだった。


「全部真芯で捉えてる…!」


一球たりとも、打ち損じが無い。ボールについた傷による不規則な変化も、あわやデッドボールの内角球も、巨体を驚くほど柔らかく使って弾き返す。

殺人ライナーが何度もネットを破ったのであろう。いたるところに補修の跡があった。



「外で打たせたら、さぞホームラン連発なんだろうな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ