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ベースボール☆パンダ  作者: 鮫島あーろん
第一球「出会い」
5/30

出会い-4

戦慄に近かった。


空気の震えが直にビリビリと感じられた。


「…何だ今の」


「…ったく、何度聞いてもビビるわこの感じ。そっか、ミキリンここ来たことないのか。今のは何というか…ここのバッセンの主みたいなもんだ」


「こんな打球音、久我峰でも全国でも聞いたことない」


「見てみる?」


理一が尋ねる。


「隣のケージだ。すげえぞ」


凛太郎は頷いた。


スペースを出てすぐ右、一番端のケージに轟音の主はいた。

異様な男だった。


まず、でかい。身の丈180センチは優に越えている。それだけではなく横にもガッチリしていてまるで熊のようだ。

それでいて野球をしているにしては日焼けをしてない、白い肌。そして屋内にも関わらず何故かサングラスをかけていた。


「…パンダみたいだ」


凛太郎がそう言うとまたも理一が吹き出す。


「アハッ、ミキリンそれ的確!確かにでかいパンダが笹振り回してるようにも見えるわ」


「どこの人なんですか?あんなバッティング初めて見た。すごい有名人だと思うけど」


「…それが全然分かんねーんだわ」


理一は頭を掻いた。


「何回か話しかけてみたんだが全然答えてくれねーし。それよりさ、気付いたかあのパンダが使ってるマシンの異常さ」


言われてピッチングマシンを見てみると、確かにおかしい。


「すごく速い。こんな速いマシン初めて見た。しかもランダムに変化球も混ざってる」


「150キロだ。ワシの自信作なんだが、打ってみるか?」


突然後ろから声がした。

振り返ってみるとそこには店主のおじいさんが立っていた。


「カーブにフォーク、シュート、チェンジアップに加えてスライダーは大小三種類。これをランダムに投げ込むオリジナルマシンだ」


「あ、こんちわ!おじさんお世話になってます!」


「ああ理一君か。隣は…お友達?」


どうやら顔見知りのようだった。


「そうッス!ミキリンです!あ、彼女じゃないですよ!」


「余計なこと言わないでください!…初めてまして、三城凛太郎といいます」


「店主の上野です。元はスポーツ用品会社のミズキで技師をしてて、あんなマシンを作って遊んでるというわけで…いやあうるさくてすいませんね」


「いえ、それよりあの人どこのチームの人なんですか?多分学生だと思うんですけど」


「ああ…あいつね。あんまり話すなって言われてるんだけど…」


上野氏は少し間を取って、こう言った。



「…実はあいつ野球やったことないんだよ」

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