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しるし(詩集)

ラ♭

作者: さゆみ

色付いた葉が奇妙にくうを泳ぎ

着地した葉が息を吐いた

前奏の始まりはラ♭



ピアノの弦が震える

左手は和音

右手のラ♭だけ楽譜から零れ落ちた



ラ♭

雨が灌がれ落ち葉がアスファルトにしがみ付く

踏まれてゆく崩れてゆく滲みてゆく



始まりの音、始まる音、始まってしまった音


愛情♭逸楽♭夢想♭


憂い♭哀情♭寂寞♭


悔恨♭憎悪♭歔欷♭



あつくあつくあつく

丹色に燃え上がるのはどこ?



ラ♭

離れられない

離れたくない

離してしまう



AsAsAsAsAs

甦る音

甦りたくない音

壊して愛しい音



AsAsAsAsAs

ララバイ

レクイエム

バラード



始まりは終わりたいから

生まれたの



ラ♭

掬い上げて



私は零れ落ちる





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― 新着の感想 ―
[良い点] 流行や体裁に流されない繊細でアーティスティックな文章だったと思います。 さゆみさんのセンス好きです(^ω^)丿
[良い点] どうもー^^ PTは満点入れてたんですが二回目読んでみても面白い…… という事は詩として非常に完成度が高いなと僕は批評します。「歔欷」これ何て読みますか?欺瞞なら知ってますけど初めて見まし…
[良い点] さゆみさんの詩の世界が好きです。可愛らしくて、美しくて。言葉の雰囲気が心に残ります。羨ましいセンスです。
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