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現代っ子パーティ・クエスト  作者: 空色レンズ
第一部:異世界召喚
3/23

(3) ~ 「不安だなぁ」

 毛布を被って二言三言つぶやいたかと思ったら、あっという間に寝入ってしまった真琴に、美琴とトリルは目をあわせた。


「……ねぇ、トリル。お姉ちゃんって楽観的すぎない?」

『確かにのう。もうちょっと混乱してもいいと思うんじゃが』

「だよね? 私があそこであれだけテンパってたの、全然変じゃないよね、むしろ普通だよね!」

『み、美琴、声が大きいぞ。真琴が起きてしまうわい』

「あ、ごめん」


 美琴は一度口を閉じ、姉の呼吸音を聞きながら幾らか気分を落ち着けた。


「……それで、さ。ここ、本当に異世界、なのかなぁ」

『うむ、儂らのいた世界とは、まず匂いからして違うからのぉ』

「匂いで世界が分かるの?」

『ここは、怖いところじゃ』


 ぼそぼそと告げられたトリルの言葉に、美琴は無意識のうちに身体を震わせる。


「怖い、の?」

『なんだか、分からないものが多すぎるのじゃ。儂だって、琴音……美琴たちの母親に飼われ始めたときは、まわりが分からないものだらけでのう。あのときとそっくりな気分じゃ』

「……それって、単に急にまわりの環境が変わったから、じゃないの?」


 美琴の小さな落胆が込められた言葉に、トリルは髭を震わせる。


『む、い、言われてみれば……そうかもしらんの』

「はぁ……生きて、って、私たち、まだ子どもなのに」


 消えてしまった、少年の姿をした賢者の言葉を思い出し、美琴はため息をつく。

 いつも通りの朝、美味しそうな朝食、突然響いた鐘の音、光、光、ヒカリ……。


『とにかく、今は真琴のように身体を休めるのが先決じゃ。ほれ、今日は美琴も早起きだったのじゃろ? 寝なされ寝なされ』

「うぅ、はぁい」


 自分の中での質疑応答は明日に持ち越し。姉とともに、今後のことを考えなくては。

 ……いや、自分が中心となって決めることになるか? と美琴は目をつむりながら、うっすら冷や汗を流した。


今回はほとんど独白、間章みたいなものです。

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