第七話 約束 ※注意!挿絵が有ります
大騒動になる前に脱出した二人は、人通りの少ないベンチで休憩していた。
「はぁ・・怖かった・・・・怖い事って続くんだね。」
「お主の運が悪いだけだ。」
夕紀の問いに、白夜は即答で答えた。
「ひど!まぁ・・・でも、また白夜に助けられたね。」
夕紀は白夜の方に寝転がり、白夜の膝に頭を乗せて膝枕にした。
「ねぇ・・・白夜・・・」
「ん?」
「ごめんね。私・・・あなたに迷惑ばかりかけてる・・・。」
今にも泣きそうな夕紀の言葉に、白夜は軽く額を叩いた。
「たわけ。お主の頭で悩んでも仕方なかろう。」
「ひどい!あ~あ…私も何かを守れる力があればなぁ。」
空に片手を伸ばした夕紀を見て、白夜は鼻で笑った。
「あっ!何で笑うかなぁ?そこで!」
「お主は何の力も無いただの少女だ。無いものをねだっても仕方あるまい?」
「うぅ・・・。そうだ!ねぇ白夜!」
「ん?」
「私も白夜みたいになれない?」
夕紀の突拍子の無い質問に、白夜は笑った。
「ハハハ・・・!無理だ。ワシみたいな力をお主に与えたら余計に危険だ。」
「ぇー!なんでぇ?」
「何も考えず飛び出す馬鹿者だからな。」
「うわっ!ひっどーい!!」
ふくれる夕紀をなだめるように、白夜がひと撫ですると
「良いじゃないか。無力な少女で・・・力のあるワシがお主の代わりになってやるよ。」
そう言って、白夜は優しく微笑んだ。
「本当?」
「うむ。ただし!今回の様に、自分から危険に飛び込む真似はするなよ!いいな?」
「はーい。」
「よろしい。」
その後、二人は吹き出して、声を上げて笑った。
ひとしきり笑った後・・・夕紀は勢いをつけて上半身を起こすと
「さーて、夕飯のおかずでも買ってから帰ろうか。」
「そうだな。」
夕紀は立ち上がると、白夜の方へ振り返り
「今日は、何食べようかなぁ?白夜で良いかなぁ。」
そう冗談を言って、舌を出した。
白夜は愛想笑いをしながら
「ハイハイ。馬鹿なこと言ってないでさっさと歩け。」
と・・・夕紀を押しながら前へと進んだ。
日も暮れ始め・・・休日なのもあって、人通りが少なくなってきていた。
二人は百貨店まで戻ってきて、食材品売り場へと向かった。
「何買おうかなぁ・・・ねぇ、白夜ぁ~何作ってくれる?」
「すでに、ワシが作る事前提か?!」
夕紀の発言に、ショッピングカートを押している白夜の顔はあきれていた。
「ぇー。だって、私が作るより遙かに美味しいんだもん。」
「ふむ・・・・知ってる料理なら、作り方を教えれるが・・・、一緒に作ってみるか?」
「え?本当!じゃぁ・・・肉じゃがの作り方教えてよ。料理の本だけじゃぁ・・・うまく作れなかったからさ。」
「ふむ・・・構わんぞ」
「やった!」
白夜の承諾に、夕紀はうれしそうに飛び跳ねた。
早速、肉じゃがの食材を白夜が選んでいる横で・・・夕紀はおやつをカートの中に入れていた。
食材を選び終えてから、精算を終了させて、二人で手分けして食材を袋に詰めた。そして、白夜が持とうとすると・・・
「あ!私が持ってあげるから渡して。」
「む?いいのか?重いぞ?」
「へーき!へーき!」
そう言って、白夜から受けとった買い物袋は予想外に重かった。
「うっ!お、重・・・」
「やっぱり・・・ワシが持った方が良いのではないのか?」
「だ、大丈夫よ!」
白夜が心配そうに見ているが、途中休みながらも夕紀は気合いで、バス停まで向かった。
流石に、息切れして停留所のベンチに座ってる夕紀に見かねて、白夜は買い物袋を軽々と持ち上げ。
「無理するな。重い方はワシが持ってやる。」
と座り込んでる夕紀に手を差し伸べた。夕紀は顔をうつむいたまま小声で、
「妹が出来たみたいでうれしかったのに・・・情けないなぁ・・私・・・。」
一人っ子の夕紀にとって、妹が欲しかったのが容易に想像が出来た。渋々立ち上がる夕紀に、白夜はため息をついて
「何、馬鹿なことを言ってるんだ・・・さっさと行くぞ。お姉ちゃん。」
そう言って、夕紀の手を引っ張ったが・・・夕紀は『お姉ちゃん』って言葉に反応して、明るい顔をした。
「ね、ねぇ!白夜!もう一度言ってくれる?」
聞き返す夕紀に、白夜は笑顔で
「さぁな!気が向いたらな。」
と夕紀をはぐらしかして、二人は停車したバスに乗り込んだ。




