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第六十六話  手料理

夕紀を頼むよう夏希にお願いされた白夜は、頭を掻いた。


「元より、そのつもりだが・・・うわっ?!」

「な~に、話してるの?二人とも?それよりさ。白夜・・・その格好、モロ私好みね!」


イキナリ、白夜の背後から上機嫌で飛び込んできた夕紀は、そのまま、白夜に抱きついて頬擦りしていた。


「えぇい!暑苦しい!離れないか!」

「ヤ~ダ~。もう少し引っ付いてるぅ。」

「はぁ・・・力が出ないからって、好き放題して・・・。」


より一層疲れた表情を浮かべている白夜は、諦めたように夏希と話の続きを始めた。


「さっきの話だが・・・取りあえず、家に戻ってからにしないか?落ち着いてから話そう。」

「それもそうね。いいわ。家に戻りましょう。」


白夜の提案に夏希は快く頷くと、早速、白夜は海翔の方へ振り向いて、


「じゃぁ、また頼むぞ。海翔。」

「はぁ?・・・まぁいい。得るモノもあったし、今回は特別だ。」


そう言って、海翔は再び巨大な怪鳥を呼び出した。


「よし。戻るか。」

「は~い。」


夕紀は白夜から離れて、怪鳥の背中に一番乗りすると白夜達も、その後に続いた。

全員が乗ると同時に、怪鳥は天高く上った。


・・・数分後、夕紀の家の上空に到着して、怪鳥はゆっくりと、家の庭にゆっくりと降り立った。


「ねぇ・・・この鳥、大きいから他の人に見えてるんじゃないの?」


夕紀は、そんな疑問を海翔に問いかけると、ヤレヤレっといった表情で答えた。


「心配しなくても大丈夫だ。普通の人には見えない様に、術式が組み込まれてるから見えることはない。」

「普通の人は・・・って事は、私にも見えないはずよね?」

「おまえ・・・乗るモノが見えなかったらダメだろ?馬鹿か?」

「ムッかぁ!あんたね!もっと、他に言い方無い訳?」

「ハイハイ。痴話ケンカも其処までだ。」

「誰が痴話ケンカだ!」「誰が痴話ケンカよ!」


白夜の一言に、夕紀と海翔は声を揃えて反論した。二人の姿を見て、夏希はクスクスッと笑ってるのを白夜が気付いた。


「何を笑ってるのだ?」

「え?あぁ・・・ごめんなさい。余り、この光景を夫に見せられないなぁ・・・っと思ってね。」

「ハハハ。」

「ちょっと!笑い事じゃないわよ。」


ムキになって怒る夕紀に、白夜と夏希は笑うと、


「はぁ・・・笑った笑った。さて、腹も空いただろう?何か作ろう。・・・海翔も食べていくのだろ?」

「え?・・・いや。」

「えぇ?!何でこんな奴に食べさすのよ!」


反対する夕紀に、微笑みながら白夜が近づき、


「まぁ、そう言うな。大勢の方が楽しいだろう。・・・と言う訳で食べていけ。な?」

「ま、まぁ・・・お前がそこまで言うのなら、頂こうか。」

「嫌なら別に良いのよ~。」

「ほら、夕紀。そんな、意地悪しない。どうぞ、上がっていって。」

「そ、それじゃぁ、お邪魔します。」


夏希に勧められるまま、海翔は靴を脱いで中に入っていった。それを見ていた夕紀は、頬をフグのように膨らまして、粗々しく中に入っていく姿に白夜は笑いがこらえられなかった。


「さぁ・・・何作ろうかしら?」

「あっ!待って、ママ。ご飯は私が作る!」

「え?あなた作れるの?」

「もちろんよ!ね?白夜。」

「・・・。」


夏希の問いかけに、夕紀はそう答えて白夜に同意を求めると、白夜は無言でソッと目を背けた。


「ちょ・・・白夜?!何で無言なのよ!私、ちゃんと出来てるよね?ね!」


夕紀は白夜の両肩を掴んで、前後に振って聞くと、なすがままに視線をそらして遠い目で答えた。


「あ、うん・・・出来るんじゃないか?」


と、曖昧に白夜は答えると、夕紀は目に少し涙をにじませて、


「もっと、ちゃんと証明してよぉ!本当に、ちゃんと作るからさぁ!」


必死に頼む夕紀に白夜は笑うと、


「本当だな?余計なことはしないんだな?」

「しない!絶対しないからお願い!」

「・・・わかった。手伝ってやるから、ちゃんと作れよ夕紀。」

「ありがとぉ!」


夕紀は白夜の手を両手で取り、本気で感謝した後で目ににじんだ涙を拭い、元気よく台所に立った。その姿を遠目で見ていた夏希はクスッと微笑した。


「よっぽど、親に良いところを見せたいのね。」

「はぁ。」


嬉しそうに呟く夏希に頬を掻きながら、取りあえず相づちをする海翔だった。

慌ただしく、白夜に怒られながらも嬉しそうに料理をしている夕紀の姿を見ていた夏希は、少し寂しそうな目をしていた。


「親が無くとも、子は育つ・・・か。・・・なんだか、嬉しいような、寂しいような。複雑ね。」


お皿を持って来た白夜がそれを聞いてから、クスッと笑い


「そんなことはない。やはり、親が居ないと育ちも悪いぞ。其処の不良退魔師みたいにな。」

「な?!だ、誰が不良退魔師だ!」


否定する海翔に、夏希と白夜は一緒になって笑うので、海翔は不機嫌そうにそっぽを向いて座り直した。


「は~い!おまったせ~。」

「まぁ・・・おいしそうじゃない。」

「へっへ~♪腕によりをかけてみました!」

「まぁ・・・ワシの言う通り作れていれば、問題は無いのだがな・・・。」

「だ、大丈夫だよぉ!そんな事しないって。・・・ほら、ママ。食べてみて。」


満面の笑みで、お箸を渡す夕紀から箸を受け取ると、夏希はゆっくりと夕紀が作ったおかずを口に運んだ。



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