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第五話  ショッピング(後編)  ※注意!挿絵が有ります

暴走していた夕紀を止めた少女が、ゆっくりと白夜の方へ歩いて行き、手を差し伸べ た。

挿絵(By みてみん)

「大丈夫あなた?」

「ありがとう。」


白夜は少女の手をとり、立ち上がった。そして、少女は夕紀の方を振り返り、睨みつけた。


「いくら可愛いからって、手を出しちゃダメでしょ!」

「助けてくれて、ありがとうございます。えーと・・・。」

「あ?わたし?わたしの名前は、一之宮イチノミヤ 千歳チトセ。一応、アレと同級生なの。」

「ちょ!ひどっ!身内だからいいじゃない!」


その台詞を聞いて、千歳はゆっくりと夕紀の方へ歩いて行き、ニッコリとして顔を近づけた。


「身内?あなたの家にこんな可愛い子・・・居たっけ?」

「え?えーと・・・。」


夕紀は言葉に詰まって、目線を反らした。


「ほら、やっぱり嘘でしょ?あなたと付き合いが長いから解るわよ。で?実際どこの 子よ?」

「あーうー。そ、それは・・・。」


  問い詰める千歳に対して、説明に困ってる夕紀。見かねた白夜が千歳の肩を軽く叩いた。


「すまんのぉ・・・。」

「ん?どうしたの?」


千歳は、愛嬌ある笑顔で振り向いた。白夜は頭を少しかいて


「名前を聞いて、まだワシが答えてなかったからの。」

「あっ!そうだった!お嬢ちゃんお名前は?」

「碑宮 白夜。夕紀とは従兄弟同士なんだ。」

「え?本当だったの?」


目を丸くして驚く千歳に向かって白夜は、小さく頷いた。白夜の機転で夕紀は、胸をなで下ろした。


「それにしても・・・。あなた変わったしゃべり方するのね?」

「それは、見ての通り。元々身体は強くなくて、病院暮らしが長くてのぉ。周りには年寄りしか居なくて・・・それでの。」

「そ、そうなの?悪いこと聞いちゃったわね・・・ごめんなさい。」

「いや、気にしなくていい」


淡々と嘘が出てくる白夜に驚く夕紀。助かったけど…複雑だった。


「それより、夕紀!いつまで座ってるの?」

「あっ!」


夕紀は慌てて立ち上がり、座ってた部分のホコリを払った。


「ところで、夕紀・・・。こんな病弱な子を襲うなんて・・・、尚更ダメじゃない!」


その言葉に、夕紀は遠い目をして答えた。


「あなたも・・・来る?そうしたら答えが分かるわよ。」

「ふーん・・・そこまであなたが言うのなら、見せてもらおうかしら?」


夕紀は白夜に近づき


「ごめんね。お詫びにソフトクリームおごってあげるから付いてきて。」

「おぉ!」


うれしそうな顔で喜ぶ白夜に対して、夕紀と千歳の顔はシリアスだった。


-地下デパート-


三人は、ソフトクリーム販売店の前まで歩いてきた。


「さて、白夜。どれがほしい?」

「そうだなぁ・・・。これでいいかな?」

「じゃぁ・・・コレ一つください。」


二人の後ろで、約一名。白夜の選ぶ姿に胸を撃たれていたが・・・それを横目で見た夕紀が、軽く首を振り・・・『まだよ』っと言わんばかりだった。

三人は、席に座った。ソフトクリームが来るのをそわそわしながら白夜は待っていた。


「お待たせしました。」


そう言って店員がソフトクリームを白夜に手渡すと、上機嫌に受け取った。その姿を見た千歳は、肩を小刻み震わせ、うつむいて耳まで赤くし、ブツブツと何かを呟いていた。

夕紀は、千歳の肩を軽く叩き


「白夜。ちょっとソレ食べながら待ってて。私と千歳はちょっと周り見てくるから・・・。」


白夜は小さくうなずき、夕紀と千歳は席を離れた。が・・・少し歩くと柱に身を隠して、白夜の様子を遠くから観察しはじめた。


「さて、どこまで耐えられるかな?」


夕紀はそう呟いた。しかし、二人の姿は端から見れば怪しかったが、白夜は遠くから見られてるのには気づいて無く。最初にキョロキョロっと周りを見渡した後、うれしそうにソフトクリームを舐めはじめた。

椅子が少し高いのか、地面に着きそうで着かない足を揺らして一所懸命食べる姿に、  

「ダメ・・・これ以上見られない。」

「はふぅ・・・か、可愛すぎる。」


完全に白夜に魅了された二人は、その場に力なく座り込んでしまった。

そして、夕紀は千歳に向かい


「襲いたくなるでしょ?」


との問いに、千歳は鼻を押さえながら頷いた。

その時、一人の若い男性が白夜に近づいて声をかけたのを二人は見かけ、慌てて白夜の元を駆けだした。


「ごめんごめん、待った?」

「?・・・いや?そんなに時間は経ってない気が・・・。」


慌てて走って来た二人に不思議そうな顔で答える白夜、その隣で若い男性が二人に問いかけてきた。


「君達・・・この子の知り合い?」

「は、はい!そうです!あの、ちょっと急いでるので失礼しますね!」

「え?ちょっと、待って・・・。」


若い男の制止を無視して、二人は白夜の左右の脇を抱えてその場から立ち去った。

その後ろ姿を見ながら男は呟いた・・・。


「あの白髪の少女の気配…間違いなく『人在らざるモノ』・・・いずれ、また会うことになるな。」


そう言って男はその場を去った。


二人は白夜を抱えたままデパートの外に出た。さすがに、息切れしていた二人は息を整えて深呼吸した。白夜は宙ブラリのまま、ソフトクリームを舐めてた。

だいぶ呼吸が落ち着いてきたので、夕紀は会話を始めた。


  「今の人・・・何だったのかな?」

「はぁはぁ・・・さっきの人?さぁ?・・・ただ、怪しかったね。」

「・・・うん」


端から見たら・・・この二人も結構怪しい部類に入ると思う。すると二人の会話に割ってはいるように白夜が一言


「・・・・そろそろ、降ろしてくれんか?」

「あっ!ごめん」

「あら・・・ごめんなさい」


二人は白夜の一言で気がついて、ゆっくりと降ろした。


「白夜・・・まだ食べてたの?」


呆れる夕紀に向かって白夜は無言で頷いた。ソレを見た二人は、なんだかおかしくなって、声を出して笑い出した。


「あはは・・・。流石、白夜ね。可愛すぎ!」

「ふふふ・・・。本当ね。・・・・あっ!」


ふと、千歳は自分の腕時計を見た。


「いけない!用事があったんだ。行かなきゃ!」


そう言って、コーンをかじってる白夜の方に近づいた。


「ごめんね。白夜ちゃん・・・私、用事あるから、また今度一緒に遊びましょうね。」

「・・・うむ。楽しみにしておく。」


白夜はニッコリ微笑んで答えた。

千歳はいきなり抱きつき、白夜はびっくりした。そして、千歳は物欲しそうな顔で夕紀の方を見た。


「夕紀・・この子、持って帰ってもいい?」

「なっ!ダ、ダメに決まってるじゃない!」

「そっかぁ・・・」


一呼吸置いて、夕紀は千歳を急かすように促した。


「気持ちはわかるけど・・・急いでるんでしょ?また今度、私の家に来ればいいじゃない。」


千歳は小さく頷くと白夜から離れて、


「じゃぁ、今度の休みにあなたの家に遊びに行くわ。約束よ!」

「ハイハイ。楽しみにしておくわ。」


小さく手を振る夕紀と白夜。名残惜しそうに千歳は、


「絶対行くから・・・約束よ!」


と見送る二人に念を押して去っていった。


夕紀は千歳が見えなくなるのを確認してから、白夜を見て手を取った。


「私たちも行こうか?」

「ぬ?今度は何処へ行くのだ?」


夕紀は少し考えて、


「んー。夕御飯の材料買う前に、ちょっとお金下ろさないとなぁ・・・。」

「ほぉ、何処で下ろすのだ?」

「銀行・・・・よーし!次は、銀行へGOだ!」


そう言って夕紀は白夜の手を引っ張りながら走り出した。


「ま、まて!急に走るな馬鹿者!」


白夜の忠告は、虚しく風に流された。


 誠に申し訳ないですが・・・次回から一周間に一回のペースになります。

 頑張っていきますので、何とぞよろしくお願いします。

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