表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/84

第四十五話  依頼終了 ※注意!挿絵が有ります

依頼報告と証拠の遺留品を提出して役場から出てくると、下校途中の女の子に声をかけられて対応に困ってる白夜がいた。

ふと、白夜と目が合い、すがるように海翔の方へと走ってきた。


「た、助けてくれ。さっきから質問攻めで困っていたんだ。」


見た感じ、小学校高学年の女子が海翔と白夜の周りを囲んだ。


「ねぇねぇ、その子のお父さん?その子って外国人なの?」

「英語しゃべれるの?」

「どこの学校へ行ってるの?」

「その髪の色って染めてるの?」


海翔は『お父さん』っと言う言葉に再び軽いショックを受けながらも、子供の質問攻めは確かに堪えるモノがあった。


「すまないが我々は急いでるんだ。道を空けてくれないか?」


そう言って、白夜の手を引き海翔は少女達をかき分けながら、二人はその場を後にした。

二人が駅に向かっている途中、その後ろを隠れながら尾行してくる少女達がいた。


「さっきの子供達が付いてくるな。」

「あぁ。まぁ、駅までの辛抱だ。」


白夜は付いてくる子供達が気になるようだが、海翔は余り興味はなさそうだった。しかし、尾行してくる子供達は真剣そうで、たまに振り向く白夜に慌てて隠れる子供達の姿は少し微笑ましかった。


「何笑ってるんだ?」


後ろを振り向いて微笑んでる白夜に海翔が尋ねた。


「あぁ・・・いや、子供は無邪気だな。っと思ってな。」

「お前だって、容姿は子供だぞ?」


鼻で笑う海翔に、白夜はクスクスと笑い。


「ワシから見れば、お主の方がまだまだ危なっかしい子供なのだがな。」

「うるさい。・・・ほら、駅に着いたぞ。」


駅の中に入り、白夜と海翔は電車が来るホームへと向かった。子供達は白夜達が見えない建物の位置から少し、頭を出して覗いていた。

そして、電車が来る前に白夜は子供達に手を振ると、子供達は驚いたように慌てて隠れた。

二人は電車に乗り込み、その町を後にした。


陽も大分傾き始めた頃、白夜達はようやく元の町まで帰ってきた。

白夜は電車から降りると、一先ず身体を伸ばしてから一言もらした。


「んー・・・疲れた。」


脱力したように前屈みになり、海翔は一瞬微笑むと、


「今回は助かった。後日、金は送る。・・・じゃぁな、俺は此処で別れる。」


海翔はそう言い残して、そのまま去ろうとした・・・そんな時、ふと白夜が声をかけた。


「人の趣味に口を出したくはないが、ズボンの前は閉めた方がいいぞ。」


海翔は足を止めて、慌ててズボンを確認してチャックを上げる仕草をしていた。それから、耳が赤くなって逃げるように足早に去って行った。その後ろ姿を見送りながら白夜はクスッと笑った。


「さて、急いで帰って晩飯を作らないとな。」


白夜も駆け足で、家路についた。

外は暗くなり始め、白夜は家に着くと・・・まだ、夕紀は帰って来てなかった。


「まだ、帰って来てなかったか・・・まぁ良い。さっさと作って、ちょっと横になるかな。」


白夜は手慣れた手つきで素早くおかずを仕上げ、出来上がった料理をラップで包んでから居間の窓辺付近で横になり、近くにあった座布団をふたつに折って枕にして目を閉じると直ぐに寝てしまった。


やがて、学校から夕紀が帰って来た。


「ただいまー!!白夜~・・・お腹空いた~。白夜~?」


いつもならあるはずの白夜からの返事が返ってこないので、靴を脱ぎ白夜を探すように部屋の中を覗いていった。


「白夜~?どこ~?びゃ・・・!!?」


夕紀は居間で横になってる白夜を発見した・・・が、明らかに白夜の様子がおかしかった。それは、頭から犬耳が出ており、スカートの下から尻尾がゆっくりと動いていた。普段見ない光景に、思わず口から飛び出そうな言葉を両手で塞いだ。挿絵(By みてみん)

夕紀は口を手で塞いだまま、ゆっくりと白夜に近づいた。そして、ソーッと白夜の顔を覗き込むと、無防備な寝顔で寝息を立てている姿を目にして感動の余り、その場で硬直していた。


(えっ?えっ?何?コレ、なんなの?何のご褒美?)


アタフタと動揺しながら、取りあえず携帯を取り出して白夜の寝顔をカメラで写した。写した後の画像を見てから、夕紀は何かに取り憑かれたように、色んな角度から白夜を撮影した。

一通り撮影して満足した表情を浮かべてから、夕紀は携帯をしまうと白夜の近くで座り込み、白夜の犬耳を触った。

触られた耳はピクピクッと動いたが、白夜が目覚める気配はなかった。


「・・・。」


無言で夕紀は再び犬耳に触れた。また、ピクピクッと動き、んー・・・っと唸って白夜は顔をしかめたが、起きる事はなかった。

夕紀は白夜から離れて、『可愛い!可愛い!』と声に出さないように叫んでいた。


「・・・ん?・・・なんだ?帰っていたのか?」


眠たい目を擦りながら、白夜が起きた。声に気付いて夕紀が振り向くと白夜は思わず一言、


「・・・なんと言うか・・・気持ち悪いぞ。」

「ひど!」


ものすごくニヤついた表情の夕紀に、白夜は若干引いた。


「なによぉ・・・そんな処で可愛い格好して、無防備に寝てたら襲われるわよ?」

「可愛い格好?」

「ほら、耳とか尻尾とか生やして・・・萌えるじゃない!」

「耳としっぽ?」


白夜は身体を見回してから、頭を触って確認した。


「あー・・・大分、疲れてるな。だから、襲おうとしたのか?」

「しませんー。私だって自制心はあるんですー。」


断固と否定する夕紀に白夜は足を組んで座り、頭を掻きながら


「お主から自制心って言葉が出てくるとわな・・・思い返してみろ。本当にあったのか?」


改めて白夜に問われて、夕紀は腕を組んで深く考えて、


「テヘッ☆」


っと、舌を出して誤魔化した。それを見た白夜は深いタメ息をついて、


「もういい・・・早く飯を食べろ。」


と、半ば諦めた感じで夕紀にご飯を食べるよう勧めた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ