第十八話 食後デザート
手足を縛られ、困惑する夕紀。
「え?え?な、なに?なんのプレイ?!」
白夜は、無言で夕紀から離れると、冷蔵庫へ向かった。
「ちょ、ちょっと?白夜さん?」
「アイスを作ったのだが・・・千歳食べるか?」
「あら?白夜ちゃんの手作り?もちろん頂くわ。」
「え?わ、私の分は?」
「無い。」
「えぇ?!・・・ハッ!まさか・・・その為に私を?!」
縛られた理由に気づいた夕紀に、白夜は黒い笑みを浮かべた。
「クックックッ・・・正解だ。悪ふざけが過ぎた子供には、お仕置きが必要だからな。」
「イヤー!!ごめんなさい!もうしないから、許して!!」
白夜は首を横に振って、
「ダメじゃ。しばらくそこで反省して見てろ。」
「イーヤー!!」
二人は、必死にもがく夕紀の目の前でアイスを食べ始めた。
「あら?とっても美味しいわ。」
「初めて作ったが・・・。割と上手くできたみたいだ。」
「うわぁぁぁん!ひどいよぉ!私も食べたいよぉ!!」
悔しそうに泣く夕紀を横目に、二人はアイスを食べ終えた。
「美味しかったわ。白夜ちゃん。」
満足そうに微笑む千歳の顔を見て、白夜も微笑み返して、
「どういたしまして。」
そう答えて、食器を片付けてから、落ち込んでる夕紀の方に近づき、白夜は自分の腰に手を当てて、
「反省したか?」
と、問いかけて夕紀は、涙ながら頷いた。それを見て、白夜は一息ついて微笑むと夕紀の拘束を解いて再び冷蔵庫へと向かい、冷凍室からアイスを取り出した。
「ほれ、お前の分だ。」
「え?私の分は無いんじゃぁ・・・。」
落ち込んでいた夕紀は、手渡されたスプーンとアイスを見て意外そうな顔をしていた。
その顔を見て、白夜はクスクスと笑うと、
「嘘じゃ。ちゃんと人数分作ってある。ただし!ちゃんと反省しろよ!」
そう言って、夕紀を叱るが、顔を輝かせて白夜に抱きついた。
「うわぁん!白夜大好き!」
「うおっと?!わ、分かったから早く食べろ。溶けるぞ?」
「はーい!」
夕紀は聞き分けよく元気に返事して、白夜から貰ったアイスを持って、椅子に座ると早速食べ始めた。
「あぁん!冷たくて美味しいよう!」
「ふぅ・・・。ヤレヤレ・・・。」
「フフフ・・・。」
嬉しそうに食べる夕紀の姿を、一息ついて微笑む白夜の後ろ姿を見て、千歳も笑っていた。それに気づいた白夜は千歳に問いかけた。
「なんじゃ?何か言いたそうだな?」
「うふふ・・・。なんだかんだ言っても夕紀には甘いのね。白夜ちゃん。」
「うぐっ・・・。」
千歳の言葉に反論できず、照れ隠しに苦笑いして白夜は頭を掻いてた。
「あぁ・・・。美味しかったぁ・・・。」
食べ終えて、満足そうな夕紀の顔に千歳と白夜はクスクスと笑っていた。
「ちょっとぉ・・・、何笑ってるのよ、二人とも。」
「ん?・・・いや何でもない。」
「そうそう、気にしないで。」
「ぬぅ・・・。ものすごく気になる。」
不服そうな顔の夕紀に、笑いをこらえながら白夜が近づいて、
「しいて言うなら、お主の口周りが汚れてるくらいだな。」
「へ?」
白夜はポケットからハンカチを取り出すと、夕紀の口周りを拭いた。
「あら?うらやましい。子供みたいね、夕紀。」
「は、はずかしい!!」
真っ赤になって夕紀は両手で顔を隠した。
それを見て、再び千歳と白夜は笑った。