第十七話 みんなで夕食
二人が風呂に居る間に、白夜は急いで夕飯の準備に取りかかっていた。
たぶん、二人は腹を空かせている頃だから、早くて簡単なモノを作った方が良いな・・・と腕を組んで考えていた。
「んーと・・・。材料は、千歳殿のおかげで、いろいろ揃ってるし・・・早速取りかかるかな。」
白夜は、黙々と料理を始め。瞬く間に、様々な料理が机に並んだ。
一通りのモノは作れ、残りは時間のかかるスープモノだけだった。
その時、二人が風呂場から出てきた。
「待たせたわね!白夜!・・・て、もうほとんど出来てるし!!」
「あら、本当。・・・美味しそうね。」
「お?もう出てきたのか。後、スープだけだから、もう食べてても良いぞ。」
机に並んだ料理のニオイと空腹で、夕紀は我慢できずに白夜が言う前に、つまみ食いをしていた。
「もう、夕紀。お行儀が悪いわよ?」
「なによ!貴方だって食べてるじゃない。」
「あら?」
二人とも相当お腹が空いていたのか、座る前におかずを手で摘んで食べていた。
それを見た白夜は、ヤレヤレっと言った感じで腰に手を当てて苦笑いしながら、
「腹が空いてるのはわかるが・・・どうせ食うなら、座って食べろ。」
「は~い。」
夕紀は返事して、白夜の言われたとおりに椅子に座った。
その光景に、千歳は一人クスクスと笑っていた。その姿が夕紀の目に写った。
「ちょっと?何笑ってるの?」
「え?あ、ごめんなさい。ただ・・・白夜ちゃんがなんだか、お母さんみたいだったから、可笑しくって。」
「やだ!こんなお母さん居たら、親離れできなくなっちゃう!」
「本当ね。こんな可愛いお母さんなら、離れたくないわね。」
「ハハハ・・・。本当の母親が聞いたら泣くぞ?・・・さて、ご飯が冷める前に食え。」
「そうね。頂きましょうか。」
「だね!・・・いただきま~す!」
対照的な食べ方をする二人だが、白夜が用意した料理は、あっという間に綺麗に平らげてしまい、残りはスープを待つだけだった。
「あぁ~。おいしかったぁ~・・・。」
「本当。美味しかったわ。白夜ちゃん。」
「どういたしまして。・・・ほれ、食後のお茶だ。」
そう言って、白夜は二人の前にお茶を置いて、空いた食器を片付けていた。
「あ・・・。手伝うよ。」
「構わん。一之宮さんと一緒に一服していろ。」
「あら?一之宮さんだなんて、千歳って呼んで。白夜ちゃん。」
「しかし・・・。」
「もう・・・。私と白夜ちゃんの仲じゃない。」
「どんな仲よ?」
ちょっと、不機嫌そうに聞く夕紀に、千歳は洗い物をしてる白夜の後ろからハグして、
「白夜ちゃんに命助けられたもの。ね~?」
そう言って、千歳は、白夜の頬に軽くキスをした。
「なっ?!」
イキナリの千歳のキスに動揺した白夜は、洗っていたお皿を落とした。
それを目にした夕紀は、勢いよく立ち上がり
「あっ!!ずる~い!!私もする!」
と言って、白夜の側に駆け寄ってきたが、迫り寄る夕紀の顔を押さえて、抵抗した。
「や、やめんか!バカモノ!片付かんではないか!」
「千歳だけは不公平だわ!」
「いいから・・・、は・な・れ・ろ!」
白夜は抵抗するが、意地でもキスを迫る夕紀。さすがに、白夜が千歳に助けを求めようとした時、夕紀を押さえていた白夜の手が滑り、夕紀はそのまま、白夜に抱きついてキスをした。
その一部始終を離れて見ていた千歳は、微笑みながらただ傍観しているだけだった。
「んー!んー!」
キスされながらも抵抗してるが、夕紀はガッシリと抱きついて、しばらく離れなかった。
「・・・ぷはぁ。ご馳走様!」
「・・・。」
満足そうな顔の夕紀に対して、白夜は少し涙目だった。そして、白夜がその場に座り込み、シクシクと泣き始めた。
「うぇぇ・・・。初めてだったのに・・・。」
「えぇ?!」
イキナリ泣き出した白夜の可愛く泣く姿に動揺した夕紀が、
「だ、大丈夫よ。白夜。私のお嫁さんにしてあげるから・・・。」
そう言って、なだめながら白夜に近づくと、白夜の口元が細く微笑んだ。
「スキあり!」
「えっ?!!」
イキナリ白夜が足を払い、倒れる夕紀の体を受け取ると、お姫様だっこのまま椅子まで歩き、夕紀を座らせると後ろで手を組ませて、白夜はポケットから紐を取り出し、手を縛ると次に両足首も縛った。