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第十六話  お風呂バトル  ※注意!挿絵が有ります

三人で手分けして食材を分けたから素早く終わった。一段落してから、白夜は腰に手を置き、


「さて、一段落したし・・・。風呂でも入るかな?汚れたままだと、料理も作れん。」 「えぇ?!御飯まだなのぉ?」


ぼやく夕紀の隣で、千歳は手を叩いて、微笑んだ。


「それは名案ね。一緒に入りましょうか?白夜ちゃん。」

「え?!」「え?!」


千歳のイキナリの発言に、二人が思わず声を出して驚いた。

慌てる白夜、


「ま、まて!一緒に入る必要性は・・・。」

「そうよ!白夜と入るのなら、私も一緒に入る!!」

「な!?」

「決まりね。じゃぁ・・・三人で入りましょうか。」


抵抗する白夜に決定権はなく・・・、千歳と夕紀に引きずられるように連れて行かれた。脱衣所に入ってから、千歳が着替えを持ってきてないのに気づいた。


「あっ!ちょっと着替え取ってくるから・・・二人先に入ってて。」

「いや・・・一人ずつで順番に入れば良かろう?広くないんだし・・・。」

「イ~ヤ~。白夜と入りたいんだもん。」

「そうそう。私も入りたいから、諦めてね。白夜ちゃん。」


白夜を後ろからしっかり抱きかかえてる夕紀の腕の中で、諦めにも似た深いタメ息をこぼした。

白夜は、ふと・・着替えを持ってきてないことに気づいた。


「そう言えば・・・、ワシ等も着替え持ってきてないのでは?」


見上げて夕紀に尋ねると、得意気な顔で、


「ふふふ・・・。抜かりはないわよ。いつでも一緒に入れるよう。すでに準備してます!!」


そう言って、宙ブラリの白夜を抱えたまま後ろを向くと・・・。そこには、タオルと下着が二着、カゴの中に入っていただけだった。


「ちょっと待て!下着しか入ってないじゃないか!・・・服は?!」

「下着姿で良いじゃない。女の子しか居ないんだし♪」

「何、バカなことを・・・。はぁ・・・仕方ない。そんなに着てないから、この服をまた着るか・・・。」

「え~?白夜の下着姿が見たッ痛?!」


妙な事を口走りそうだった夕紀に、白夜は腕を振り上げて頭にチョップした。


「ッ~・・・痛いよ~・・・白夜~。」

「お主が、変なことを口走ろうとするからだ。」

「む~・・・。」

「取りあえず・・・降ろせ。服が脱げないじゃないか。」

「あ!ごめんごめん。・・・もう逃げない?」


白夜を降ろし、問いかける夕紀にタメ息混じりで


「逃げても同じだろ?・・・諦めた。」


遠い目で答えて、白夜は服を脱ぎ始めた。それを、手伝おうとする夕紀を素早くチョップで止めた。


「いったぁ~い・・・!何するのよ!白夜!」

「こっちの台詞だ!手伝わなくても良い!」

「良いじゃない!私、白夜の服を一枚ずつ脱がしていきたい!」

「お主は、変態か?!は・な・せ!」

「い・や・だ!」


抵抗する白夜と意地でも脱がそうとする夕紀との小競り合いの中、千歳が帰って来た。


「あら?まだ入ってなかったの?二人とも。」

「・・・こやつが・・邪魔を・・するんだ・・・。」


必死に剥がそうとする白夜に、しがみついてる夕紀も必死な顔で、


「邪魔なんてしてないわよ!手伝ってあげるって言ってるでしょう!」

「手伝いなどいらん!離れろ!」


その争いに千歳はタメ息をついて、両手を軽く叩きながら、


「ほ~ら。いつまでもそのままじゃ、白夜ちゃんの体が洗えないわよ?」

「ハッ!そうね。ま、待って!すぐ入るから!!」


夕紀は急いで白夜から離れて、すぐ服を脱ぎ浴場へと直行していった。

白夜は、ホッと一息入れた。


「助かった・・・。ありがとう。千歳。」


感謝する白夜の顔を見て、微笑んだ。


「さぁ!早く脱いで、入りましょう。あまり待たすと、また騒ぎ出しそうですもの。」

「だな・・・。」


白夜は、服を脱ぎながら苦笑いをしていた。

二人は、脱ぎ終えてから、浴場の戸を開けた。


「遅いよ!二人とも!」


浴槽から顔を出して二人を見てる夕紀が言った。

千歳は、夕紀の視線に気づいた。


「ど、どうしたの?夕紀。」


千歳は、慌てて両手で胸を隠した。夕紀は不機嫌そうな顔で、


「あなた・・・胸、また大きくなったんじゃない?」

「そ、そんなことないわよ。」

「嘘だ!」


夕紀は浴槽から出てきて、千歳の両手を払い、胸をわしづかみにした。


「ちょ、ちょっと!夕紀?!」

「ぬぅぅ・・・やっぱり大きくなってる・・・。」

「やめんか!」


千歳の胸を揉み続ける夕紀を白夜が止めた。


「えぇい!風呂場で暴れるな!タダでさえ、狭いんだから!」

「うぅぅ・・・。べ、別に・・・うらやましくないんだからね!」


千歳から引き離された夕紀の顔は、ものすごく悔しそうにしていた。

相当、スタイルにコンプレックスがあるようだ。

被害者である千歳も、夕紀の顔を見て苦笑いするぐらいしかできなかった。


「え~ん!白夜ぁ~!アノ体がねたましいよぉ!」

「何だ・・・やはり、うらやましいんじゃないか。」


すがるように抱きつく夕紀の頭を軽く叩き、呆れ顔の白夜だったが、その時、夕紀は細く微笑んで、油断していた白夜の背後に回り、羽交い締めにした。


「フフフ・・・。油断したわね?白夜。」

「ぬ?!し、しまった!は、離せ!」


手足をバタつかせて、抵抗する白夜の前方から、千歳がゆっくりと近づいて来ていた。 それに気づいた白夜は、千歳に助けを求めた。


「た、助けてくれ。」

「待ってて。白夜ちゃん。・・・今、体を洗ってあげるからね。」

「ヒッ?!ち、ちがう!た、たすけ・・・ひやぁぁぁぁぁ!!」


夕紀と千歳の二人がかりで、嫌がる白夜の体を隅々まで綺麗に洗った。

力なく、その場で倒れる白夜の隣で、満足そうに湯船に浸かっいる二人が居た。

その時、突然、白夜が笑い始めた。


「フッ、フフフ・・・ハハハ・・・。」


突然だったので、夕紀が心配して声をかけた。


「あの~・・・?白夜・・・さん?」


夕紀の声かけに白夜は、ゆっくりと立ち上がり。二人の方へと視線を向けた。


「お~ぬ~し~ら~・・・もう許さんぞ!」

挿絵(By みてみん)

お怒りの白夜の髪が生き物のようにウネリ始めた。それを見た二人は、悲鳴をあげて抱き合った。

白夜の髪が伸びて、二人の手首に巻き付いて、引っ張り上げるように体ごと持ち上げられて、白夜の前まで連れて来られた。慌てて、夕紀が白夜に、許してもらうように懇願した。


「ご、ごめん白夜!ゆ、許して?」

「問答無用!」

「ひにゃぁぁぁぁぁぁ!!!」


しかし、夕紀の願いも届かず・・・白夜の手によって隅々まで洗われた。

洗い終わり、笑い疲れてグッタリしている夕紀を降ろすと、次は千歳の方へと視線を向けた。

怯える千歳が、作り笑いをして、


「白夜ちゃん・・・あの・・・や、優しくしてね?」


千歳の問いかけに白夜は優しく微笑んで、


「無・理」


と、一言答えて、千歳に襲いかかり、悲鳴にも似た笑い声が風呂場を包んだ。

・・・風呂場に静寂が戻った。全身綺麗に洗われた二人が床に横たわり、ひと仕事終えた様に、湯船に悠々と浸かる白夜の姿があった。

しばらくしてから、夕紀がゆっくりと腕で上半身を支えながら起きた。


「もう・・・お嫁に行けない・・・。」

「たわけ!体を洗っただけじゃ。」


両手で顔を覆う夕紀。しかし、呆れ顔で白夜は素早くツッコんだ。


「責任取って、私をお嫁さんにしな・・ぶッ?!」

「血迷った事を言うな。」


夕紀が言い終わる前に、白夜は夕紀の顔に水をかけた。

顔にかかった水を拭い、指をくわえて白夜の方をジッと見つめて、


「最近・・・白夜が冷たい・・・。」

「優しくすると、お主がつけ上がるからだ。」


そう言って、湯船から出て夕紀の頭を優しく叩くと、


「先に出て夕飯の支度してくるから、お主等はゆっくり湯に浸かって、体を暖めてから出てこい。」


と言い残して、白夜は先に出て行った。


「フフフ・・・もう、なんだかんだ言っても、やっぱり白夜は優しいや。」


頬を緩ませ、ニヤニヤしながら、まだ倒れてる千歳の肩を揺すった。


「ほら、千歳!いつまで寝てるの?風邪引くよ?」

「ん・・・。」


千歳は少し、ボーッとした状態で上半身をゆっくり起こした。

夕紀は、ちょっと千歳の状態が心配になって、顔をのぞき込んで声をかけた。


「千歳?大丈夫なの?」

「え?え、えぇ・・・大丈夫よ。」


返事は返ってきたが、まだ、少し放心状態だった。


「本当?」

「えぇ。」

「よほど、白夜のお仕置きがきつかった?」


夕紀の問いに、千歳は首を横に振って、


「いいえ。・・・最初はくすぐったかったけど、途中から気持ち良くなって・・・もう、アノ感触が忘れられないわ。」

「え?」


頬を紅く染めて語る千歳に、声を出して驚いてしまった夕紀。

スッカリ、白夜のテクニック(?)の虜になってしまったようだ・・・。


「と、取りあえず。早く出ましょう。白夜が夕飯の支度してるらしいから・・・。」

「あら?それなら、早く手伝いに行かないと・・・。」


まだ、洗われた余韻が残ってるのか・・・上手く立てない二人は、互いに体を支えながら、脱衣所へと向かった。

二人は、疲労した様子で座り込みながら体を拭いてた。


「もう!白夜のせいで余計にお腹が減ったじゃない!」

「本当ね・・・。どんな料理か楽しみだわ。」


ふと、廊下の方から美味しそうなニオイがしてきた。その香りをかいだ瞬間、二人のお腹が鳴ったのだった。

二人は顔を見合わせてから、吹き出し、大笑いした。そして、目から流れた涙を拭い


「白夜めぇ・・・いいニオイただよわせるなんて・・・ヨダレが出るじゃない!」

「もう、急いで服を着ましょう。お腹が減ってきたわ。」

「よ~し・・・今行くよ!白夜!」


そう言って、美味しそうなニオイで元気になった二人は、急いで服を着て、髪も乾かさずに台所へと向かった。



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