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フルコト!  作者: 﨑山翔
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第百二十五話 Get Wild

サヨリヒメの優先しなきゃならない事。


それは佐々木礼子の卑猥な画像がネットに流出していないかどうか---。


そしてその解決策は、

パソコンの中に入る、というものだ。




伊織はサヨリヒメの話についていけず、キョトンとした顔をしていた。






「か、翔…くん…?」


「あっ。えっとね、……あー、あのね。

サヨリさんて、実はパソコンに詳しいんだって。

だから…、その、佐々木さんの画像が流出してないか……、調べてみるって」


「そ…、そうだったんだ…。

だから…、パソコンの中に入るって言ってたんだね…」


「そっ!?そうそう!そうなんだ。

と、とにかく、早く家に帰って調べてみるね!

……えっと、また伊織さんに連絡するから」


「うん…。わかった。ありがとう……。

サヨリさんも…、お願いします」





「任せておいて!

イオリさんも元気出して!」


「は………い。

………ありがとうございます」






◇◇◇◇◇◇







と、いうわけで。

取り急ぎ、自宅へと戻った。




シナツヒコとホノイカヅチに事の経緯を話す。






「何それ~~~??

突然サヨリと帰って来たかと思ったら、いきなりパソコンの中に入るなんて言い出して~~」


「まったくだ。

サヨリも安請け合いするなよな。

ネットの中には膨大な数の情報が入っているんだろ?

簡単な話ではないと思うぞ」



案の定、二柱は苦言を呈する。





「んなもんわかってるわよ。

でもやるの!あんた達には理解出来ないかもしれないけど、女性にとっては一大事なの!

下着姿の画像だなんて…。有り得ないわ!」



いやいや、男にとってもそういった写真は完全アウトだ。

……と、

心の中で突っ込む翔。





「ん~~~。まあ……それは…、そうだよね…。

だけどさ~…、パソコンの中に入るなんて芸当、サヨリには出来るの?」


「芸当って何よ。

……いや、まあ、私は出来ないけど。

一つ名案があるの」


意味深な表情でサヨリヒメは翔を見つめた。



「え?なに?」





「そうか…。

カケルの言霊(ことだま)産霊(むすび)の力を使うのか…」



ホノイカヅチも翔の方へ視線を向ける。



「え?ぼく?」




「そ。

ご明察!」





「なに?なに?なに?

カケルくん、どういう事??」


「ぼ、ぼくにも何がなんだか……」




状況が飲み込めない翔とシナツヒコの頭の中には、クエスチョンがブレイクダンスをしていた。








「カケルの言霊でパソコンの中に入ると決めて、産霊の力でその宣言とパソコンに入る者の身体を繋ぎ止めておくんだな?」


「そゆこと。

それからね、パソコンに入る時に神力(しんりき)が必須条件だから。

ホノイカヅチとシナツヒコが送ってね!」





「……………。

は?

ちょっと待て。

その神力って……、パソコンの外から送るんだよな?」


「そうよ?」


「パソコンに入る時と出てくる時に、かなり強大な神力が必要なんだよな?

つまり…、

俺とシナはパソコンの中に入れないって事なのか?」


「あったり前じゃない。

今回、あんた達はサポート&待機よ」


「はぁ!?

カケルとサヨリだけで行くのか!?

無謀すぎるだろ!

却下だ、却下!」




ホノイカヅチは烈火のごとく反対した。

シナツヒコも激しく同意する。




「賛成賛成~~!

僕とホノとカケルくんでパソコンの中に入るから、サヨリが待機して外から神力を送ってよ!」


「ああ、それがいいな。

ヒルコとカグもいるしな。

強大な神力になるだろ」








「………ふぅ…………。

それは…。

………いかがなものかしら?」


サヨリヒメはジトッとした目でホノイカヅチとシナツヒコを睨んだ。





「あんた達ってさぁ………、仮にも男神よね?

男のおがつく男神よね?」




「は?何言って…………」


「今さらどうしたの?」




「いーい!?

今回探しに行く画像はね、

女性の!お肌が!必要以上に!露出されてる画像なの!

神だろーがなんだろーが、絶対に男には見られたくないものでしょ!」




「うっ……!た、確かに……!」


「ド正論!!」





「本当はカケルくんも男の子だからアレなんだけど……。

言霊と産霊の力を使うカケルくんは、言わばパソコンへの媒体だから…。

いてくれなきゃ困るのよね」



「あ……ははは……」


笑ってごまかす翔だが、画像については指摘されるまで気付かなかった。


とてもセンシティブな問題なのだ。




「サヨリさん…。ぼく、絶対に見ないから!」


「カケルくんなら大丈夫よね!」


「う、う、うん!」


信頼度が高いと異様なプレッシャーがのしかかる。







「………しかし……。カケルとサヨリだけっていうのは……。いささか心許ない…、というか……」



ホノイカヅチには懸念が残る。



パソコンの中で何事もないという保証はどこにもない。


例えば何かあったとして、サヨリヒメだけでカケルを守りながら対処出来るのだろうか。



「そうだよね~。せめて、もう一柱…

カケルくんとサヨリと、

もう一柱……」



腕組みをして考えこむシナツヒコの脳裏によぎったのは---。


「サクヤだ!!」



「お呼びかしら~~~??」



「ぎゃーーーー!!?」




桜の花びらがヒラヒラと舞う中、サクヤヒメが登場した。







「サ…、サクヤヒメさん!?」


「カケルくーん!会いたかったわ~…って…。

あら?シナツヒコは何をしているのかしら?」



心臓が飛び出るほどに驚いたシナツヒコは、条件反射的に翔にしがみついていた。



「ビックリさせないでよ!サクヤ!

急に現れてビックリしたんだから!!

え~~~ん、カケルく~~~ん!

慰めて~~~」


あからさまなウソ泣きを披露する。


「あ…あはははは……。

よしよし、シナくん」


とりあえずこの茶番劇に付き合って頭を撫でた。






「カケルくん!

シナツヒコを甘やかすとロクな事にならないわよ!」


サヨリヒメがバッサリ吐き捨てた。



「ふーんだ。

サヨリには置いてきぼりにされる気持ちなんてわからないんだよね~。

宗像三女神(むなかたさんじょしん)は誇り高いお姫様だからね~」


「ちょっと!?

何でそこで宗像三女神が出てくるのよ!?」


本件とはまったく関係性のない口喧嘩がはじまりそうな予感が漂っている。





「シナもサヨリもやめろって!今はくだらない言い合いをしてる場合じゃないだろ!?」




「ふんっ」


「ふんっ」








「………ったく」


ホノイカヅチは呆れたように溜め息をつくと、改めてサクヤヒメと顔を合わせた。




「サクヤ。

何しに来たんだ?」


「え?私?

私はカケルくんのご機嫌伺いに来たのよ?」


「そうか……。

……実は今、少しややこしい事態になっているんだ」


「ややこしい?」


「ああ。かいつまんで話すと…………………」







◆◆かくかくしかじか、かくかくしかじか◆◆







「………と、いうわけで、サクヤも一緒にパソコンの中に入ってほしいんだ。

サヨリとサクヤでカケルを守って、画像を探してほしい」


「…………………」



プルプルプルプルプルプルプルプル…。


サクヤヒメの身体は小刻みに震えていた。





「?

…サクヤ?」


ホノイカヅチは不可解な面持ちになる。





プルプルプルプルプルプルプルプル…。

プルプルプルプルプルプルプルプル…。


プチ。

キレた。







「何て事なのー!!

許せないわー!!」


怒りが爆発した。


サヨリヒメと同じパターンの怒り方である。



「わかったわ!!

私にも協力させて!!」



興奮おさまらぬサクヤヒメは、ガシッと翔とサヨリヒメの手を握った。




「頑張りましょうね!

サヨリちゃん!カケルくん!」


「頼もしいわね!サクヤ!

気合い入れて行くわよ~!

ほらっ、カケルくんも!」


「はっ、はい………」





「エイエイオー!!!」





やる気満々のサヨリヒメとサクヤヒメに、少々尻込みしてしまう翔だった。



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