序章~古事記~
これは日本のはじまりの話。
まだ全てがぐちゃぐちゃの混沌の中から、天と地が別れ、神々の住む天上界が出来上がる。
これが、高天原。
そのあとに、独神の造化三神が現れる。
そして、地上のようなものが出来る。
地上といっても、水に浮いた脂のようにプカプカと、クラゲのようにフニャフニャしていた。
その時、独神の二柱の神様が現れる。
造化三神とこのニ柱の神様を合わせて、別天津神と言う。
神ファイブ。
さらに、ニ柱の独神と、男と女の対となる神様、ワンセットで五柱が生まれる。
この神様達を、神代七世という。
神セブン。
そうしているうちに、神代七世の末っ子であるイザナキ、イザナミが、天の沼矛で国土を固めて、国生みをしなさいという命を受ける。
二柱は愛し合い、とても仲睦まじかった。
イザナキは、少し優柔不断だが穏やかで、優しい性格をしている男神。
イザナミは、ハキハキと明るく、ちょっと気の強い
女神だった。
天の沼矛でコオロコオロとオノゴロ島をつくり、二柱は地上に降り立ち国土を生む。
しかし、生まれた子はフニャフニャで未熟児だった。
ショックを受ける二柱。
ヒルコと名付けたものの、イザナキとイザナミは、葦で作った船で流してしまう。
だか、次に生まれた子もヒルコ同様にフニャフニャだったため、葦の船で流してしまった。
アワシマと言う。
悩んだ二柱は、天津神に相談する。
神々の占いで出た結果のとおりにすると、立派な国土が生まれた。
そこから次々と国を生み、日本列島が誕生。
島々も生まれ、国生みが終わる。
国生みが終わったら、今度はその土地で活躍する神様をめちゃめちゃ、いっぱい、たくさん生む。
風の神、山の神、海の神…。
以下略…。
さすが日本は八百万の神。
日本はこの世にあるもの全てが神様だ。
しかし、火の神を生んだ時にイザナミが火傷を負って死んでしまう。
神様は永遠の命だが、大怪我をしたら死ぬ。
神様は神様を殺す事も出来る。
そう…。怒ったイザナキは、火の神を殺してしまう。
それでもイザナキは、イザナミに会いたくて会いたくて会いたくて仕方がない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
イザナミは、黄泉の国にいる。
イザナキはイザナミを生き返らせるために、地中の奥深くにある黄泉の国のへ行った。
ダンジョンのような感じだ。
坂を下って行くと、扉があった。
黄泉の国まで会いに来てくれたイザナキの愛が、心から嬉しいイザナミ。
イザナキのもとに戻れるように、イザナミは黄泉の神に頼みに行くと言う。
この時、「絶対に、この私の姿を覗こうとしないでね」とイザナキに言った。
見るなのタブー。
なかなか来ないイザナミ。
待ちきれなくて、イザナキは持っていた櫛に火をつけて、扉の中に入った。
案の定、イザナキはイザナミを見てしまう。
そこには…。
黄泉の国にいたイザナミは変わり果てた姿になっていた。
イザナミは八柱の雷神を生み出し、身体中にバチバチと纏っている。
そしてその身体は、腐敗してウジが湧き出ていた。
「!!?」
イザナキは恐ろしさのあまり、とにかく一目散に逃げた。
イザナミはその姿を見られた恥ずかしさと、すぐに逃げたイザナキが許せない。
黄泉の国に住まう鬼女のヨモツシコメに、イザナキのあとを追わせ、捕まえるよう命じた。
地上に続く黄泉比良坂を走り、ヨモツシコメから命からがら逃げ切ったイザナキ。
ようやく、あの世とこの世の境目まで辿り着くーーー。
その時、イザナミが追いついた…が、イザナキは必死に大きな岩で入り口を塞いだ。
そして、二柱は岩を挟んで最後の言葉を交わす。
「イザナミ…。今日をもって夫婦の契りを解く…!」
「ああ…、ひどい、ひどい…。こんなにも愛おしいイザナキから…こんなにも耐え難い裏切りをされるなんて…」
イザナミは、一日千人の人間を絞め殺すと言い、
イザナキは、一日千五百人の人間を産み出すと言った。
二柱はお互いに呪い合い、別れた。
イザナミは黄泉の国の主宰神、黄泉の大神になった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
…それから。
悲しくて、寂しくて、涙ながらにイザナキは禊を行った。
するとイザナキの中から…。
アマテラスオオミカミ
ツクヨミノミコト
タケハヤスサノオノミコトが生まれた。
最も貴い神・三貴神が生まれた。
アマテラスは太陽の神となり、高天原を統治。
ツクヨミは月の神となり、夜の国を。
スサノオは海原を治める事になる。
アマテラスとスサノオは、このあと色々あるのだか…。
それはまた別の話で…。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
さて。
プカプカと葦の船で流されたヒルコとアワシマは
…、今、どこにいるのだろう?